Oracleと戦略的に交渉するための3ステップ

主要な所見

• Oracleは、ERP、人的資本管理 (HCM)、エンタプライズ・パフォーマンス管理 (EPM)、サプライチェーン・マネジメント (SCM)、カスタマー・エクスペリエンス (CX)、データベース管理の各分野でグローバル市場で大きなシェアを維持している。これらの優位性を「てこ」に、サービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS) の市場シェア拡大も目標としている。

• Oracleの成長戦略は、SaaSとOracle Cloud Infrastructure (OCI) を新規および既存の両顧客に販売することを柱としている。オンプレミスのサポート・コストを毎年増額する一方で、オンプレミスよりもクラウドにマーケティングを集中させることで、顧客をクラウドへと誘導している。

• Oracleは他社と競合している、または、優先ベンダーの地位を確保し他の競合がいないといった状況に応じて、多面的な交渉戦略を適用する。状況によっては大きな割引提示もあるが、顧客側が契約更新時にその価格を保護できない場合、高い割引率はすぐに失われてしまう。

推奨事項

Oracleのソフトウェア／クラウド契約を交渉するソーシング／調達／ベンダー管理 (SPVM) のリーダーは、以下を実践する。

• 顧客がERP、HCM、EPM、SCM、CX、またはIaaSをSaaSで置き換えたいと考えている場合、およびOracleが市場シェアの維持／拡大を切望している分野においては、「クラウドを販売したい」というOracleの意向を活用する。Oracleがクラウドの販売を拡大する深刻な必要性に迫られていることを理解できない顧客は、譲歩や割引の貴重な機会 (Support Rewardsプログラムなど) を逃すことになる。

• オンプレミスのシェルフウェアや年間サポートの価格引き上げを削減するオプションについて検討する。顧客側の準備が整う前にクラウド導入の意思決定を迫るために、Oracleがコンプライアンス違反を指摘する場合もある。これを防ぐため、ライセンスのギャップはすべて解決しておく。

• Oracleのクラウドを導入する際は、必ず競合状況を活用する。SaaSに関してはSAPやWorkday、IaaSおよびサービスとしてのプラットフォーム (PaaS) に関してはAmazon Web ServicesやMicrosoftなどの戦略的企業と競合している場合、Oracleは割引を拡大するであろう。