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2018年11月13日

ガートナー、IT部門およびユーザーに影響を与える2019年以降に向けた重要な展望を発表

『Gartner Symposium/ITxpo 2018』 (11/12~14日、港区高輪) において、加速する技術革新のペースに関した見解をアナリストが発表

米国フロリダ州オーランド発 - 2018年10月16日- ガートナーは、米国で開催した『Gartner Symposium/ITxpo 2018』において、IT部門およびユーザーに大きな影響を与える2019年以降に向けた重要な展望を発表しました。これらの展望は、デジタル・イノベーションの継続から生まれる3つの根本的な変化に関わるものです。具体的には、「人工知能 (AI) の普及と関連スキルの不足」「組織文化の進展」「プロセスのプロダクト化」という変化であり、これらは、デジタル能力が向上すること、さらには、テクノロジの概念が絶えず変化することによってもたらされます。 

ガートナーのディスティングイッシュト バイス プレジデント, アナリストのダリル・プラマー (Daryl Plummer) は次のように述べています。「企業は依然として、テクノロジの進化のペースに追いつけていません。目の前で大きな変化が起こり、状況は混迷を極めつつあるように見えることでしょう。しかし、この混沌は無秩序を意味するものではありません。CIOがこうした中から何とかして実践的な行動指針を打ち立てることが、前進への糸口となります」 

「継続的な変化を自社の資産とすることは不可能ではありません。もっともそのためには、変化が予想以上に早く起こることを前提に、自社のビジョンに磨きをかける必要があります。これがかなわない場合は、手間暇をかけて組織のマインドセットを刷新しなければなりません。いずれの道を歩むにせよ、一見関連性のなさそうな将来の予測や展望から実践的な行動指針を見つけ出すことは可能なのです」 

ガートナーが発表した重要な戦略的展望トップ10は以下のとおりです。

2020年末にかけて、AIプロジェクトの80%は、組織内のごく一部の稀なスキルを持つ専門家によって執り行われる「魔法」であり続ける。 

この5年間、AI技術の人気の高まりを受けて、AIプロジェクトを推進する企業や組織が全世界で増加しています。しかし、変化のペースはあまりにも早く、有能なAI専門家の増員が間に合いません。AI技術に関して必要とされるのは、厳しい技術的要件を満たした者だけでなく、数学を使いこなせるデータ・サイエンティスト、創意に富むデータ・エンジニア、緻密な業務オペレーションの専門家、洞察力のある物流担当者と、多岐にわたる人材なのです。

プラマーは次のように述べています。「AI技術を持つ人材を料理人に例えると、既存の人材の大部分は、2~3種類の食材を調理する程度のスキルしか持っていません。複数のレシピを習得するのに十分な能力を備えている人材はほんのわずかです。ましてや新しい料理を考案できるような人材は、なかなか見つからないでしょう。2020年末までは、AIプロジェクトの大半において、ITを『魔法』のように駆使する人々がその腕を振るう状態が続きます。より体系的かつ効果的にAIプロジェクトを推進できる準備が整うのは、企業がAIを珍重するのをやめ、何よりもまずビジネス価値に注力するようになったときでしょう」 

2023年までに、AI顔認識機能により、成熟市場における行方不明者は2018年に比べて80%減少する。

顔照合と3D顔画像は今後数年のうちに、子どもや高齢者、何らかの障害を持つ人など、弱い立場にある人々の情報を取得する手段として重要な選択肢になります。一般的に考えられるような、大掛かりな捜索によって不特定多数の中から行方不明者を見つけるのではなく、AI顔認識テクノロジを利用して不明者を特定できるようになるのです。とはいえ、この分野で大きな進展が見られるのは、確実な画像取得、画像ライブラリの開発、画像分析戦略の確立が実現し、顔認識技術が一般市民に受け入れられるようになってからでしょう。さらに、カメラに搭載するデバイス/エッジ用のAI機能が向上することで、公共機関/民間企業は、すべてのビデオ・ストリームをクラウドに送信して処理する必要がなくなり、前処理フィルタを使用して重要な画像データだけを絞り込めるようになります。

2023年までに、慢性疾患患者は、AIを搭載したバーチャル・ケアに登録するようになり、米国内の救急診療の件数は2,000万件減少する。

地方などで顕著になっている臨床医の不足により、医療機関は医療サービスを提供するための新たなアプローチを模索しています。バーチャル・ケアは多くのケースにおいて、従来の対面式医療サービスより利便性もコスト効果も高いことが分かっています。ガートナーのリサーチでも、バーチャル・ケアを効果的に活用することで、コストを抑え、医療の質を改善し、サービスを提供しやすくなることが明らかになりました。柔軟性に欠ける昔ながらの物理的な医療サービスの提供方法を変革しない限り、医療機関の競争力は低下していきます。このような変革は容易に実現されるものではなく、従業員の組織文化面における姿勢や医療サービスの財務モデルの変更が伴います。

2023年までに、組織の25%が、インターネット上のハラスメントを防止する目的で合意書への署名を従業員に要求するが、その取り組みの70%は失敗に終わる。

企業や組織の評判を損ねかねない行為を防止するため、雇用者は、従業員によるソーシャル・メディアの使用に関する行動指針 (ハラスメント/差別対策基準など) を強化する必要があります。対応の1つとして考えられるのが、インターネット上のハラスメント、すなわち「ネットいじめ」を行わないことに合意する宣誓供述書への署名を従業員に求めることです。または、従来の行動規範における労使の合意を更新し、こうしたハラスメントに関する項目を盛り込むべきでしょう。 

先述のプラマーは次のように話しています。「ここで留意すべきは、宣誓供述書や合意書に署名をさせたからといって、ネットいじめを撲滅することはできない点です。必要なのは、組織文化を変えることなのです。組織文化の変革に当たっては、ネット上のハラスメントを見分ける方法を従業員に教え、発見した場合の報告手段を提供しなければなりません。ネット上のハラスメントを防止する措置と、厳格な定義、規則、行動監視の原則がバランスよく盛り込まれた現実的なポリシーを作成しましょう。また、こうした対策が必要な理由や、組織と従業員自身が得られるメリットについて、従業員の理解を徹底させることも重要です」

2022年末にかけて、ビジネスの最前線で意思決定を下すチームが、ダイバーシティとインクルージョンを備えた組織文化と真剣に向き合っている組織の75%は、財務目標を上回る。 

部門を問わず、ビジネス・リーダーであれば、組織文化におけるダイバーシティ (多様性) とインクルージョン (受容性) (両者を合わせて「D&I」と称する) の実現がビジネスのメリットとなることを理解しているでしょう。今日のビジネスでは、できるだけ現場に近いレベル、理想的にはビジネスの最前線で仕事をするスタッフのレベルで、意思決定の質とスピードを上げることが重要な要件になっています。受容的なチームをつくるには、性別や人種といった単純なダイバーシティを獲得するだけでなく、異なる働き方をする人材やさまざまな考えを持つ人材を取り込んでいく必要があります。さらには、D&Iの取り組みの規模と、従業員による関与の度合いをコントロールできれば、これをビジネス成果に直結させることが可能になります。組織の実状を見極め、受容的な組織文化を培うリーダー人材を育成し、日々の業務にインクルージョンを組み入れるべく、取り組みの規模と効果を大きく高められるテクノロジが多数登場しています。

2021年までに、パブリック・ブロックチェーンの75%が、「プライバシー・ポイズニング」の被害を受ける (プライバシー法への準拠を阻害する個人データが挿入される)。 

プライバシーの問題は、「プライバシー・バイ・デザイン (Privacy by Design)」によって管理することが必要となっています。これを怠ったままブロックチェーン・システムを実装する企業は、チェーンの完全性を損ねずには削除できない個人データを抱えるリスクを負います。パブリック・ブロックチェーンとは、準無政府状態であるインターネットなどの自律システムを指しています。インターネットに対しては、訴訟を起こすことも、伝送データに対する説明責任を負わせることもできません。これと同様、パブリック・ブロックチェーンにも、それが取り扱うデータに対する説明責任は負わせられません。

パブリック・ブロックチェーンの使用を伴うプロセスを運用するあらゆるビジネスは、記録システムの一部としてブロックチェーン全体のコピーを維持する必要があります。個人データで汚染された、すなわちプライバシー・ポイズニングを受けたパブリック・ブロックチェーンは、ほかの台帳の代わりとすることも、匿名化することも、共有台帳から構造的に削除することもできません。したがって、プライバシー法への準拠義務を果たすための、記録保持の必要性に対処できなくなります。

2023年までに、eプライバシー規制によってCookieの使用が削減されてオンライン・コストが増加するため、現在のようなインターネット広告収入は得られなくなる。 

EUの一般データ保護規則 (GDPR) や今後施行される法令 (2018年成立のカリフォルニア州消費者プライバシー法、eプライバシー規則など) によって、Cookieの使用が引き続き制限され、インフォームド・コンセントの枠組みが揺らぐでしょう。今日のように、Cookieの使用に対する同意を個人に求める単純なやり方では不十分になる可能性があります。Cookieによる追跡の対象と追跡結果の使用方法に関して、個人が明確な同意を示す必要が生じると予想されます。 

プラマーは次のように述べています。「現行の規制も将来の規制も、パーソナライズされた広告を完全に禁止するものではありません。それでも、現在のインターネット広告の仕組みとこれに関与する企業にとって、法令は大きな打撃となります。今日では、個人を追跡し、そのデータをまとめて分析・予測し、広告のターゲットを絞る機能を利用する多くの企業が複雑に絡み合い、そうした仕組みを通じて広告収益がもたらされています。このデータの流れが断たれ、一部の使用が違法となれば、サービスとその提供の微妙なバランスが崩れかねません。

こうしたバランスは、データを自由に利用できた過去数十年にわたり構築されてきたものなのです。この問題は、さらに大きな影響をもたらす可能性もあります」

2022年末にかけて、クラウドの経済性および柔軟性を活用し、社内の実行能力を対外的なプロダクトとして収益に結び付けることが、デジタル化を推進する鍵となる。 

企業のIT部門は長年にわたり、独自に発展させた実行能力を市場に投入し、自社の価値を創出しようと模索していましたが、経済性や技術的な課題のために実現できませんでした。ところがこの状況は、クラウド・インフラストラクチャとクラウド・サービス・プロバイダーの台頭により一変しています。アプリケーション・ソリューションを拡大させる能力は、クラウド・プロバイダーが提供してくれますし、アプリケーションの配布と一部のマーケティング活動は、市場で支配的な力を持つアプリ・ストアが担ってくれます。また、単純で利用しやすいクラウド向けツールが登場し、プロダクトとしてのアプリケーションのサポートおよび機能強化が簡単になりました。さらにクラウドは、財務面においても、これまでの「営業外損益」ではなく、中核ビジネスが生み出す「営業損益」にインパクトを与えるようになりつつあります。テクノロジの採用に積極的な企業が、社内のプロセスおよびデータを市場で提供可能なソリューションに変え、デジタル化による収益を出し始めれば、ほかの組織もこれに追随するようになるでしょう。 

2022年までに、デジタルの巨大企業が有する「ゲートキーパー」の地位を活用する企業は、業界平均40%の世界市場シェアを獲得する。 

2014年の時点で、各業界の上位4社を合わせた世界市場シェアは、2006年から4%低下しました。経済/金融危機に見舞われた多くの欧州企業が、中国をはじめとする新興市場の企業による勢力拡大の影響を受け、市場シェアを失ったことがその理由です。 

プラマーは次のように述べています。「規模の経済とネットワーク効果の強さが世界中で顕在化するのに伴い、こうした現在の情勢は変化するとガートナーは予測しています。デジタル・テクノロジのイノベーションは、かつてないほど密度の高いつながりを生み出しつつあります。つながりから得られるインテリジェンスが、さらに大きな価値を (機械学習やAIなどを通じて) 創出し、つながったモノ同士のやりとりを (データ伝送の高速化などを通じて) さらにスピードアップさせています」

ただし、全世界で支配的な市場シェアを獲得し維持しようとしても、その途上にはデジタルの巨大企業 (Google、Apple、Facebook、Amazon、Baidu、Alibaba、Tencent) とそのエコシステムが待ち受けており、これらのうちの1社以上と取引関係を結ぶ必要が生じる可能性が高くなります。こうした巨大企業は、コンシューマー市場で既に大きなシェアを持ち、「ゲートキーパー (門番)」としての地位やそのインフラストラクチャを使用してB2B分野にも参入し始めています。つながりというトレンドを敏感に察知し、AIなどの機能の活用にも乗り出しており、われわれが暮らす物理的な世界を、彼らが本領を発揮できるデジタル世界の一部に取り込むべく、果敢に挑んでいます。

2021年末にかけて、ソーシャル・メディア上で起こったスキャンダルやセキュリティ侵害が利用者に長期的な影響を与えることは、事実上なくなっていく。 

利用者がデジタル・テクノロジを使用するメリットは、将来の潜在的な、かつ未知のリスクを上回ることを、この展望は示しています。コンシューマーによるデジタル・テクノロジの採用は拡大し続け、テクノロジの利用に関して一線を越えてしまった企業や組織に対して反発が起こったとしても、それが長続きすることはありません。

プラマーは次のように述べています。「この5年間、毎年のように多くの問題が起こり、いずれもメディアで大きく取り上げられてきましたが、その影響はわずかなものにとどまっています。その主な理由の1つが、選択肢および競争の欠如です。誰もが同じサービスを利用しているために、別のサービスに乗り換えることが難しくなっています。これも一種のネットワーク効果と言うことができ、その影響は非常に大きいのです。ユーザー間にデジタル・テクノロジに対するネガティブな感情が生まれた場合でも、こうしたトレンドに変化は見られませんでした。したがって、当面はこの状況が継続すると考えています」

『Gartner Symposium/ITxpo』について 

『Gartner Symposium/ITxpo』は、CIOが次世代のITを主導してビジネスの成果を獲得することを支援するツールおよび戦略とCIOのグローバル・コミュニティとを結び付ける、CIOおよび上級ITリーダーに向けた世界で最も重要なイベントです。世界中で2万5,000人を超えるCIO、上級ビジネス・リーダー、上級ITリーダーが、それぞれのITイニシアティブによって自社ビジネスの成功に貢献するために、必要な知見を求めて一堂に会します。 

『Gartner Symposium/ITxpo』に関するニュース、写真、動画は、Smarter With GartnerTwitter (#GartnerSYM)、InstagramFacebookLinkedInでご覧いただけます。 

『Gartner Symposium/ITxpo』の今後の開催日時と場所は以下のとおりです。 

日本では、11月12~14日、『Gartner Symposium/ITxpo 2018』をグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール (港区高輪) にて開催しています。ガートナーのセッションでは、CIOをはじめとするITリーダーの最重要課題について、13の主要な領域におけるテクノロジ、戦略、リーダーシップに関する最新トレンドや最先端の知見、洞察を提供いたします。本プレスリリースに関連した内容は、「ガートナーの重要な戦略的展望:不確実性を乗り越えて実践せよ」 (14日 9:00~9:45、31B) で紹介する予定です。 

本シンポジウムの詳細については下記Webサイトをご覧ください。 https://www.gartner.co.jp/symposium

日本でのニュースと最新情報は、ガートナーのTwitter (https://twitter.com/Gartner_jp) でもご覧いただけます (#GartnerSYM)。 

【海外発プレスリリース】
本資料は、ガートナーが海外で発表したプレスリリースを一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含めガートナーが英文で発表したリリースは、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/en/newsroom/

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