市場定義/説明
Gartnerは、CRM顧客エンゲージメント・センター(CEC)市場を、質問への回答、問題の解決、アドバイスの提供など、能動的かつ状況の変化にも対応可能な知的な関与によって、顧客サービスおよびサポート(CSS)を提供することを目的として使用されるソフトウェア・アプリケーションの市場であると定義している。
CECアプリケーションを利用した知的な顧客サービス・プロセスの編成には、顧客が支援を受けながら実施するもの、ならびに、自主的に実施するものの両方が含まれる。CECは通常、ケース管理の記録およびプロセスを中心に構成されるが、その定義は、会話に基づく顧客エンゲージメント(Market Guide for Digital Customer Service and Support Technologiesを参照)などの新たなアプローチにまで及ぶ。CECアプリケーションは、顧客が使用するアプリケーションと共通のプラットフォームで使えるように設計される必要がある。優れたCECアプリケーションには、顧客とのコミュニケーションの中で、顧客のマスターデータを管理することが期待される。
CECアプリケーションでは、ケース管理のサポート、ワークフロー管理、および知識管理の他に、以下のような特性や役割が構成されている。
また、マジック・クアドラントでの評価では、以下の重要性も考慮する。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、企業は、自社を安定させ、回復させ、成長再開に向けて準備を進めるために即座の対応を迫られた。本マジック・クアドラントの評価対象となった企業を含む、多くのCECテクノロジー・ベンダーは、先が見えず混乱した状況下において、顧客に対して極めて重要な支援を提供した。本レポートにおいてGartnerは、この機会を逃すことなく、自社の顧客サービスを通して、そして顧客サービスの域を超えて職場の未来を再形成し、レジリエンスの強化と最適なパフォーマンスの実現に尽力したCECベンダーの取り組みも取り上げて評価している。
マジック・クアドラント
図1:CRM顧客エンゲージメント・センターのマジック・クアドラント
出典:Gartner(2021年6月)
ベンダーの入れ替え
私たちは、市場の変化に応じて、マジック・クアドラントの採用基準を見直し、調整している。これらの調整によって、マジック・クアドラントで評価されるベンダーは、時の流れと共に変化する場合がある。ある年のマジック・クアドラントに含まれていたベンダーが翌年の評価対象から外れたとしても、それは必ずしも私たちがそのベンダーに対する意見を変更したということを意味しない。市場の変化や、それに伴う評価基準の変化を反映させた可能性もあれば、あるいはそのベンダーのフォーカスが変化したという可能性もある。
採用・選外の基準
Gartnerが提供するマジック・クアドラントおよび関連するクリティカル・ケイパビリティ・レポートは、市場にとって重要な意味をもつプロバイダーと、その製品やサービスを特定し評価する。通常Gartnerは、最も重要な意味をもつプロバイダーを効果的に特定および評価するために、評価対象に含まれるベンダー数を20に制限している。しかしながら、リサーチに求められる価値が損なわれる可能性がある場合には、この上限は引き上げられる場合もある。
以下の採用基準は、本リサーチの対象となるために必要なベンダーの要素として、Gartnerの分析担当者が考えるものである。各ベンダーは、評価のために1つの製品もしくはパッケージを提出することが認められている。
市場における存在感および勢い
ベンダーの評価に影響する要素の中には、市場におけるベンダーの存在感、そして成長に見られる勢いが含まれる。売上が停滞しているベンダーや、マーケティングに効果が見られない企業は、見込み客の憂慮を招くであろう。
Gartnerの採用基準は以下の通りである。
リファレンス:2020年の新型コロナウイルス感染拡大を受け、Gartnerはベンダーに対して、リファレンス顧客の紹介を求めないことを決めた。その代わりに、2020年1月1日から2021年2月19日までに収集されたGartnerの顧客インクワイアリおよびPeer Insightsのレビュー(www.gartner.com/reviews)といった、その他の情報源が使用された。
収益推進力:表明内容は、ベンダー企業内の適切な財務担当役員(CFOなど)によって文書で承認される必要がある。必要な要件は以下の通りである。
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2020年12月31日現在で、コンカレントライセンス、指名ユーザーライセンスおよびアプリケーション利用から成る総収入が最低3千万米ドルであることを確認する。
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次の12か月の事業成果において、次の12か月の収益が、前の12カ月の収益と同程度、あるいは上回ることが予想されることを確認する。
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一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)もしくは国際財務報告基準(IFRS)に基づき、2020年12月31日に最も近い日に終了する(ただし2020年9月より前に終了してはいけない)会計1期中の、中核CSSにおけるCRM CECソフトウェアライセンスの新規顧客からの収益が、少なくとも1千万米ドルであることを確認する。
さらに、次に該当することを確実に表明し、証明する必要がある。
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大企業もしくは中堅企業(平均的な顧客サービス担当者が100人を超える事業規模)
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2つの主要地域市場(北米、ラテンアメリカ、EMEA、アジア太平洋地域および日本の中から)
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3つの業界(例として、公共事業、電気通信、ハイテク、石油およびガス、製造、宇宙産業および防衛、自動車、金融サービスおよび保険、化学、医療機器、医療など)
機能の幅:製品は、次の7つの機能カテゴリーのうち少なくとも5つを提供し、その上で統合、分析および拡張機能を提供する必要がある。
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ケース管理
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知識管理
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ワークフローもしくはBPM
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デジタルエンゲージメント・サポートチャネル
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リアルタイムの継続的なインテリジェンス
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モバイル対応のサポート
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エンゲージメントの自動化
プラットフォーム:ベンダーは、モバイル端末やソーシャルメディアを含む新しい開発環境をコード化する必要なく、チャネルをまたぐ顧客サービスの拡張をサポートする技術を有している必要がある。
市場での知名度:ベンダーは、市場に対して存在感を示している必要がある。存在感の有無は、導入候補として定期的に顧客によって検討されたり、展示会に参加したり、他のベンダーから競合として名前を挙げられたりすることから判断できる。
市場先導力:ベンダーは、ソート・リーダーシップを有する必要がある。それは、ライブオペレーション、ウェビナー、市場関連のホワイトペーパー、ブログ記事およびユーザーコミュニティを通して顧客によって認められる。
短期的な存続性:ベンダーは、以下の証拠を提出する必要がある。
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専門サービス提供能力の確保: 次の12か月間における顧客の要求を満たすために十分な専門サービス提供能力を確保していること。
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追加的な専門サービス提供能力: 5年の間2桁の成長を実現するために、サードパーティのコンサルティング会社や統合会社との十分なビジネス実践およびビジネス・エコシステム形成を行っていること。
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販売パイプライン: 新規事業の成長を促すために、潜在顧客と適切な販売チームを結ぶパイプラインを確立していること。
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収益予測: 次の12か月(2020年10月1日開始)の事業成果が、前の12か月の事業成果を上回ることへの裏付けを提出すること。
評価基準
実行能力
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製品/サービス:ベンダーが特定の市場に向けて提供する主要な財・サービス。これには、ネイティブで提供されるか、OEM契約およびパートナーシップによって提供されるかに関わらず、前述の市場定義で定義し、小項目で説明したように、現在の製品およびサービスの能力、品質、機能群、スキル等が含まれる。
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企業としての全体的な存続性:これには、総合的な企業の財政状態、事業単位の財政上および実務上の成功、そして、個々の事業単位が製品に対して継続的に投資していく可能性、継続的に製品を提供していく可能性、ならびに、企業の製品ラインを最先端のものに改善していく可能性に対する評価が含まれる。
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販売実行能力/価格設定:販売前の活動におけるベンダーの能力および活動を支える体制 これには、取引管理、価格設定および交渉、プレセール・サポート、ならびに販売チャネルの全体的な有効性が含まれる。
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市場対応力/実績:機会の発生、競合の動き、顧客のニーズ変化、および市場ダイナミクスの変化に対して反応し、方向性を変え、柔軟に対応し、優位な成果を獲得する能力。この基準は、ベンダーの過去の対応力についても考慮する。
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マーケティングの実行能力:企業メッセージを伝えるために立案されたプログラムの明瞭さ、質の高さ、創造性および有効性。これらは、市場に影響を与え、ブランドや事業を推進し、製品の知名度を向上させると共に、製品/ブランドおよび企業に対するポジティブな印象を購入者の脳内に植え付けることにつながる。この「マインドシェア」は、知名度、販売促進活動、ソート・リーダーシップ、口コミ、および販売活動が総合的に影響して向上する。
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顧客エクスペリエンス:評価対象の製品に対する顧客の成功体験を可能にする関係性、製品、サービスおよびプログラム。これには特に、顧客が受ける技術サポートやアカウントサポートの体制が含まれる。また、補助的なツール、顧客サポートプログラム(およびその品質)、ユーザーグループの有無、サービス品質保証等も含まれる。
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経営:目標や約束の達成に向けた企業の能力。この要素としては、企業が、継続して効果的かつ効率的に事業運営を行う上で必要なスキル、経験、プログラム、システムおよびその他媒体等を含む企業構造の質が含まれる。
表1:実行能力の評価基準
| 評価基準 |
重要度 |
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製品/サービス
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高
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企業としての全体的な存続性
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中
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販売実行能力/価格設定
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高
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市場対応力/実績
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高
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マーケティングの実行能力
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中
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顧客エクスペリエンス
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高
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経営
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中
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出典:Gartner(2021年6月)
ビジョンの完全性
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市場の理解:購入者の要望やニーズを理解し、その理解を製品やサービスに反映させるベンダーの能力。高水準のビジョンを示すベンダーは、購入者の要望やニーズに耳を傾け、理解し、また、新たなビジョンを加えて、その要望やニーズを実現し、あるいは上を行くことができる。
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マーケティング戦略:この基準では、明確かつ差別化が図られた企業メッセージを、企業内で継続的に共有し、また、ウェブサイト、広告、顧客プログラムおよびポジショニング・ステートメントを通して外部に対して発信していることが求められる。
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販売戦略:ベンダーの事業展開範囲、スキル、専門性、技術、サービスおよび顧客ベースをより幅広く、強固なものにするため、直接販売および間接販売、マーケティング、サービスおよびコミュニケーション関連会社の適切なネットワークを使用した製品販売戦略。
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サービス(製品)戦略:現在と将来の課題を明確にしながら、他社との違い、機能性、方法論および機能群に重点を置いた、ベンダーによる製品開発および製品販売のアプローチ。
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ビジネスモデル:ベンダーの基本的なビジネス提案における健全性および論理性。
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業種/業界戦略:垂直市場を含む、個別の市場区分が抱える特定のニーズを満たすことを目的として、資源、スキルおよびサービスを割り当てるベンダー戦略。
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イノベーション:投資、統合、守備的もしくは先制的な行動を目的とした、資源、専門性もしくは資本の直接的、間接的、補完的、および相乗的な配置。
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地理的戦略:いわゆる「ホーム」である自国・地域以外の場所に特有のニーズを満たすことを目的として、直接的か、あるいはパートナー、チャネルおよび関連会社を通し、その地域および市場に合わせた方法で、資源、スキルおよびサービスを割り当てるベンダー戦略。
表2:ビジョンの完全性の評価基準
| 評価基準 |
重要度 |
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市場の理解
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高
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マーケティング戦略
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中
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販売戦略
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高
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サービス(製品)戦略
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中
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ビジネスモデル
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高
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業種/業界戦略
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高
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イノベーション
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中
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地理的戦略
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中
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出典:Gartner(2021年6月)
四分割図の説明
リーダー
「リーダー」は、製品、サービス、顧客エクスペリエンス、ならびに、収益および利益面における堅実な事業成果を通してビジョンを実行する能力で市場を形成する。通常は、複数の地域や業界における幅広い市場ニーズをサポートすることで、幅広い市場顧客の声に答える。しかしながら、「リーダー」企業は、必ずしも垂直市場やその他の専門分野における特定のニーズを満たしている必要はない。「リーダー」企業は、一貫したスケジュールで新たな機能強化やイノベーションを実現することで、製品のリーダーシップを示す。このようなベンダーの開発チームは、デジタル顧客エンゲージメント、AIおよびIoTの影響の拡大、さらに強固なビジネス・エコシステムの形成といった新興分野に対する明確なビジョンを有している。彼らは、GartnerのビジョンであるFuture of Applicationsに対応するような柔軟な製品を設計する。その企業規模および強固な財政が、困難な状況においても、ベンダーが存続し続けることを可能にしている。顧客からは、「リーダー」企業の製品を使用することで、企業がより高い価値を生み出し、高いROIの実現につながったという声が聞かれている。
チャレンジャー
「チャレンジャー」は、自社が選択した市場において高い水準の販売数を誇っている。新事業の30%超が2つ以上の業界に対して行われ、50%超がより幅広いインストールベースへの販売である。顧客の変わりゆくニーズを理解しているが、強いビジョンと技術的なリーダーシップをもってそのニーズを新たな機能分野に反映させるところまでは至らない場合がある。「チャレンジャー」は、しばしばかなりの企業規模および豊富な財政資源、そして他のアプリケーション分野での大きな存在感を有しているが、自社のインストールベース以外のCRM CEC市場で顧客を獲得していく方法について、明確な見解を示していない。したがって、新興の業界トレンドに乗れるほど企業状況が整っているとは言えない可能性がある。時間の経過による製品サイクルや市場ニーズの変化に伴い、大手ベンダーは、四分割図内で「チャレンジャー」と「リーダー」の間を推移することが予想される。
概念先行型
「概念先行型」は、革新的な製品や販売モデルを提供するという面で、多くの競合他社を凌いでいる。彼らは常に先を見据えている。新たなニーズやニーズの変化を予測して顧客サービスに反映したり、それらのニーズに関連した新たな分野に参入したりする。CRM CEC市場の方向性に影響を与えるだけの強い潜在能力があるが、実行力や過去の実績は限定的である。通常、製品および市場での存在感は、「リーダー」企業に肩を並べるほど完全でも確立されてもいないため、こういった企業はハイリスク・ハイリターンのカテゴリーに位置付けられる。「概念先行型」が「チャレンジャー」になるか「リーダー」になるかは、顧客が新しい技術を受け入れるかどうか、または、ベンダーが自社の強みを補完するためにパートナーシップを強化することができるかどうかにかかっている。
特定市場指向型
「特定市場指向型」は、独自のCRM CEC機能をもつ重要な製品を所有しているか、特定の業界もしくは地域に対して事業を展開している。「特定市場指向型」の中には、市場中の特定のセグメントで成果を出しているベンダーや、より広範のCRM CEC市場においてそこまでの革新性はなく、他のベンダーを凌ぐ勢いをもってはいないベンダーが位置付けられている。充実した製品ラインを提供するベンダーもあるが、複数の重要な分野で脆弱性が見られる。例えば、地域に特化した事業展開のため世界的なニーズを満たす能力に乏しい場合がある。少数の大企業、もしくは多数のSMBのサポートに力を入れている。「特定市場指向型」は、市場の幅広い要求に適時応えていく手段を有していない場合がある。しかしながら、特定の顧客サービス企業が抱える現在のニーズに対しては、その費用対効果比を考慮すると、最適なソリューションの提案が可能な場合がしばしばある。
市場状況
顧客サービス技術および新型コロナウイルスの感染拡大
新型コロナウイルスがもたらした世界的な大混乱は、顧客サービスをサポートするアプリケーション・リーダーに対して、今後も様々な短期的・長期的な影響を与え続けるだろう。各業界、市場、チャネルおよび製品に亘って、そのような影響が訪れる時期は予測できない。アプリケーション・リーダーは、差し迫った混乱を計算に入れ、長期ビジョンの達成に向けて企業の状態をより良く整えるために、自社の顧客サービス戦略を再評価する必要がある。そのような準備をしてこそ、エフォートレスかつ価値に基づいた顧客エクスペリエンスを提供することが可能になる(2021 Strategic Roadmap for Customer Service and Support: 10 Dilemmasを参照)。
分断された(混乱した)顧客サービス技術の現状を理解する
顧客との良いエンゲージメントを実現することは、非常に重要である。そのため、顧客サービスソフトウェアのセグメントは、企業がデジタル戦略に継続的な投資を行うに伴って一点に集中していく。顧客サービス技術は、CEC、コンタクトセンター・アプリケーション、WEMおよびフィールドサービス管理といった分野における無数のベンダーやサービスを含む広大な市場で取り扱われている。これらの分野に及ぶ一元的な顧客サービスはまだ存在ないが、市場は徐々にその方向に向かっている。その動きの一方で、企業は、複雑に成長を続け、ますます重複していくアプリケーション市場に適応するという課題に直面することになる。
将来シナリオを見据えて能動的な顧客サービスへの移行に投資する
顧客サービス企業は、顧客からのアプローチを待つという姿勢をとることが多い。このように後手に回るアプローチでは、顧客はかなりのエネルギーを消費することになり、また、特に顧客がしばしばチャネルを切り替えたり、複数のチャネルを同時に使用したりするために、セルフサービスの有効性および収益性が制限される。そのためGartnerは、可能な場合は自動技術を利用して、先手の対応で顧客にコンタクトを取ることを推奨している。多くの顧客は、このような対応を高いレベルのサービスとして捉えるであろう。最高度のサービス要求に対応するために、自動化の実行可能性(問題等を検出する機能を含む)や、顧客からのリクエストを受け取る前に能動的にコンタクトを行うことの影響を評価すると良い。
CEC機能を構築している企業は、次世代のCECがどのようなものになりそうか認識する必要がある。本マジック・クアドラントで使用されている評価基準は、今後の成功のために必要となる要件を重視し、The Future of the Customer Engagement Centerに記載されている将来シナリオのひとつまたは複数をサポートするベンダーの進捗を評価する。さらに、当社のリサーチおよび顧客への調査を基に、CRM CECに関して企業が下すべき決断の多くを適切に反映していると考える5つの利用例を紹介する。
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グローバル取引:この利用例では、複雑なグローバル規模のインフラストラクチャ、クラウドの弾力性、レイテンシ、多国間セキュリティおよびローカルビジネスルールのサポートにフォーカスを置く。
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企業間取引:通常B2B企業は、顧客数は少ないが、より深い顧客洞察力を備えていることが多い。パーソナライゼーション、継続性かつ一貫性のあるサービスの提供、および顧客に特化したアドバイスに対するニーズが高い。
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企業・消費者間取引:通常B2Cは大規模な顧客ベースをもち、自社が提供するチャネルを介した直接的な顧客エンゲージメントに大きく依存している。
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公共部門:この利用例は、市民とかかわり合う公共機関を表す。公共機関では、しばしばバックエンドシステムおよびプロセスが集中的に統合されている。
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デジタル顧客サービス:この利用例では、顧客サービス管理マネージャーが顧客サービス環境の設定を迅速に変更する必要性にフォーカスを置く。複数のデジタルエンゲージメント・チャネルを通した継続的な会話のオーケストレーションに重点を置く。
市場概要
CEC市場を含む、229憶米ドル規模のCRM CSSソフトウェア市場は、2024年までの5年間において、米ドル建てで10.3%の複合年間成長率を実現すると予想され、顧客エクスペリエンス/CRM市場における最大のサブセグメントであり続けるだろう(CRM市場におけるCSSの割合は、2019年で34%であった)。2020年の予測成長率は、17%(2018年から2019年)から5%(2019年から2020年)へとその数字を落としている。これは、他のCRMサブセグメントと同様の傾向である。しかしながら、各企業がCSS技術を優先していることから、CSS分野の収益はある程度守られていると言える。2021年に入ると、成長率は12%に回復する見込みだ。(出典:Forecast Analysis: CRM Customer Service and Support Software, Worldwide)
CSS市場の競争は激しいが、細かく分割されている。上位10社のベンダーがCSS市場の大部分を占め、57%のシェアを支配している。CSS技術の中心となる分野はCECであり、CSS市場の63%を占める。収益から見るCRM CECのトップベンダーは、上位からSalesforce、Oracle、SAP、そしてZendeskである。また、CEC市場には、特にAI、チャット、分析およびセルフサービスをサポートする、先進的な技術を取り扱う多数の小規模ベンダーが含まれる。(出典:Market Opportunity Map: Customer Service and Support and Digital Commerce, Worldwide)
アプリケーション・リーダーにとって重要な調査結果:
昨今のCEC市場再形成の動きは、顧客サービス技術市場の統合を象徴するものであると言える。CSS企業は顧客に対して、一貫性があり、エフォートレスかつインテリジェントな顧客サービスを、顧客に最適な形で提供する必要がある。補助的なサービスやセルフサービスを利用し、顧客リクエストに総合対応できる能力は、優れた顧客サービスに必要な次の4本の柱のうち、2本目の要素である。
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接続可能性
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プロセス統合処理
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リソース管理
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分析とインサイト
これら4本の柱は、従前より個々の投資分野に共通する要素であるが、各投資間の統制はとれていないのが現状である。最適かつよりインテリジェントで一貫性があり、顧客に特化したエフォートレスな顧客エクスペリエンスを提供するために、この分野間の統制は必須である。その必要性が今、顕著になっていきている(Customer Service and Support Technology Primer for 2021を参照)。
パンデミックの初期から、Gartnerの顧客サービスチームに寄せられるCRM CECアプリケーションに関する問い合わせ件数は急激に増加し始めた。急速に変化を続けるCSS市場についてGartnerがアプリケーション・リーダーと何度も重ねた会話の中で、2つの重要な要素が浮き彫りになった。
1つ目は、従来の、リアクション型の顧客サービスの枠組みが崩壊したということである。
サービス提供企業は、コスト削減と顧客エクスペリエンスの向上を期待してデジタルチャネルを導入してきた。しかしながら、結果としてコストは増加し、顧客エクスペリエンスの質の向上にもつながっていない。
1960年代から、パンデミックが始まった2020年まで、顧客サービス担当者(CSR)は、オフィスに他のCSRたちとデスクを並べていながら、基本的に隔離された空間で仕事を行ってきた。そして、高い知識もないままに原稿を使用し、限られたチャネルを通して顧客の課題解決にあたってきた。しかし、パンデミックが起こり、CSRたちは在宅勤務という、それまでとは異なる隔離環境での仕事を余儀なくされた。それは、繋がりを重視するビジネス・エコシステムでは通常あり得ない業務形態であった。Gartnerは、在宅勤務の急増傾向が落ち着いていくと予想しているが、パンデミック以前の水準まで戻るとは考えにくい。大半の企業は、CSRの半数以上(51%)を今後も基本的に在宅勤務とするとの考えを示しているのだ。さらに、デジタル・インタラクションの指数関数的増加は、従来型の販売モデルをも崩壊させようとしている。チャネルに懐疑的な購入者は、販売、マーケティングおよびサービス責任者に対して、適応可能な販売モデルを構築すること、そして、各機能の統制、役割、および責任について再検討することを求めている。(詳細はSurvey Analysis: Customer Experience Maturity and Investment Priorities, 2020を参照。)
2つ目の重要要素は、顧客サービスには回復力と柔軟性が求められるということである。
この高い不確実性に対処するためには、パンデミック後の「ニューノーマル」の予測と同時に、企業の回復力と柔軟性の向上にも取り組むべきである。企業がこの危機を生き延び、さらに強く成長するためには、イノベーションの機会を掴み取り、長期的な企業改善に向けて動き出さなければならない。顧客サービス企業は、複数のチャネル、部署およびシステムにわたる変化に対応するアプローチを理解することで、不確実な状況に適応していく必要がある。既知のアプローチを使用して、カスタマージャーニーやプロセス、インタラクションを再構築することは可能かもしれない。しかしながら、新たな行動様式においては新たなアプローチが必要となりうるのだ(CIOs Need to Embrace Radical Flexibility to Drive the Post-COVID-19 Work Experienceを参照)。
CRM CEC市場において、顧客対応に求められる複雑な情報へのサポート、カスタマージャーニーにおける各インタラクション手順に関連するビジネスルールおよびプロセスへのサポートに関して、ベンダーの成熟度はそれぞれ異なっている。潜在顧客企業は、以下の情報を参考にすると良いだろう。
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よりシンプルな顧客サービスのプロセスモデルに関して、Gartnerの顧客が最も言及するベンダーは、アルファベット順に Microsoft、Salesforce、Zendeskである。しかし、Freshworks、SugarCRM、およびZohoについても恒常的に話題にのぼる。
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一方で、より複雑なビジネスルールおよびプロセスに関して言及される傾向にあるベンダーは、アルファベット順にAppian、CRMNEXT、Oracle、Pegasystems、Salesforce、およびSAPである。
評価基準の定義
実行能力
製品/サービス:ベンダーが特定の市場に向けて提供する主要な財・サービス。れには、ネイティブで提供されるか、OEM契約およびパートナーシップによって提供されるかに関わらず、前述の市場定義で定義し、小項目で説明したように、現在の製品およびサービスの能力、品質、機能群、スキル等が含まれる。
企業としての全体的な存続性:存続性には、総合的な企業の財政状態、事業単位の財政上および実務上の成功、そして、個々の事業単位が製品に対して継続的に投資していく可能性、継続的に製品を提供していく可能性、ならびに、企業の製品ラインを最先端のものに改善していく可能性に対する評価が含まれる。
販売実行能力/価格設定:販売前の活動におけるベンダーの能力および活動を支える体制。これには、取引管理、価格設定および交渉、プレセール・サポート、ならびに販売チャネルの全体的な有効性が含まれる。
市場対応力/実績:機会の発生、競合の動き、顧客のニーズ変化、および市場ダイナミクスの変化に対して反応し、方向性を変え、柔軟に対応し、優位な成果を獲得する能力。この基準は、ベンダーの過去の反応能力についても考慮する。
マーケティングの実行能力:企業メッセージを伝えるために立案されたプログラムの明瞭さ、質の高さ、創造性および有効性。これらは、市場に影響を与え、ブランドや事業を推進し、製品の知名度を向上させると共に、製品/ブランドおよび企業に対するポジティブな印象を購入者の脳内に植え付けることにつながる。この「マインドシェア」は、知名度、販売促進活動、ソート・リーダーシップ、口コミ、および販売活動が総合的に影響して向上する。
顧客エクスペリエンス:評価対象の製品に対する顧客の成功体験を可能にする関係性、製品、サービスおよびプログラム。これには特に、顧客が受ける技術サポートやアカウントサポートの体制が含まれる。また、補助的なツール、顧客サポートプログラム(およびその品質)、ユーザーグループの有無、サービス品質保証等も含まれる。
経営:目標や約束の達成に向けた企業の能力。この要素としては、企業が、継続して効果的かつ効率的に事業運営を行う上で必要なスキル、経験、プログラム、システムおよびその他媒体等を含む企業構造の質が含まれる。
ビジョンの完全性
市場の理解:購入者の要望やニーズを理解し、その理解を製品やサービスに反映させるベンダーの能力。高水準のビジョンを示すベンダーは、購入者の要望やニーズに耳を傾け、理解し、また、新たなビジョンを加えて、その要望やニーズを実現し、あるいは上を行くとができる。
マーケティング戦略:明確かつ差別化が図られた企業メッセージを、企業内で継続的に共有し、また、ウェブサイト、広告、顧客プログラムおよびポジショニングステートメントを通して外部に対して発信していること。
販売戦略:事業展開範囲、スキル、専門性、技術、サービスおよび顧客ベースをより幅広く、強固なものにするため、直接販売および間接販売、マーケティング、サービスおよびコミュニケーション関連会社の適切なネットワークを使用した製品販売戦略。
サービス(製品)戦略:現在と将来の課題を明確にしながら、他社との違い、機能性、方法論および機能群に重点を置いた、ベンダーによる製品開発および製品販売のアプローチ。
ビジネスモデル:ベンダーの基本的なビジネス提案における健全性および論理性。
業種/業界戦略:垂直市場を含む、個別の市場区分が抱える特定のニーズを満たすことを目的として、資源、スキルおよびサービスを割り当てるベンダー戦略。
イノベーション:投資、統合、守備的もしくは先制的な行動を目的とした、資源、専門性もしくは資本の直接的、間接的、補完的、および相乗的な配置。
地理的戦略:いわゆる「ホーム」である自国・地域以外の場所に特有のニーズを満たすことを目的として、直接的か、あるいはパートナー、チャネルおよび関連会社を通し、その地域および市場に合わせた方法で、資源、スキルおよびサービスを割り当てるベンダー戦略。