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カスタマーデータプラットフォームの マジック・クアドラント

2025年3月25日 - ID G00815185 - 通読時間61分
執筆者:Lizzy Foo Kune、Rachel Smith、Benjamin Bloom、Audrey Brosnan、Suzanne White、David Walters、Adriel Tey
CDPがマーテックの域を越えて企業の戦略的投資に進化しつつある現在、バイヤーはさまざまな部門のステークホルダーへの費用対効果を評価する必要があります。本リサーチは、テクノロジーとデータに関する全社的なニーズに対応し、顧客対応機能やアップストリームのビジネスアプリケーションを強化するプラットフォームを選定できるようCMOを支援します。

市場定義/説明


Gartnerが定義するカスタマーデータプラットフォーム(CDP)とは、企業がマーケティングその他のチャネルから入手した顧客データを統合することにより、マーケティングや顧客エクスペリエンスのユースケースに対応するためのソフトウェアアプリケーションです。CDPは、メッセージ、オファー、顧客エンゲージメント活動のタイミングやターゲティングを最適化し、個人レベルの顧客行動の経時的な分析を可能にします。
カスタマーデータプラットフォーム(CDP)の目的は、データ収集を一元化し、様々に異なるソースからの顧客データをプロファイルに統合することです。アナリストやデータエンジニアはCDPを使用して、上位のビジネスプロセス(主としてマーケティング)をサポートするデータ管理タスクを実行することができます。ただし、クロスCRM機能や、財務および製品管理の目的で用いられるケースも増えています。CDPは本来、マーケティングのユースケースに対応するために生まれましたが、データ管理やITなど、顧客対応に携わるその他のビジネスユーザー(例:セールスやサービス、サポート)からの関心も高まりつつあります。このテクノロジーの購買を担当するグループは、IT役職者が圧倒的多数を占めています。
CDPは、多様なビジネスアプリケーションおよびCRMシステムをオーケストレーションし、企業による市場投入(GTM)の実施を強化し、より適切に調整できるようにします(例:B2Bにおける一貫した商業活動、B2Cビジネスにおけるカスタマージャーニーのオーケストレーションなど)。これらのシステムの多くは、ターゲティングのために顧客レベルのデータやオーディエンスの管理も行います。しかし、その過程で様々なチャネル間(および競合するベンダーソリューション間)におけるデータガバナンスとオーケストレーションの課題が生じます。CDPは、様々に異なる顧客データを集中管理された1つの場所に集め、顧客ライフサイクル全体にわたってエンゲージメントを行う顧客対応チームがアクセスできるようにすることで、この課題に対処します。
CDPは現時点では、企業のマスターデータ管理を代替するものではありません。しかし、マーケティングなどの顧客対応機能でインタラクションを調整するために顧客プロファイルデータ、トランザクションイベント、分析属性が必要になった時点で、これらを確実に利用可能にします。CDPは、フロントオフィスとバックオフィス(例:GTMとR&D/業務部門)の間における双方向のデータフローを統制します。

必須の機能

CDPは最低限、以下のことを実行する必要があります。
  • データの収集
    • ファーストパーティの個人レベルの顧客データを、複数のソースおよびフォーマットから、オンラインとオフラインで、リアルタイムに、ストレージの制限なく取り込む(抽出する)こと。データは処理のために必要である限り、一般に元のソースと同じフォーマットのまま残されます。この中には、匿名および既知のファーストパーティID、行動、属性が含まれます。
  • プロファイルの統合
    • 個人レベルのプロファイルを統合し、属性をアイデンティティに結び付けること。これには、顧客を1つの世帯に集約することや、B2Bまたはアカウントベースマーケティング(ABM)のユースケースに対応する、アカウントレベルでの集約が含まれます。
  • アクティベーション
    • 特に、Eメールキャンペーン、モバイルメッセージ、広告などの目的で、 セグメントをアクティベーションの指示とともにエンゲージメントツールに送信可能であること。
  • 分析レポートreporting
    • 属性レベル、プロファイルレベル、セグメントレベルなど、顧客データの様々なレベルに対応するパフォーマンス分析。

一般的な機能

一般的な機能には、以下が含まれます。
  • セグメンテーション
    • マーケターがセグメントまたはオーディエンスを作成・管理するためのインターフェイス。基本的な製品では、ルールベースのセグメント作成がサポートされます。
    • 顧客関係に影響する重要なイベントを検知し、優先度を付け、それに対する最適なレスポンスを予測するための分析をサポート。
  • 統合
    • 他のツール、プログラム、アプリ、チャネルに接続し、データや命令のやり取りが可能であること。
    • クラウドデータウェアハウスとのデータの相互運用性は、CDPの差別化要因となる新しい機能です。これには、クラウドのデータウェアハウスから直接データを取得またはクエリを実行し、ポイントソリューションにデータをオーケストレーションする機能が含まれます。
    • 一部のCDPは、構造化、半構造化、非構造化データの永続性や統合された形での取得に対応する、レイクハウス設計アプローチを採用しています。このアプローチでは、バッチ、ストリーミング、インタラクティブモードのデータ処理もサポートされます。
  • データモデルの管理
    • 顧客データをどのように構造化するか、プロファイルにどのような属性や特質を含めるべきかの説明。
  • プライバシー
    • ユーザーレベルのデータアクセスの保護および監査、不用意なデータ共有を最小化するためのマスク等のアプローチ、一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)などの規制要件への適合、個人レベルの顧客同意フラグとの同期化が可能であること。
  • パーソナライゼーションとオーケストレーション
    • 複数の属性および特質によって定義されるオーディエンスグループへの、マーケティングチャネル経由でのメッセージ、コンテンツ、オファー、インタラクションの最適化が可能であること。標準搭載でモデル(次善のアクション機能、チャネルに依存しない推奨エンジンなど)やコンテンツ/オファー最適化機能が含まれる場合もあります。高度な製品/サービスでは、パーソナライズと意思決定がリアルタイムで行われることがあります。
  • 同意と選好性の管理
    • 個人データの取り扱い方法に関するエンドユーザーの選択や意向を収集・統合し、これらの選択を様々なマーケティングシステムおよびチャネル間で同期化。
  • データサイエンスワークベンチ
    • これには、CDP内部でRまたはPythonを使用して機械学習モデルをインポートおよび管理する機能など、標準搭載で使用可能な予測モデルを越える機能が含まれます。
    • それに加えて、顧客エクスペリエンスを監視し、成功したキャンペーンセグメントに基づいて自己最適化するためのA/Bテストや多変量テストをCDPが有効化できます。
  • アカウントレベルの集約
    • B2Bデータエンリッチメント機能に支援されたID解決により、特定の企業に関連する連絡先をアカウントまたは組織レベルで集約し、B2Bリード管理や、セールスとの一貫した商業活動に対応。
  • CXチャネルおよびシステムとの接続
    • 顧客属性とマーケティングエンゲージメントを収集し、カスタマーサービス/サポート、デジタルコマース、セールスなどの顧客エンゲージメントテクノロジーに対して展開。
  • IDグラフおよびデータクリーンルーム
    • ID解決パートナー(Merkle、LiveRampなど)とのパートナーシップを利用し、仮名を用いたウェブ訪問を追跡・特定。または、データクリーンルームを通じて広告の測定およびアクティベーションのユースケースに対応。

マジック・クアドラント


図1:カスタマーデータプラットフォームのマジック・クアドラント

The Magic Quadrant for customer data platforms shows 12 providers positioned in a scatterplot with the x-axis rating their Completeness of Vision and the y-axis rating Ability to Execute. This chart is split into quadrants with the top right labeled as Leaders, top left as Challengers, bottom left as Niche Players and bottom right as Visionaries. As of February 2025,  the Leaders are Salesforce and Tealium; the Challengers are Oracle and Treasure Data; the Visionaries are ActionIQ Amperity, BlueConic, mParticle, Redpoint Global, and Zeta Global; and the Niche Players are Adobe.
ベンダーの強みと注意点
ActionIQ

ActionIQは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に分類されます。同社のCX Hubのモジュールには、Audiences、Identity、Journeys、Real-Timeがあります。複数のデータウェアハウスを使用して、顧客プロファイルデータを作成または同期化できます。また、顧客エクスペリエンスシステムを通じてリアルタイムのマーケティングアクティベーションに対応します。同社は米国を本拠地とし、顧客の大部分がハイテクおよびビジネスサービス業界のB2B企業と、メディア・小売・金融サービス業界のB2C企業です。2024年、ActionIQはいくつかの生成AI(GenAI)対応の機能を発表しました。これらはAI Audience、AI Explainer、AI Assistant、AI Contentです。クラウドウェアハウスパートナーとの統合を深化させるため、HybridComputeアーキテクチャでリアルタイムコネクタを介して強化された統合を計画中です。
2024年12月、UniphoreによるActionIQの買収計画が発表されました。ActionIQは、今回の評価期間中、本マジック・クアドラントへの掲載基準を満たしており、独立した事業体として運営されていました。
強み
  • データウェアハウスとのシナジー:ActionIQは、同社のHybridComputeアーキテクチャによってデータウェアハウス統合をサポートしています。これには、Snowflake、Amazon RedShift、Databricks、Terradata、Google BigQueryとのデータ共有およびリバースETLが含まれます。この機能によってデータパイプラインの管理と統制が簡素化され、クライアントはCDPと統合先データウェアハウスとの間で、最小限の遅延で柔軟にデータの保存や処理を行うことができます。
  • 強力な概念実証(POC):ActionIQのPOCでは、見込み客の希望するビジネス成果のために必要とされる技術的な機能、データ統合、プラットフォームの使いやすさについて、6~12週間で検証します。新規クライアントのほぼ3分の2がPOCを実施しています。同社は本リサーチの対象となったベンダーの中で、POCからのコンバージョン率が最も高いグループに属しています。
  • データコラボレーション:ActionIQのパートナーシップは、アイデンティティの分野におけるデータコラボレーションに対応します。データクリーンルームに対するActionIQの非依存的アプローチでは、ベンダーとのネイティブコネクタと、アイデンティティ解決ベンダーとの直接的なパートナーシップにより強化されたプロファイル属性が使用されます。
注意点
  • ビジョン:ActionIQのビジョンには、クラウドデータウェアハウスパートナーによるイノベーションが必要です。同社の戦略は、マーケティングチームとITチームの連携が取れた成熟度の高いデータウェアハウスを使用する、大企業クライアントに依存しています。平均受注額の縮小から見て取れるように、同社がウェアハウス統合を活用する能力は弱まっています。バイヤーはこのビジョンが自社のデータ戦略や技術ロードマップに適合しているかどうか判断する必要があります。
  • ポートフォリオの幅広さ:UniphoreによるActionIQの買収は、AI製品の拡張と、エージェンティックAIおよびCXプラットフォームの提供を前提としています。これはスタンドアロンのCDP製品よりも焦点が多様です。バイヤーは、はるかに大規模なAI製品との関連においては特に、公約した機能リリースをUniphoreがどれほど守るかを評価する必要があります。
  • 幅広い市場化戦略:中規模企業によるセルフサービス購入に向けたActionIQの製品デモおよび新しいマーケティングの動きは、現行製品の延長です。より小規模なバイヤーをターゲットにした場合、今年の評価で指摘された、製品の弱い分野(セルフサービス式のデータ構成とオンボーディング、クエリのトラブルシューティング、プラットフォーム内分析など)による影響が悪化する可能性があります。
Adobe

Adobeは、本マジック・クアドラントでは「概念先行型」に位置付けられます。同社のReal-Time CDPは、顧客データを収集・統合し、Adobeのエコシステム内外でデータやインサイトをアクティベーションします。同社のグローバルな事業活動の対象は、ほとんどがB2C企業ですが、一部にB2Bおよびハイブリッド企業も含まれ、顧客業種は多岐にわたっています。CDP内部におけるデータの移動や複製を伴わないデータウェアハウス資産へのアクセスを拡大するため、同社は2024年、Federated Audience Compositionをリリースしました。Adobeは、オーディエンスの検出/測定に対応するプライバシー中心型の製品、Real-Time CDP Collaborationのリリースを予定しています。さらに、データのオンボーディングとサポートを目的とするAIの継続的な前進も予定しています。
強み
  • GenAIのビジョン:Adobeの大規模なCreative Cloud顧客ベースにより、CDPにおける今後のGenAIユースケースへの差別化されたビジョンが生み出されています。ツール内GenAI機能は今のところAIアシスタントに特化していますが、Adobeが予見する長期的なCDPの進化では、Fireflyによって動作する創造的生成ワークフローの統合により、統一されたCDPプロファイルに基づくコンテンツ生成が可能になる見通しです。
  • 成長率:Real-Time CDPの顧客数は、2019年の発売以来、大幅に増加しています。2024年第2四半期の時点で、Adobe Experience Platformのネイティブポートフォリオは、サブスクリプション収益が前年比60%の伸びを示しました。コンサルティング会社、SI、エージェンシーサービスプロバイダーで構成されるAdobeのパートナーエコシステムが、この勢いを支えています。
  • 業種別の支援策:Adobe Real-Time CDPの顧客企業は、多様な業種に広がっています。小売、金融サービス、医療、ホスピタリティなど、ファーストパーティの豊富なデータを扱う業種を対象に、データ正規化を容易にして価値創出までの時間を短縮する、標準搭載(OOTB)スキーマを提供しています。また、金融サービスおよび医療向けの製品内ユースケースプレイブックもリリースしています。
注意点
  • プラットフォームのパッケージング:Adobe Experience Platformポートフォリオは、Real-Time CDP、Adobe Journey Optimizer、およびCustomer Journey Analyticsの各製品を含むAdobeのカスタマーエクスペリエンスオーケストレーション用ソリューションです。Real-Time CDPをスタンドアロンCDPとして購入する顧客は、詳細なパーソナライゼーション/オーケストレーション機能を利用するにはAdobe Journey Optimizer、高度な測定/レポートを利用するにはCustomer Journey Analyticsにも投資しなければならない可能性があります。
  • 総保有コスト:Adobeの非Adobe Experience Platformネイティブな製品ポートフォリオ(Adobe Analytics、Campaign、Marketo、Targetなどの製品)の幅広さにより、既存顧客のCDP導入ロードマップが複雑化し、製品モジュール、時間、コストが余分に必要になる可能性があります。Real-Time CDPは、Adobe AnalyticsやTargetなどの非ネイティブなAdobe Experience Platform製品と統合可能ですが、高度なユースケースのある顧客の場合、時間やコストの面でネイティブ製品のような効率性は得られません。
  • パッケージ化された統合が限定的:Adobeの事前構築済み統合のライブラリは、本リサーチでは平均以下です。顧客はセルフサービス式のSDKを利用してサードパーティシステムとの相互運用性を高めることができますが、その場合、専門サービスや技術サポートのコストが高騰するリスクがあります。
Amperity

Amperityは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられます。同社製CDPは、AI駆動型アイデンティティソリューション、アドテックプラットフォームとの統合、メディア測定機能により、技術チームとメディアチームを支援して顧客データの統合とアクティベーションを実行します。Amperityは北米を拠点に事業を行い、欧州とAPACにも進出しています。同社の顧客は、ほとんどが大手のB2C企業です。2024年、Amperityはデータ探索のための新しいGenAIソリューションAmpAIを発表するとともに、Amps単位を用いた消費量ベースの価格モデルを採用し、柔軟な請求処理を実現しました。同社はDatabricksおよびSnowflake以外にも各種レイクハウスとのゼロコピーのデータ共有サポートの開発を継続するとともに、マーケティングを中心とする購買担当者グループ以外にもプレゼンスを広げていく計画です。
強み
  • トラッキングおよびレポート機能:Amperity Benchmarkingは、同じような規模、業種、所在地の企業と比較して自社がどのような立場にあるかを確認するのに役立ちます。このベンチマークでは、データの統合状況、パートナーシップの接続性、マーケティングキャンペーンの成功度に着目し、クライアントのさらなる成功への機会特定を支援します。
  • メディアおよび測定ユースケースのサポート:Amperityは、メディアアクティベーションおよびキャンペーン測定のユースケースに幅広く対応しています。同社のAI駆動型アイデンティティソリューションは早い時期から市場に投入されており、クライアントはAmpIDを使用して、ユーザープロファイルに基づくアイデンティティグラフを作成することができます。「すべてのIDキーチェーンの統合」により、Unified ID 2.0との統合も含めて、CDP内部でIDキーチェーンを管理することができます。The Trade Deskなどの広告テクノロジー(アドテック)プロバイダーにより、この市場の他のデータスペシャリストCDPを上回るアクティベーション機会が提供されます。
  • 成長率:Amperityの報告では、一貫性のある年平均成長率(CAGR)、良好な売上維持率、市場統合にも関わらず適度な取引サイズが示されています。バイヤーのニーズを理解することが、同社の取引成立へのアプローチとなっています。
注意点
  • 運用:Amperityは、過去2年間にわたって従業員数を削減しています。同社には2022年以来、3人のCEOと1人の暫定CEOが存在しました。Amperityは著しい成長を示しましたが、潜在的バイヤーは、契約によって受けることになる必要な運用サポートの一貫性について評価する必要があります。
  • 技術系バイヤーが照準:Amperityは、機能セットの中核的な価値命題を、データ管理の実現に重点を置く技術系バイヤー寄りに移行させつつあります。そのため、ビジネス成果のユースケースに重点を置くバイヤー向けには、投資の対象となる明確な価値ストーリーが提示されない可能性があります。
  • データ共有のサポート:Amperityは、Amperity Bridge経由でのレイクハウス実装のためDatabricksと、SnowflakeによるSecure Data Sharingをサポートしています。その他のプロバイダーとの将来的な統合がロードマップに挙げられていますが、同社製CDPはデータ共有のサポートに関しては市場より遅れています。
BlueConic

BlueConicは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に分類されます。同社のマーケターフレンドリーなCDPは、柔軟なルールベースのGenAIセグメントビルダーと、標準搭載のオーディエンス可視化機能を通じて、ファーストパーティデータの収集と統合、および堅牢な顧客セグメントの構築に焦点を合わせています。同社は南北米大陸と欧州を中心に事業を展開しており、顧客基盤の半分近くが欧州企業です。同社の顧客は中~大規模のB2C企業が多く、業種としてはメディアと小売が中心です。2024年にJebbitソフトウェアを買収した結果、製品マッチクイズ、トリビアゲーム、インタラクティブ投票など独自のエクスペリエンスをマーケターが作成することにより、ファーストパーティデータを取得することが可能になりました。同社はSnowflakeおよびDatabricksとのゼロコピーデータ共有を追加する計画です。また、プラットフォームUIにAI機能をさらに多く追加する計画です。
強み
  • オーディエンス構築機能:BlueConicは、クイズやトリビアゲームなどの対話型エクスペリエンスをマーケターが作成できるJebbitの買収により、ファーストパーティデータを収集するための独自の方法を提供し、差別化を図っています。さらに、ネイティブのデータクリーンルームにより、プライバシーを保護しつつセカンドパーティデータを共有可能にしています。
  • 市場対応力:顧客の言葉に耳を傾ける努力が、製品とロードマップの重要な拡張につながっています。具体的に言うと、セグメントクラスタリングへの大規模言語モデル(LLM)の組み込みと、コンポーザブルな機能をより多く追加する方向への戦略的転換があります。
  • 欧州でのプレゼンス:BlueConicは顧客基盤の半数近くが欧州企業であり、従業員の40%以上が欧州を拠点に地域サポートを行っています。グローバル企業の顧客は、地域別の法令遵守のため(例:EU一般データ保護規則[GDPR])、米国とEUにそれぞれ対応する2つのテナントをホスティングすることができます。BlueConicは、プライバシーに関する選好性を管理するための強力なツール内機能を継続的に提供しています。
注意点
  • 製品(サービス)戦略:BlueConicは、クラウドベースの大規模なデータウェアハウスとのデータ共有サポートに関しては、この市場の他のベンダーに後れを取っています。Microsoft Azure、Google Cloud Platform、Databricks Delta Sharingとのリアルタイムデータ共有に対応していません。2025年のロードマップで拡張が予定されているとはいえ、データエコシステムに重点を置くバイヤーは、BlueConicのロードマップが統合の要件を満たしているかどうかを慎重に評価する必要があります。
  • 企業としての全体的な存続性:CDP市場が著しく成長しつつあるにも関わらず、BlueConicの新規顧客増加率(2020~2024年)は、本リサーチで評価したプロバイダーの中で比較的遅いペースとなっています。CMOは現在の製品機能、BlueConicのロードマップ、および市場平均を超えてイノベーションを実現する能力について評価する必要があります。
  • 業種フォーカス:BlueConicは、新規取引および製品内機能(業界固有の基準データモデルなど)の両面で、メディア/出版、小売、CPGを非常に重視しています。世界的なパートナー規模という点では、評価対象となった他の多くのベンダーの域に達していません。この部分が初期段階のため、上記以外の業種の潜在顧客にリーチするのは一層困難です。
mParticle

mParticleは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられます。同社製CDPを使用すると、マーケターがオーディエンスデータを分析、アクティベーション、統制することができ、特にモバイルアプリケーションを使用するB2Cブランドのライフサイクルマーケティングに対応可能です。同社の顧客企業はほとんどが北米および欧州の企業であり、業種としてはメディア、消費財、小売、金融サービスが中心です。標準搭載のカスタマージャーニー分析は、顧客行動の調査、オーディエンスセグメント/顧客属性の検出に対応しています。同社のWarehouse Syncは、Snowflake、Google BigQuery、Amazon Redshiftとの双方向データ統合およびプロファイル強化をサポートしています。同社のロードマップには、Databricks以外のウェアハウスプラットフォームにリアルタイムデータ共有のサポートを拡大することが含まれています。
2025年1月、RoktがmParticleとの合併計画を発表しました。mParticleは、今回の評価期間中、本マジック・クアドラントへの掲載基準を満たしており、独立した事業体として運営されていました。
強み
  • 総所有コスト:mParticleの価値ベースの価格設定は、最新の顧客データスタックおよびレイクハウスアプローチの経済に関する理解を反映しています。イベント量が製品消費量の主要な指標値であり、購入しても使用しなかったクレジットは年単位で繰り越されます。この特徴は、複数年契約のリスクを低減する差別化要因です。
  • データガバナンス:mParticleのデータガバナンスおよびコンテンツ管理機能は、信頼に基づく顧客との関係構築を支援します。この中には、データの収集と送信に関する同意ポリシーの適用が含まれます。データプランにより、データの取り込み時に制限または隔離を目的とする自動的なデータフィルタリングが可能になります。このプラットフォームでは、オーディエンスのアクティベーション時における機密性の高い顧客属性の送信が最小限に抑えられます。
  • GenAIのロードマップ:予定されているGenAIイノベーションは、自然言語によるオーディエンス作成、傾向スコア、分析レポートなど、分析、レポート、アクティベーションの各分野に広がっています。特に、自然言語の変換ビルダーによって、データを複雑に操作するためのコードを開発者が書く必要性が少なくなります。
注意点
  • 業種の偏向性:mParticleの顧客企業は、ファストフードチェーン、小売、メディア、エンターテインメントなどの業界セグメントに大きく集中しています。医療やライフサイエンスに関しては、サポートが限定的です。このような業種のバイヤーは、2025年に計画されている同社のU.S. HIPAAサポートが、中期的なニーズに対応しているかどうかを判断する必要があります。
  • パーソナライゼーションのサポート:mParticleでは、オファーライブラリの管理やパーソナライゼーション用コンテンツに重点が置かれていません。予測を活用するパーソナライゼーション戦略の場合、独自のAIおよびML機能を備えた別のジャーニーオーケストレーションツールとの慎重な連携が必要です。
  • パートナーネットワーク:mParticleのパートナーネットワークは、本リサーチの大部分のベンダーより規模が小さく、既存のパートナーでも、この製品の実装に豊富な経験のあるパートナーはごく少数です。Pathways認定プログラムなどの投資が続けられていますが、ソリューションパートナーおよびチャネル戦略は依然として発展途上です。
Oracle

Oracleは、本マジック・クアドラントでは「チャレンジャー」に位置付けられます。同社のUnity CDPを使用すると、データ管理に関して複雑なニーズのある大手のB2BおよびB2C企業が、バックオフィスと業務用ビジネスプロセスを接続しながら統一されたカスタマーエクスペリエンスを提供し、収益を加速させることが可能になります。 同社は多様な地域で事業を展開し、あらゆる業種の企業を顧客としています。AI関連の計画としては、ユーザーペルソナによる使いやすさの向上、LLM ベースのUnity Digital Assistant、役職名の正規化モデル、機会スコアの拡張、顧客アカウントの空白をターゲットとするAIオーディエンスセグメンテーションの強化が含まれます。その他の計画としては、ジャーニーオーケストレーションの更新、LinkedInの双方向統合、電話番号に対応するGoogle Display & Video 360コネクタ、MAIDおよびPIIマッチIDが含まれます。
強み
  • 透明な価格設定:Oracleの価格設定は、ID解決後に保存されたユニークプロファイルの総数と、トラッキング対象のウェブまたはアプリケーションプロパティの年間セッション数を基準とします。Unity CDPは、独自のデータインフラ上に構築されています。そのため、データのイングレス/エグレス、ストレージ、属性の計算、オーディエンス数、データのクエリなど、その他の要因についてはOracleは課金しません。
  • 統一された商用エクスペリエンス:Oracleは近年、業界エンドユーザーにとっての価値創出の迅速化、バックエンドおよびフロントエンドデジタルの統合を提供するパートナー支援策、マーケティング/セールス/サービスの各部門に広がるオンプレミスカスタマーエクスペリエンスへの投資を優先しています。このCDPは、複雑な事業環境における顧客ライフサイクル全体を通じた財政運営を焦点とするOracleのエンタープライズデータ管理エクスペリエンスの恩恵を受けています。
  • B2Bセグメンテーションのサポート:Unity CDPの特徴であるAccount Profile Explorerには、機能グループ、製品の購入および使用データ、競合インストール、チャネルエンゲージメントの頻度など、業界固有のオプションを含む階層型アカウントインサイトが備わっています。これらの機能によって、アクティブな論理B2B購買グループセグメンテーションを利用した、マーケティング/セールス/サービスに広がる統一された商業活動が可能になります。
注意点
  • データウェアハウスのサポート:Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform、Oracle Autonomous Data Warehouse用のゼロコピー機能には、Apache Icebergが必要です。Unity CDPは、ほとんどの主要データウェアハウスに対応する事前構築済みの双方向統合を提供しています。ただし、SnowflakeおよびMicrosoft Azureに関しては、リアルタイム、双方向、フェデレーション型のデータ共有のための統合は標準搭載されていません。
  • メディアネットワークの統合:Unity CDPは、Meta、Twitter、LinkedIn、Google Display & Video 360、LiveRampと統合可能ですが、小売メディアネットワークとのネイティブ統合は、ほとんどが公開APIを通じて使用可能です。見込み客はメディア計画および使用可能な統合へのサポートが得られるか、それとも追加の統合リソースが必要かを評価する必要があります。
  • パーソナライゼーションのサポートが限定的:Unity CDPでは、傾向モデルおよびエンゲージメントイベントトリガーを使用して、セグメントに連絡先を追加可能です。ただし、ジャーニーアクティベーションやパーソナライゼーションのための意思決定をサポートするには、ユーザーが外部のCRMおよびMAPで作業する必要があります。
Redpoint Global

Redpoint Globalは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられます。Redpoint CDPは、プラットフォーム内で観測可能なセグメンテーションおよびアクティベーションのため、あらゆる顧客データへのアクセスを提供する、コンポーザブルなソリューションの提供に重点を置いています。Redpoint Globalは主に北米で事業を展開していますが、EMEAとAPACにも拠点があります。クライアントは、小売、医療、金融サービス、ホスピタリティ業界の大企業が中心です。同社はデータクラウド機能のさらなる拡張によるパフォーマンスの向上と、複製や冗長性の削減を計画しています。それに加えて、セグメンテーション、オーケストレーション、データ可観測性におけるAI利用の強化を計画しています。
強み
  • データプライバシー:Redpoint CDPでは、データの完全な暗号化と、取り込みからアクティベーションまで、EU GDPRおよび米国HIPAAへの完全なコンプライアンスが保証されます。このソリューションでは、顧客データのセキュリティを確保するデータクリーンルーム、プライベートワークスペース、PIIボールトによる強力な管理も提供されます。
  • 企業としての全体的な存続性:現時点でRedpoint Globalは、本リサーチで評価した他のベンダーと比べて相対的に健全な顧客ボリュームを維持しています。同社はさらに、過去4年間を通じて100%以上の純定着率を維持しており、今のところ本リサーチのベンダー中、最高の平均顧客収益を上げています。
  • 業種別の支援策:Redpoint CDPは、金融サービス、医療、旅行、ホスピタリティ、小売などに対応する業界固有のデータモデル、テンプレート、レポート、ベストプラクティスを提供しています。さらに、高度な規制のある業種向けには、基盤データに対するより詳細なコントロールと暗号化を提供しています。
注意点
  • 複雑なユースケース用のリソース調達:アイデンティティマッチに関連するルールのカスタマイズや、より複雑なデータタスクおよび変換の実装を希望する顧客は、Redpoint Globalのデータマネージャーを利用してこれらのタスクを達成する必要があります。データマネージャーはより技術的な環境であるため、クライアントはしばしばRedpoint Globalのチーム、パートナー、または社内のITリソースを利用して、より技術的な作業を行う必要があります。
  • 市場での認知度:Redpoint Globalは、企業向けカスタマーエクスペリエンスソリューションのベンダーとして長く存続しているにも関わらず、本リサーチで評価した他のベンダーほどには、新規ビジネスの最終候補リストに挙げられていません。Redpoint Globalのマーケティングプログラムにおける比率は、マーテックおよびレブテックのペルソナ向けには平均以上ですが、IT向けには平均以下のパーセンテージとなっています。
  • B2Bサポートが限定的:Redpoint Globalは、B2Bビジネスモデルを展開する顧客企業の比率が、2番目に低い値でした。リードジェネレーション、アクティベーション、B2B固有のデータ統合など、B2Bのユースケースには、希望する最終状態を達成するためのカスタム実装やサポートが必要です。
Salesforce

Salesforceは、本マジック・クアドラントでは「リーダー」に位置付けられます。同社のData Cloudは、同社製プラットフォームのCDPとしての役割を果たし、プロファイル統合、アイデンティティ解決、セグメンテーション、アクティベーション、アナリティクスの各機能を搭載しています。Salesforceは、銀行、医療、小売、メディアにおける顧客中心型ソリューションを中心に、全世界で様々な業種の企業に対応しています。より広範なSalesforceプラットフォーム、強力なコンプライアンスおよびガバナンス機能、AI対応の自動化を実現するAgentforceなどの機能とのネイティブな統合が、同社の差別化要因となっています。同社のロードマップでは、AI対応機能の拡張、CRMクラウドによる顧客プロファイルの統合、Zero-Copy Frameworkの拡大によるデータのアクセスとアクティベーションの合理化が強調されています。
強み
  • プラットフォームの優位性:SalesforceプラットフォームにおけるData Cloudの基礎的なデータ管理は、包括的なデータ統合と全社に広がるアクティベーションを提供し、統一された商業組織を実現します。これによってマーケティングチームとセールス/サービスの調整が行われ、データサイロが削減され、複数の部門からのインサイトをより有効に活用することが可能になります。
  • AIとデータイノベーション:Data CloudにおけるEinsteinおよびAgentforce AIツールを介した音声やチャットなどの非構造化インタラクションの処理は、GenAIによる複雑なワークフローの自動化を可能にするとともに、様々な部門に広がる形で予測インサイトのアクセスを強化します。Data Cloud Oneは、個々のSalesforceインスタンスを結び付けて顧客に関する全社規模のビューを提供するデータファブリックとしての役割を果たし、まとまりのあるスケーラブルなデータ管理を実現します。
  • 幅広いエコシステムのサポート:Salesforceの大規模なパートナーネットワークおよび活発なTrailblazerコミュニティは、Data Cloudのイノベーションを採用し最大限に活用するのに役立つ、強力なサポートとリソースを提供します。同社のパートナーシップを活用して、データとマーケティングに関する企業独自のニーズに合った最適な統合を構築することも可能です。
注意点
  • サードパーティ統合:独立型CDPとしてのData Cloudの価値は、Salesforceプラットフォームの中心性によって制約されています。Salesforce以外のシステムへの依存度が高い企業の場合、サードパーティツールとの事前構築済みコネクタや統合の数が限られているために、CDPの有用性が低下し、テクノロジースタックにCDPを統合するのに苦心する可能性があります。
  • 新興のリアルタイム機能:リアルタイムパーソナライゼーションは、Data Cloudにネイティブで組み込まれています。最近リリースされたばかりなので、バイヤーは現実世界でのパフォーマンスやコストを評価するため、カスタマーリファレンスを要求する必要があります。これらの機能を検討している企業は、早期採用段階で起こりかねない未知の事態に備えて計画を立てる必要があります。
  • コスト予測:Salesforceの消費量ベースの価格設定は、全体的コストの予測を試みるバイヤーに課題を投げかけます。マーケティングキャンペーンやカスタマーサービスアクションなど、よく知っているCRMアクティビティを正確なデータクレジット使用量の見積に換算するのが難しいからです。このような予測の不確実性によって予算計画が複雑化し、想定外の経費の発生によりバイヤーが後悔するリスクが高くなる可能性があります。
Tealium

Tealiumは、本マジック・クアドラントでは「リーダー」に位置付けられます。同社のCustomer Data Hubでは、データオーケストレーション、ガバナンス、コンプライアンスに重点が置かれています。同社は北米、EMEA、APAC(特に日本)を中心に事業を展開し、多様な業種およびビジネスモデルの企業に対応しています。同社製CDPは、強力な製品リーダーシップおよび開発力を背景に、タグ管理ソリューションとしての遺産から着実に進化してきました。同社は新しいMoments API機能によって引き続きリアルタイムユースケースのサポートを作成するとともに、AIを応用したインサイト生成によって機能を拡張する計画です。
強み
  • ゼロパーティデータのリアルタイム取得:2024年、TealiumはMoments IQを発表しました。この機能によって、ゼロパーティデータの瞬間的な取得が可能になります。ウェブサイト訪問者に自身の選好性や意図をリアルタイムで共有させることにより、訪問者から直接、情報を収集するのに役立ちます。
  • 明確で柔軟な価格設定とパッケージング:Tealiumは、潜在顧客向けに明確で柔軟性のある価格設定とデフォルトのパッケージを提供しています。消費料金、アドオン製品、アクティベーションに依存し、ますます複雑化する価格設定およびパッケージング方式を追及してきた、競合他社の逆を行くアプローチです。
  • プライバシー、同意機能:このプラットフォームでは、ブロッキングパラメーターを自動化し、ユーザーがCDPデスティネーションに対する複数レベルの信頼を設定することが可能です。加えて、医療およびライフサイエンスに対するTealiumのサポートは、引き続き同社製品の強みとなっており、リアルタイムの保護医療情報(PHI)検出による規制コンプライアンスと、リアルタイムのオプトアウトに対応する同意オーケストレーションを提供します。
注意点
  • データ共有のサポート:CDP市場では、ゼロコピーデータとクラウドデータウェアハウスの統合がほとんどユビキタスになっていますが、Tealiumの市場戦略は、この軌道から逸脱しています。ストリーミングデータと可観測性機能は、同社の強みを活かすものですが、この市場で見込み客から求められる傾向が強まっている機能が同社にはありません。
  • 長い実装期間:Tealiumは、クライアントが大規模で複雑な実装に集中していることを反映して、本リサーチのベンダーのうち、実稼働までの期間が最も長いベンダーの1つとなっています。同社は顧客を満足させることを非常に重視していますが、潜在顧客はベンダーの提案に対し、タイムトゥバリュー(TTV)の観点から、希望するユースケースを満たす最小限の実行可能な実装とのバランスを取る必要があります。
  • パーソナライゼーションのサポート:Tealiumの製品開発では、データの収集、統一、統合に重点が置かれ、パーソナライゼーションについては、ほとんど外部ツールに任されています。データオーケストレーションよりもパーソナライゼーションと意思決定に重点を置くユースケースのある見込み客は、Tealiumが自社のニーズを満たせるかどうかを慎重に考慮する必要があります。
Treasure Data

Treasure Dataは、本マジック・クアドラントでは「チャレンジャー」に位置付けられます。柔軟なデータモデル、構成、および大量のデータを取り込んでアクティベーション可能なことで知られる同社のCDPは、Data Workbench、Integration Hub、Treasure Insights、Audience Studioで構成されています。同社は北米と日本で集中的に事業を展開しており、顧客は金融サービス、CPG、小売などの業種のB2CおよびB2B企業です。同社のロードマップには、セグメントとジャーニーの作成、インサイトの生成を含む広範囲のユースケースに対応する、AIエージェントによるオーケストレーション機能の強化が含まれています。さらに、パーソナライゼーションをサポートする目的で、リアルタイムの行動および意思決定の管理を強化する計画もロードマップに含まれています。
強み
  • 技術的なユースケースのサポート:Treasure Dataは、マーケター中心型の機能ミックスよりも、IT中心型の機能ミックスというビジョンを支持する形で、高度なデータ保存および処理のユースケースに対応する製品を設計しました。同社は今回評価したプロバイダーの中で、データアーキテクトとエンジニアのユーザー比率が最も高いプロバイダーです。
  • カスタマーサクセス戦略:Treasure Dataには、強力で活動的かつ即応性の高いカスタマーサクセス部門があります。製品の方向性に関するインプットを提供する、見込み客および顧客の諮問委員会が運営されています。顧客の提案は、収益へのインパクトを基準に優先度が付けられます。
  • マルチブランドのグローバル企業への対応:CPGや商品回転率の高い消費財など、大規模なマルチブランドのグローバル企業のバイヤーなら、Treasure Dataのプロファイル統合への差別化されたアプローチを高く評価するでしょう。このワークフローでは、これらの企業におけるプロファイルの一元的な管理を可能にすると同時に、個々のブランド/ビジネスユニットが独自の統合ルールを設定することのできるデータ可視化アプローチ、Master Segmentsが採用されています。
注意点
  • 価格設定:Treasure Dataは、企業バイヤーにとって一般的な価格設定シナリオではなく、今回の評価で自己申告された平均額よりも著しく高い3年間のコストを報告しています。バイヤーは自社のCDPユースケースを慎重に文書化し、提案されるTreasure Dataの価格設定にこれらのユースケースがどのように結び付いているかを精査し、契約全体を通じてこの動向を監視する必要があります。
  • 技術系ユーザー向けインターフェイス:CDPには強力なエンジニアリングサポートがありますが、同社のインターフェイスには、技術系ユーザーに最も適したプロコード機能が含まれています。Gartner Peer Insightsのレビューでは、非技術系チームによる有意義な製品利用を促進するうえで、UIが障壁になると指摘されています。一般的なTreasure Data導入環境で、マーケティングおよびクリエイティブ部門のエンドユーザー比率が小さいという事実は、マーケティングワークフローへのCDPの統合という課題を解決するには技術部門の関与が必要であることを物語っています。
  • 市場の理解:Treasure Dataは、Gartnerの企業クライアントの最終候補リストの常連ですが、同社の顧客企業の約3分の1は収益5,000万ドル未満の企業です。収益10億ドル超の大企業のバイヤーは、自社のユースケースにTreasure Dataがどれほど優先的に対応するかを慎重に評価する必要があります。
Twilio

Twilioは、本マジック クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられます。同社のSegment CDPによって、コンテキストに応じた顧客データを注入するとともに、スタンドアロンCDP顧客向けにデータウェアハウス統合とAI機能でイノベーションを行うことにより、Twilioは自社の通信製品を差別化することができます。同社の顧客は、大部分が北米、EMEA、APACのB2CおよびB2B企業です。この製品にはConnections(データの管理)、Unify(プロファイルの統合と属性の管理)、Engage(オーディエンスおよびジャーニーのオーケストレーション)が含まれ、アドオンとしてProtocols(データの検証とクリーニング)が提供されています。同社の計画には、イベント、データウェアハウス、プロファイルデータコンテキストの組み合わせによる、ハイパーパーソナライズされたジャーニートリガーのサポート、LLMベースの仮想エージェント用のシングルAPI、オーディエンス可観測性とアラートの改善が含まれています。
強み
  • 柔軟な顧客データエコシステム:Twilio Segment CDPは、700以上の事前構築済みコネクタがある、柔軟でオープンなエコシステムを特徴としています。新しい機能としては、5,700以上のカスタム関数を含み、顧客向けにデータ管理統合を迅速化するFunctions Co-Pilotと、マーケター向けにノーコードインターフェイスを使用してデータウェアハウス内で直接クエリとセグメンテーションを実行できるLinked Audiencesツールがあります。
  • プライバシー:Twilio Segment CDPは、OneTrustなどのCPMとの統合により、EUのGDPR、カリフォルニア州のCCPA、米国のHIPAAに対するコンプライアンスを、PIIやPHIなどの個人データをリアルタイムで自動的に識別・分類するPrivacy Portalを通じて能率化することが可能です。スキーマ制御により、ストリーミング中にプロパティを選択的にブロックまたは省略し、収集する顧客イベント/プロパティに関する唯一の情報源とトラッキングプランを実現します。
  • 透明性と制御:TwilioはAI Nutrition Facts Labelを通じてAIの透明性を提供し、スキーマ制御の実施によってPIIおよびPHIをリアルタイムで自動的に識別・分類します。
注意点
  • 成長と方向性:最近の収支報告によると、収益は横ばい傾向にあり、Twilloの経営陣は、同社がCDPビジネスでやるべきことはまだあると表明しています。計画されているAIおよびデータウェアハウス統合イニシアティブが進行中で、しかも大企業クライアントの前年比増加率が高くなっているにも関わらずです。潜在的バイヤーは、機能への投資が計画中のユースケース、統合ニーズ、スキルセットに合致するかどうかを評価する必要があります。
  • バイヤーによる市場投入との整合性:カスタマーサービスおよびカスタマーサクセスチーム向けのAI対応ユースケースで成功を収めていますが、この業務はTwilloのユーザーベースに占める割合が最大15%です。エンジニアリングとビジネスのペルソナ間におけるユーザーエクスペリエンスの分裂は、購買プロセスに摩擦を生じさせ、一部の新規ユーザーの間で技術的な課題や、使いやすさ/普及の問題を引き起こす可能性があります。
  • サポート:本リサーチの他のベンダーと比べて、カスタマーサービス担当者の数が少ないことから、複雑な統合を行うバイヤーは、余分の時間とサポートリソースを考慮しておく必要があります。Peer Insightsのレビューでは、サポートチームの応答の遅さによる遅れが指摘されています。
Zeta Global

Zeta Globalは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられます。同社のZeta Marketing Platformは、Zeta Customer Data Platform、Email Service Provider(ESP)、Demand-Side Platform(DSP)を統合し、データ管理、セグメンテーション、パーソナライゼーション、オムニチャネルアクティベーションを提供します。同社は主に北米と欧州で事業を展開し、顧客は小売、金融サービス、メディア業界のB2Cマーケターが中心です。ZetaのCDPは、より広範な同社製マーケティングプラットフォームをサポートするよう設計されており、所有チャネルと有料チャネルにおけるデータの取り込み、強化、アクティベーションに重点を置いています。同社のロードマップでは、AI駆動のワークフロー拡張が優先されており、その中にはGenAIエージェントによるオーディエンス構築、レポート、予測モデルの開発が含まれます。
強み
  • マルチチャネルのデータアクティベーション:ZetaのCDPは、同社製のメール/プログラマティック広告プラットフォームと統合し、所有チャネルおよび有料チャネルでのキャンペーンをオーケストレーションします。マーケティングチームは、Zeta Data Cloudによるファーストパーティデータの強化を利用して、メールマーケティング、ソーシャルメディア、プログラマティック広告、小売メディアネットワークにおけるオーディエンスのターゲティングを実行できます。
  • AI駆動のオーディエンス構築:Zeta CDPのZeta Opportunity Engineは、オーディエンスセグメンテーションとキャンペーン展開を迅速化するAIアシスタントです。CDPにバンドルされた予測モデルを活用することにより、分析に関する詳しい専門知識をそれほど必要としない、対話型のローコードインターフェイスによってオーディエンス作成を容易に行えます。
  • サービス&サポートネットワーク:Zetaは、 地域およびグローバルなサービスプロバイダーのネットワークを継続的に拡大させており、その中にはAccentureおよびMerkleとのパートナーシップも含まれます。同社の専門サービスは、データマスタリング、ジャーニー設計、オペレーション実行などのタスクに利用されており、データ駆動型マーケティングにおける戦略的または過渡的なフルサービスサポートを求めるバイヤーにとって有益です。
注意点
  • マーケティング中心の戦略:ZetaのCDPは、主にマーテックおよびプログラマティック広告オファリングに対応しているため、スタンドアロンおよびクロスCRM CDPバイヤーへの訴求力は限定的です。より広範な企業データオーケストレーション用のCDPを求める企業から見ると、マーケティング固有のユースケースに対する注力が不十分かもしれません。Zetaの他の製品にまだ投資したことのないバイヤーは、部門横断的・全社的なユースケースに同社製CDPを挿入する前に、サードパーティ統合に対するZetaのサポートを精査する必要があります。
  • 技術系ユーザーとの格差:Zeta CDPは、AI/ML強化型のソリューションとして販売されていますが、主要なユーザーは技術系または部門横断的な役職者ではなく、依然としてマーケティングです。マーケティングイニシアティブとITまたはデータサイエンス部門との連携を検討している企業は、自社の部門横断的なコラボレーションのニーズに、このプラットフォームが適しているかどうかを評価する必要があります。
  • 価値創出までの期間:Zetaの専門サービスに対する依存度の高さと、長期の生産サイクルによって、CDPから価値を生み出すまでに必要な期間が長くなる可能性があります。回転率の高いマーケティングや、より広範囲のエンタープライズサポートを必要とする企業は、Zetaのオンボーディングや運用サポートが、俊敏性に対する自社のニーズに適合するかどうかを評価する必要があります。

ベンダーの追加と除外

マジック・クアドラントの採用基準については、市場の変化に応じて見直しと調整を行っています。これらの調整によって、マジック・クアドラントで評価されるベンダーは、時間の経過とともに変化する場合があります。ある年のマジック・クアドラントに含まれていたベンダーが翌年には含まれていなかったとしても、それは必ずしもGartnerがそのベンダーに対する意見を変更したということを意味しません。市場の変化やそれに伴う評価基準の変化を反映した可能性もあれば、そのベンダーが重視する対象が変化した可能性もあります。

追加されたベンダー

今回、マジック・クアドラントに追加されたベンダーはありません。

除外されたベンダー

  • Blueshiftは、本リサーチの今年の採用基準で更新されたCDP収益の最小値に達しなかったため、除外されました。
  • Dun & Bradstreetは、同社のCDPが今年の採用基準で定められている最小ベースソフトウェア要件または収益しきい値を満たさなかったため、除外されました。
  • Leadspaceは、本リサーチの今年の採用基準で更新されたCDP収益の最小値に達しなかったため、除外されました。
  • SAPは、本リサーチの今年の採用基準で更新されたCDP収益の最小値に達しなかったため、除外されました。
  • Zeotapは、公開情報によると、本リサーチの今年の採用基準で更新されたCDP収益の最小値に達していないため、除外されました。

採用および除外基準


採用対象となるには、プロバイダーは以下の基準を満たす必要があります。
  • CDP製品は一般提供されている必要があります。一般提供(General Availability)とは、ベンダーの顧客によるテストまたは評価ではなく、実働環境で使用されるものを指します。
  • CDP製品は、ベンダーから別のモジュールや製品を購入することなく、独立型ソフトウェアとして購入可能でなければなりません。
  • CDP製品は、CDP機能を提供可能であることが実証されている必要があります。CDPは、企業がマーケティングおよびその他のチャネルから入手した顧客データを統合することにより、マーケティングや顧客エクスペリエンスのユースケースに対応するソフトウェアアプリケーションとして定義されます。CDPは、メッセージ、オファー、顧客エンゲージメント活動のタイミングやターゲティングを最適化し、個人レベルの顧客行動の経時的な分析を可能にします。
  • 最低でも、ベースCDPソフトウェア(製品構成またはバンドル)は以下を実行する必要があります。
    • データの収集:ファーストパーティの個人レベルの顧客データを、複数のソースおよびフォーマットから、オンラインとオフラインで、リアルタイムに、ストレージの制限なく取り込む(抽出する)こと。データは処理のために必要である限り、一般に元のソースと同じフォーマットのまま残されます。この中には、匿名および既知のファーストパーティID、行動、属性が含まれます。
    • プロファイルの統一:個人レベルのプロファイルを統合し、属性をアイデンティティに結び付けること。これには、顧客を1つの世帯または購買グループレベルに集約することが含まれる場合があります。
    • アクティベーション:特に、Eメールキャンペーン、モバイルメッセージ、広告などの目的で、セグメントをアクティベーションの指示とともにエンゲージメントツールに送信。
    • 分析レポート:属性レベル、プロファイルレベル、セグメントレベルなど、顧客データの様々なレベルに対応するパフォーマンス分析。
  • ベンダーは以下のいずれかを満たしている必要があります(固定通貨で報告)。
    • 2023年におけるCDP製品のベースオファリング(構成またはバンドル)のソフトウェアライセンス収益が7,500万ドル以上であること
    • 2023年におけるCDP製品のベースオファリング(構成またはバンドル)のソフトウェアライセンス収益が4,000万ドル以上であり、なおかつ、CDP製品を実働環境で使用する新規クライアントが、2022年と比べて20社増えていること
  • 定義:
    • ソフトウェアライセンス収益: データライセンスの収益を除く。
    • 新規クライアント:カスタマーデータプラットフォームソリューションを実働環境で正常に導入している顧客。
    • 実働クライアント:CDPを正常に導入しているクライアント。最低でもデータを取り込み、統一し、少なくとも1つのアクティベーションチャネルに送信されるオーディエンスを作成していること。
  • 2022年のCDP収益の少なくとも75%が、SaaS/サブスクリプション収益または新規ライセンス販売(オンプレミス)のいずれかのソフトウェア収益であること。
  • 企業のCDP収益の60%超が、北米およびEMEAに拠点を置くクライアントからの収益であること。
  • 本マジック・クアドラントのためにGartnerが定義した、強い顧客関心度の獲得において上位25社にランクインしていること。顧客関心度の計算に用いられるデータ入力には、以下のような公平な基準が含まれます。
    • Gartnerクライアントトレンドデータ
    • ソーシャルメディアエンゲージメント
    • メディアプレゼンス
    • ブランドエンゲージメント(例:検索件数およびトラフィック)

特筆すべき選外のベンダー

Blueshift CDPは、パーソナライズドキャンペーンの自動化とメディア管理を目的とするデータの統一に特化しています。同社は北米と欧州を中心に事業を展開しており、クライアントは主として中堅のB2C企業(小売、メディア、金融サービス、保険)です。
Dun & Bradstreetは、アカウントベースのマーケティングプラットフォーム、D&B Rev.Up ABXを提供しています。このプラットフォームは、B2B顧客企業における階層型アカウントおよび連絡先データの統合、強化、スコアリングに加え、マルチチャネルのマーケティングキャンペーン用にオーディエンスのアクティベーションを可能にすることに特化しています。同社の顧客は、北米の中~大規模なB2B企業が中心であり、その大部分がハイテク、ビジネス、金融サービスセクターに属しています。
LeadspaceのDrive B2B CDPは、傾向モデリングと購買シグナルを通じて有望な見込み客および市場機会を特定することにより、B2Bターゲットアカウント/担当者およびセグメントの優先度付けとプランニングに特化しています。同社は北米を中心に事業を展開しており、クライアントは、テクノロジーおよび製造部門の大企業が中心です。
SAPのCDPは、ブランドが顧客に関する360度のビューを構築することを支援し、マーケティングを超えて業務にまで及ぶアクティベーションを可能にすることに重点を置いています。この市場ではSAPは比較的新規参入者ですが、すでにSAPアプリケーションを使用しているバイヤーにとっては良い選択肢になります。同社は様々な地域で事業を行っており、クライアントは大企業が中心で、ほとんどが小売と消費財の企業です。
ZeotapはモジュラーCDPを提供しています。Unify(データの取り込みと統合)、Audiences(ネイティブのサードパーティデータ強化機能を含むオーディエンスビルダー)、Journeys(リアルタイムなジャーニーオーケストレーション)、Destination(オーディエンスアクティベーション)です。同社は経済的利益を焦点とするユースケース主導のアプローチによって、価値創出までの期間短縮を目指しています。主に欧州と中東で事業を展開し、クライアントは通信、メディア、小売、金融サービスの中堅~大企業です。

評価基準


実行能力

Gartnerのアナリストは、プロセス、システム、方法または手順の質および有効性という要素でベンダーを評価します。評価の際には、それらの要素が、マーケティングチームのパフォーマンスを競争力のある効率的かつ効果的なものにしているか、さらに、収益、顧客維持および評判に好影響を及ぼしているかどうかを、Gartnerの市場に対する視点で考慮します。機能、サポート、サービスに関する幅広い要件がありますが、ベンダーの実行能力の重要な側面に留意することが重要です。
製品/サービス:定義された市場で競合したり、サービスを提供したりするコア製品およびサービスのことです。これには、現在の製品およびサービス能力、質、機能群、スキル等が含まれます。市場定義で定義し、小項目で説明したように、これは、ネイティブで提供されるか、OEM契約およびパートナーシップによって提供されます。具体的には、機能性の実行を評価します。
企業としての全体的な存続性:企業としての全体的な財政状態の評価、ならびに事業部の財務的および実際的な成功度の評価です。また、企業が当該製品の提供および当該製品への投資を継続する可能性、および現在のポートフォリオの中での当該製品の位置付けも評価に含まれます。具体的には、収益性と成長、顧客増加率および定着率、R&D投資のほか、現在および計画上の組織リソースの整合性やレベルについて、エビデンスを検証します。
販売実行能力/価格設定:販売前の活動における企業の能力および活動を支える体制。これには、取引管理、価格設定および交渉、プレセール・サポート、ならびに販売チャネルの全体的な有効性が含まれる。具体的には、販売前プロセスのサポート、一般的なバイヤーおよびユーザーペルソナに関する理解、一般的な実装アプローチに関する理解、アセスメントおよびPOCの利用可能性、価格モデルおよび価格の柔軟性に関する情報について、エビデンスを検証します。
市場対応力と実績:ビジネス機会の出現、競合他社の動き、顧客のニーズ変化、および市場ダイナミクスの変化に対して反応し、方向性を変え、柔軟に対応し、優位な成果を獲得する能力。この基準は、市場の要求の変化に対するプロバイダーの過去の反応能力についても考慮します。具体的には、製品アップデートの開発において顧客ニーズをどのように考慮しているか、カスタマーサクセスプロセスに関する情報、顧客のテクノロジー投資に対して測定可能なROIを提供する能力について評価します。
マーケティングの実行能力:企業メッセージを伝えるために立案されたプログラムの明瞭さ、質の高さ、創造性および有効性。これらは、市場に影響を与え、ブランドを推進し、製品の知名度を向上させると共に、それらに対するポジティブな印象を購入者の脳内に植え付けることにつながります。この「マインドシェア」は、知名度、販売促進活動、ソートリーダーシップ、ソーシャルメディア、リファーラル、および販売活動が総合的に影響して促進されます。具体的には、対象とする地域市場における市場認知度、ターゲットバイヤーの課題や望まれる業務上/戦略上の成果に即したメッセージについて、エビデンスを検証します。
カスタマーエクスペリエンス:評価対象の製品から顧客が期待する結果を得ることを可能にする製品、サービスおよびプログラム。これには、サプライヤー/購入者インタラクションの品質、技術サポートおよびアカウントサポートの体制が含まれます。また、補助的なツール、顧客サポートプログラム、ユーザーグループの有無、サービス品質保証等が含まれる場合もあります。具体的には、クライアントの満足度、技術サポートおよび実装に関する情報、ターゲットユーザーの役割に対応するユーザーインターフェイス、内部カスタマーサービス/サポート機能(カスタマーサクセスプログラム、カスタマーコミュニティ、ユーザーフォーラム、サポート用のリソース、システム、ポリシーを含む)の可用性および実行可能性について評価します。
運用:目標や約束の達成に向けた企業の能力。この要素としては、企業が効果的かつ効率的に事業運営を行う上で必要な企業構造の質、スキル、経験、プログラム、システムおよびその他の媒体が含まれます。具体的には、直接的またはパートナー(専門サービスを含む)を通じて、一貫した形で効率的に顧客に対応できる経営状態および能力を評価します。

表1:実行能力の評価基準

評価基準 重要度
製品/サービス
企業としての全体的な存続性
販売実行能力/価格設定
市場対応力/実績
マーケティングの実行能力
カスタマーエクスペリエンス
運用
出典:Gartner(2025年3月)

ビジョンの完全性

Gartnerのアナリストは、明確かつ論理的に説得力をもって説明するプロバイダーの能力を評価します。これには、現在および今後の市場方向性、イノベーション、顧客ニーズ、競争力が含まれます。さらに、Gartnerの市場に対する視点にどれほど合致しているかも含まれます。
市場の理解:顧客のニーズを理解し、その理解を製品やサービスに反映させる能力。市場に対する明確なビジョンを示しているベンダーは、顧客の声に耳を傾け、顧客の要求を理解し、自社のビジョンを加えて市場の変化を形成したり、強化したりできます。具体的には、CDPの費用対価値についての理解(CDP投資の戦略的価値の増大)、コンポーザブルアーキテクチャに対するアプローチ(より大規模なクライアントのデータアーキテクチャにおける効果的な運用のためにCDPを強化)、AIイネーブルメントの計画(マーケティングにおける新しいAI/MLユースケースの実現に向けてCDPが果たす役割を強化する計画)を評価します。
マーケティング戦略:明確かつ差別化が図られた企業メッセージを、企業内で継続的に共有し、また、ソーシャルメディア、広告、顧客プログラムおよびポジショニングステートメントを通して外部に対して発信していること。具体的には、カスタマージャーニーの様々な段階における市場認知度の現状と、これを高める/確固たるものにする計画、および市場ポジショニングを明確に差別化するメッセージを評価します。
販売戦略:直接および間接販売、マーケティング、サービス、コミュニケーションなど、適切なネットワークを活用した健全な販売戦略のことです。事業展開範囲、専門知識、テクノロジー、サービス、顧客基盤をより強固で幅広いものとするためのパートナーも対象です。具体的には、規模、成熟度、ニーズが異なる顧客向けに販売戦略をどのように適応させているかに加え、専用の販売リソースおよびパートナーネットワークを評価します。
サービス(製品)戦略:市場の差別化、機能性、方法論および機能が現在と将来の要件に合致することを重視する製品開発および製品販売アプローチ。具体的には、製品ロードマップ、実装の成功度、固有の問題/クライアント需要に対応する新しいアプローチについての認識とその開発状況、サードパーティとの統合/エコシステムパートナーシップを評価します。
ビジネスモデル:継続的な成功を達成するための企業のビジネス提案の設計、論理および実行 具体的には、ビジネス全体に対するCDP製品の重要性や、主要なパートナーシップまたはダイベスチャーを評価します。特定の業界、地域、販売モデルに関して、市場化戦略と販売戦略が合致しているかを検証します。また、製品戦略がどのようにビジネスモデルを支えているか、製品ライセンスモデル(例:SaaSとワンタイムライセンス料金など)がターゲット市場にどれほど効果的に対応しているかについても注目します。
業種/業界戦略:様々な業種における垂直市場を含む、個別の市場セグメントに特有なニーズを満たすための資源(販売、製品、開発)、スキルおよび製品を割り当てる戦略。具体的には、垂直市場および業界固有の製品ロードマップ/パートナーシップに関する情報を収集します。
イノベーション:投資、統合、守備的もしくは先制的な行動を目的とした、資源、専門性もしくは資本の直接的、間接的、補完的、および相乗的な配置。具体的には、差別化のためのイノベーションに関する展望、適切なM&Aの調査および実行に加え、特許/商標/独自知財に関する情報、開発計画、および市場に出現しつつある新しいテクノロジーとそれらの計画との整合性を評価します。
地理的戦略:いわゆる「ホーム」である自国・地域以外の場所に特有のニーズを満たすことを目的として、直接的か、あるいはパートナー、チャネルおよび関連会社を通し、その地域および市場に合わせた方法で、資源、スキルおよびサービスを割り当てるプロバイダーの戦略。具体的には、地域固有のパートナーシップによる現地サポートの有無や、様々な地域に特有の顧客ニーズに対応する製品機能に注目します。

表2:ビジョンの完全性の評価基準

評価基準 重要度
市場の理解
マーケティング戦略
販売戦略
サービス(製品)戦略
ビジネスモデル
業種/業界戦略
イノベーション
地理的戦略
出典:Gartner(2025年3月)

クアドラントの説明

リーダー

本マジック・クアドラントの「リーダー」は、大企業の中核的なユースケースに対応可能です。CDPを他から切り離されたものとしてではなく、戦略的な企業投資として検討している、これらのバイヤーのニーズをリーダーはよく理解しています。さらにリーダーは、市場に対する中長期的な視点も明確に持っています。バイヤーはCDPを自社のデータおよび分析ワークベンチの重要なコンポーネントとして、あるいは、より広範な全社規模のデータエコシステムとして捉えています。リーダーには、このようなバイヤーのニーズに適合する製品ビジョンがあります。AIイネーブルメントや、オープンかつコンポーザブルなアーキテクチャに対応する機能を提供することで、費用対価値に関するバイヤーの疑問に応えます。

チャレンジャー

本マジック・クアドラントの「チャレンジャー」は、顧客プロファイル統合のためのデータ管理の調整に優れ、強力な製品機能を有しています。ただし、様々なビジネス部門を横断するユースケースの範囲は限られており、AIイネーブルメント機能はそれほど強力ではありません。AI機能の価値をさらに実証し、CDPにとって重要なエンドユーザーのテクノロジースタックの統合について、より革新的なビジョンを開発する必要があります。データ共有とモジュール性に関してはイノベーションを提供していますが、アプリケーション統合に関しては、さらに強化する余地があります。

概念先行型

本マジック・クアドラントの「概念先行型」は、強力かつ有望なビジョンがあるにも関わらず、実行力に課題があり、クライアントのあらゆるユースケースおよび業種に対し一貫したインパクトを与えることができていません。クラウドデータウェアハウスの統合とデータの活用など、新しい高度な機能によって業界をリードすることを目指しています。 しかし、パッケージングと消費の複雑さに起因して、総所有コストが不明確な場合があり、そのためカスタマーエクスペリエンスの一貫性に影響する可能性があります。ますます複雑化する製品ポートフォリオを活用するクライアント向けに、一貫性のあるデリバリーを十分に実証する必要があります。ロードマップは有望ですが、一部の項目は競合他社とは異なるペースで前進する可能性があります。

特定市場指向型

本マジック・クアドラントの「特定市場指向型」は、大企業のニーズを満たすのに苦戦しています。競争が激しくなるにつれ、不明確な長期計画や、資金調達の難しさなどの課題に直面しています。自社にとって理想的なバイヤー像を把握していない場合が多く、それに応じた製品の調整が困難です。購買担当グループが部門横断的になりつつあるにも関わらず、これらのベンダーは依然としてマーケティングバイヤーに重点を置きすぎていて、販売アプローチの拡大が困難です。他のアプリケーションと統合可能なプラットフォームアプローチを使わずに、付加価値の提供に苦戦しているベンダーが多く、しばしば他のエンタープライズテクノロジーとの重複が見られます。

市場状況


2025年、CDPテクノロジーは企業のデータ戦略上の決定事項となっています。ベンダー各社は、このプラットフォームが提供する戦略的価値に焦点を合わせつつあります。その結果、企業のIT部門は、CDPへの投資をアップストリームの技術系ユーザーにも、ダウンストリームのビジネスユーザーにも必要不可欠なものとみなしています。
これは異常事態です。テクノロジーの購入には常に大規模な購買グループが必要ですが、CDPの場合は、その購買決定が単なるガバナンス上の意思決定ではなく、企業戦略となっています。CDPの購買決定には、経営幹部のほぼ全員の利害が関わっています。2025 Gartner Business Buyer Surveyでは、一般に3部門のうち2部門が、CDP購入の要件や目的に寄与していることが判明しました。これらの部門には、CIO、CTO、CDAO、CMO、CPOの指揮下にある役職と、その他の顧客中心型のグループが含まれます。1
部門横断的な購買グループによる複雑な購買決定という環境の中で、CDPの費用対価値の最適化が、バイヤーにとって最大の関心事となっています。CDPプロバイダーが説得力のある費用対価値の命題を提示できるかどうかが極めて重要です。CDPと類似した機能が企業のCRMエコシステムに広く浸透している現状で、ベンダー各社は、隣接するマーテックソリューション(例:マルチチャネルマーケティングハブ[MMH]、B2Bマーケティング自動化プラットフォーム、パーソナライゼーションエンジン)にも、その他のエンタープライズデータソリューション(例:クラウドデータウェアハウス、マスターデータ管理、アイデンティティおよびアクセス管理)にも、ほぼ間違いなく複数のCDPが存在する環境の中で、価格設定を明確化・合理化する必要に迫られています。
部門横断的な購買グループは、費用対価値に関するナラティブの転換により、CDP投資を正当化しなければなりません。データの自動化と管理についてのストーリーを語る代わりに、顧客データ管理とプロファイル統合の自動化が、どのように収益増に結び付くかを語る必要があります。
そのためには、CDPの2つの新しい特性が役立ちます。コンポーザブルアーキテクチャと、AIイネーブルメントです。クライアントのビジネスケースに対する価値創出を実証するには、プロバイダーはこれらのうち少なくとも1つを満たしている必要があります。
コンポーザブルアーキテクチャ
コンポーザブルアーキテクチャは、モジュール性とデータエコシステムへの接続を提供することにより、ストレージコストと運用コストを削減します。コンポーザブルアーキテクチャへの転換により、企業のテクノロジー戦略が再形成されつつあります。
この状況で、CDPは大規模なクラウドデータプラットフォームとシームレスに統合し、より広範なエコシステムにおける重要なコンポーネントとして機能する必要があります。コンポーザブルアーキテクチャにおけるCDPの役割は、顧客データを統合してインサイトを発見し、様々な企業アプリケーション間の相互作用を促進することです。企業がテクノロジーへのモジュール式アプローチを採用するにつれ、強力な相互運用性や柔軟性を提供するCDPは、購買グループにとってより魅力あるものとなります。
バイヤーはこのようなオープンアーキテクチャ(データエコシステムとも呼ばれる)を求める傾向を強めると予測されます。これらのアーキテクチャは、あらゆるデータおよび分析ワークロードに対応する、1つにまとまったデータ管理環境を企業に提供します。これらは共通のガバナンスおよびメタデータ管理フレームワークと、統一されたアクセス管理を備えています。これらは拡張されたデータ管理機能を、ビジネスユーザーがアクセス可能な一連のサービスと統合します。サードパーティの独立系ソフトウェアベンダー(ISV)も、データエコシステムに参加します。
バイヤーは、オープンかつコンポーザブルなアーキテクチャにおけるプロバイダーの統合能力を評価する必要があります。これには、既存のクラウドデータプラットフォームおよびその他の企業アプリケーションに対するCDPの統合能力の評価が含まれます。バイヤーは、進化するビジネスニーズに適応できる柔軟かつモジュール式のソリューションを提供するプロバイダーを探す必要があります。また、バイヤーは効率的なデータ利用によるビジネス成果の達成を要求するとともに、経済的価値やROIの計算に役立つレポートをソフトウェア内部で提供できるプロバイダーを探す必要もあります。
AIイネーブルメント
AIイネーブルメントは、データ自動化の規模を拡大し、ビジネスプロセスの自動化を実現します。AIおよび機械学習機能をCDPに組み込むことが、重要な差別化要因になりつつあります。エンタープライズアプリケーションプロバイダーは、製品スタックにCDPを組み込んだ場合、データ自動化によってビジネスの迅速化と成長が実現されると主張することができます。
予測アナリティクスや、様々な顧客タッチポイントに広がる形でパーソナライズされた顧客ジャーニーなど、高度なマーケティングユースケースに対応するAIモデルを運用化できるプロバイダーが、非常な人気を集めるでしょう。この中には、単なるデータアクティベーションを超えた、モデルの微調整やラストマイルのパーソナライゼーションなど、洗練されたAI駆動型プロセスの実現が含まれます。さらに、エージェンティックAIは、かつては顧客対応部門のフロントオフィスユーザー向けの技術的な機能だったものを提供し、自律的な意思決定やカスタマーエクスペリエンスへの措置を提供する可能性があります。
バイヤーは、AIおよびML機能によって自社のユースケースをどのように実現できるかに注目する必要があります。データ管理の改善を望むバイヤーにとって、CDPのAI機能は役立つ可能性があります。ただし、市場進出の成果を望むバイヤーは、CDPに組み込まれたAIにサポートされるダウンストリームのビジネスプロセスの文脈で、CDPの選択を評価する必要があります。
今回の評価では、主に北米と西欧のビジネスユーザー向けに、各ベンダーがマーケティングおよび顧客エクスペリエンスのユースケースに、どのように対応しているかに焦点を当てています。

市場概要


市場の変容が継続

EAPはポートフォリオアプローチを引き続き強調
特にCRMおよびERPの分野で大手のエンタープライズアプリケーションプロバイダー(EAP)各社は、様々なビジネス部門を横断する顧客データの統合におけるCDPの戦略的価値を認識しています。これらのメガベンダーはCDP機能の統合により、ポートフォリオ全体でデータ管理を合理化し、マーケティングだけでなく、販売、カスタマーエクスペリエンス、財務、カスタマーサポート、製品管理においてもデータアクティベーションを促進しています。
この統合によって統合型ソリューションの採用が急速に進み、結果的に市場が統合され、マルチCDPバイヤーの数が減少しています。より広範なCRMマーケティングソフトウェア市場では、上位5社のベンダー(Salesforce、Adobe、Epsilon、HubSpot、Constant Contact)が44.4%のシェアを獲得しています。(Market Share Analysis: CRM Marketing and Cross-CRM Software, Worldwide, 2023を参照。) その結果、よく知られた生存能力の高いプロバイダーのミックスで市場が統合されつつあり、各ベンダーの商業的な成功度は、本マジック・クアドラントにおける位置とは無関係になっています。
顧客データストレージの一元化が誘発するデータ共有とフェデレーションにおけるイノベーション
2028年には、データファブリックとGenAIによって実現されるデータエコシステムという1つの市場に収束するとGartnerでは予測しています。その結果、テクノロジーの複雑性が低下します。企業はすでにデータストレージと管理を一元化しつつあります。このトレンドは、EAPだけでなく、Snowflake、AWS、Googleなどのデータインフラプロバイダーにとっても有利なものです。その背景には、ファーストパーティのマーケティングデータのみならず、様々な顧客タッチポイントで入手するインテリジェンス駆動のインサイトも含めて、あらゆる顧客データを統合したいという企業の要望があります。
CDPベンダー各社は、ゼロコピーやゼロETLアプローチなど、データ共有におけるイノベーションを新たな焦点としています。ユーザーはこれらの手法によってデータの複製を回避できます。データが元の場所に残され、データの移動コストが最小化または排除されます。データウェアハウスとアプリケーション(この場合はCDP)との間におけるデータ管理の複雑性を減らすことをユーザーは望んでいます。ベンダーはこのような運用アプローチに適した代替の価格モデルを追求していますが、バイヤーとしては、プロファイルベースの価格設定とは対照的に、思いやりのあるコンピュート費用で安心感を得る必要があります。
バイヤーはCDPが、すべての主要ベンダー(AWS、Microsoft、Databricks、Google、Snowflake)へのデータウェアハウスアクセスに対応することを当然のように期待しています。バイヤーは複数のプラットフォームを利用している場合が多いため、これらのウェアハウス全部との統合をサポートできるベンダーであることが、急速にこの市場で最低限必要な条件になりつつあります。
コンポーザブルCDPの価値命題が定着
柔軟性と費用効果に対するニーズに応えて、一部の独立系CDPが、個別のデータウェアハウス投資を補完するモジュール式の導入オプションを発表しています(例:ActionIQ、Redpoint)。これらのコンポーザブルCDPは、クラウドデータウェアハウスのストレージとコンピュート機能に、従来型CDPのプロファイル管理とアクティベーション機能を組み合わせたソリューションを提供します。このアプローチは、冗長なデータサイロを削減し、ビジネスユーザーと技術系ユーザーの両方に役立つことから、成熟したデータエンジニアリングおよびデータサイエンス部門のある企業にとっては特に魅力的です。
ビジネスユーザーによるCDPの利用は引き続き限定的
CDPの戦略的な重要性にも関わらず、ビジネスユーザーによるCDPの利用率は依然として低く、よく利用していると回答したマーケターはわずか22%です。マーケターはパーソナライゼーションエンジン、アカウントベースのマーケティングプラットフォーム、マーケティング自動化プラットフォーム、マルチチャネルマーケティングハブなど、CDP以外のソリューションに頼ってタスクを実行しています。CDPは、マーケティング業務における主要なツールというより、イネーブリングテクノロジーの役割を担っています。そのため、ジャーニーオーケストレーションやデマンドジェネレーションなど、既存のマーケティングワークフローにCDPの機能が埋め込まれ、フロントオフィス用ワークフローにおけるCDPの有用性が強化されています。
変容による市場統合の促進
まとめると、こうした変容によってエンタープライズアプリケーションベンダーを除いては、市場統合の勢いが増す結果となりました。2024年の後半、UniphoreがActionIQの買収を発表しました。それに続いて、2025年の初頭にはContentstack(デジタルエクスペリエンスプラットフォーム)がLyticsとRokt(デジタルコマース技術)の買収、およびmParticleとの合併を発表しました。
さらに、既存のベンダー各社は製品やサービスの多様化に努めています。BlueConicによるJebbit(ファーストパーティデータの収集を目的とするインタラクティブコンテンツの作成用プラットフォーム)の買収は、その例です。このような株式の移転が急速に進めば、未公開株式が今後の市場統合に多大な影響を及ぼし、競合状況が大きく変わると予測されます。

カスタマーデータプラットフォームの遍在性

CDPは、スタンドアロンのパッケージ型ソリューションからなる独立した技術カテゴリーです。しかしCDPは、すべての顧客対応部門における(取り込み、プロファイル統合、アクティベーションなどの機能を通じた)顧客データの管理方法の基準を設定します。
ただし、隣接するマーテック(およびエンタープライズテック)で顧客データを処理するための機能が必要だったことから、これらの隣接カテゴリーのほとんどのベンダーが、CDPと類似した機能を製品に組み込んでいます。この傾向は、マルチチャネルマーケティングハブ(MMH)、マーケティング自動化プラットフォーム(MAP)、パーソナライゼーションエンジン(PE)、顧客関係管理(CRM)ツールの進化から見て取れます。これらのツールは、付属ライセンスとして、あるいは組み込みの機能として、CDP機能を統合するケースが増えています。顧客対応エクスペリエンスを作成する企業向けテクノロジーにおいて、CDPはほとんどユビキタスになっています。
このトレンドは、バッチおよびストリーミング分析と連続的なプロファイル統合プロセスを組み合わせた、データ管理における統一されたアプローチへの広範囲の転換を反映しています。この場合、CDP機能は、製品のコア部分を根本的に変えることなく、既存のテクノロジーを強化するためのより新しい、総合的な機能を提供します。マーテックの文脈では、CDPに類似したアーキテクチャの採用が、競争力のあるマーテック製品を構築するうえでの事実上の標準となっています。
それと同時に、エンタープライズデータ管理のリーダー各社は、断片化したデータ管理ソリューションの市場に自社の戦略を適応させる必要性に気づき始めています。このようなソリューションには、スタンドアロン製品(例:データ統合、メタデータ管理、マスターデータ管理)、ポイントソリューション(例:データウェアハウス、データ仮想化、リバースETL)、および隣接市場(例:アナリティクスおよびBIプラットフォーム、アプリ統合、データサイエンスおよびMLプラットフォーム)があります。データファブリック機能のイノベーション、マルチモーダルな持続性における統合(例:レイクハウス、グラフストア、ウェアハウスなど)、データ管理プラットフォームを統一するデータエコシステムの出現により、収束したデータ管理市場でデータの再利用性が向上すると予測されます。
データエコシステムの構成要素間における成熟レベルの不均等性により、エンドユーザー向けに完全に実現されるのは、10年以上先の話かもしれません。バイヤーはCDPを顧客データ管理エコシステムの不可欠な構成要素とみなす必要がありますが、これらの今後の需要について長期的な視野から計画するのは困難です。2024 Gartner Technical Architect Surveyによると、テクニカルアーキテクトの意思決定を難しくする最大の要因は、変化のペースが速まっていることです。2 この理由から、顧客データエコシステムの強みや統合力を高める能力と可用性を備えたベンダーを選択することの重要性が明らかになります。
複数のプラットフォームに広がるCDP機能の拡散は、コストや冗長性に関する懸念を引き起こします。ベンダー各社はこの問題に対処するため、プラットフォーム利用(例:セグメントのアクティベーション、リアルタイムのデータ処理、計算された属性生産)に基づく課金に焦点を合わせた消費量ベースの価格モデルを探査しつつ、コンポーザブルアーキテクチャを追求しています。これらは両方とも、エンドユーザーがデータ管理を能率化しながらリソース配分を最適化するのに役立つ可能性のあるソリューションです。
データストレージの複製から、コンピュート駆動の価値創出に焦点をシフトすることにより、ベンダー各社はクライアントの戦略目標に製品をより正しく合致させることができます。このアプローチは不要なコストを削減するだけでなく、マルチチャネルでマーケティング成果を促進する機能に投資を集中させることにより、MMHなどの隣接するソリューションの競争力も高めます。
このようにコンポーズされたマーテックスタックの概念は今後、モジュール式のマーテックライセンスを強調することにより、予算配分も最適化できることを示唆しています。そのパラダイムで、企業はデータレイクから導き出す価値を最大化し、より効率的かつ効果的な顧客エンゲージメント戦略を実現できます。市場が進化を続けるにつれ、これらの原則を受け入れるベンダーは、相互接続の度合いが高まりつつあるデータエコシステムで有利な地位を築くと予測されます。

アップストリームのビジネス価値向上に向けてAIが担う役割を優先

2024年、AIはCDP市場を含むすべての技術カテゴリーで著しく勢いを増しました。本リサーチの対象となったベンダーの半数以上が、自社の最も重要なイノベーションはAI機能の開発に関連していると主張しています。最近の展開としては、UniphoreによるActionIQの買収(会話AIプラットフォーム)、BlueConicのLLM セグメンテーション、SalesforceによるAgentforceの発表があります。
CDPにおけるAI機能の開発という必須課題を支える3つの重要なトレンドは、以下の通りです。
  • 多様な購買グループ:現在、CDPの購入プロセスに複数のステークホルダーが関与するようになっています。2025 Gartner Business Buyer Surveyによると、CDP購入資金を拠出するグループの数は平均5であり、そのうち一般に2~3グループが要件や目標について意見を出しています1
  • 部門横断的なCDPユーザー:CDPのユーザー基盤は、様々なビジネス部門に広がっています。ベンダーによると、主要なユーザーの内訳はマーケティング部門が平均で30%(例:マーケティングテクノロジー責任者、デジタルマーケター、キャンペーン管理者)、IT部門が30%(例:データアーキテクト、エンジニア、IT責任者)です。その他に約20%のユーザーが、カスタマーサービス、販売、ガバナンス、リスクマネジメント等のカスタマーエクスペリエンス役職者です。
  • エンタープライズハブとしてのCDP:購買グループとユーザー構成におけるこのような多様化は、極めて重要な時期に発生しています。CDPは、顧客データを管理してカスタマーエクスペリエンスを向上させるための中央ハブになろうとしています。その目的は、AIの統合により、データの実用性を高め、技術系ユーザーと非技術系ユーザーの両方にとってインサイトをアクセスしやすくすることです。
ベンダー各社は、これらのAIイノベーションがどのように業績向上につながるかをクライアントが示せるよう支援することに注力しなければなりません。これは難しいことです。パーソナライゼーション、ターゲティング、意思決定における改善は、市場進出活動やマーケティングキャンペーンのROIを高める可能性がありますが、そのインパクトは相対的に小さく、部門横断的なグループのステークホルダー向けに変換するのは困難でしょう。
また、ワークフローの最適化や非技術系ユーザー向けのアクセシビリティの改善は有望ですが、これらはリソース調達に影響し、最上位のビジネスインパクト指標に容易に変換できるものではありません。企業は手持ちのデータがAIレディかどうか、特定のAIユースケースに対するデータの適合性を証明できるかどうかを判断する必要があります。その上さらに、AIレディなデータがなければ、AIの効果を最大化するのに苦労することになります。ベンダーのAIイノベーションは、インパクトが限定的になるリスクがあります。
AIによってどれほど業績が向上するかを示すには、CDPバイヤーは、その成果をCDPの上位にあるビジネスアプリケーションとペアにする必要があります。それによって、より広範なデータエコシステムの構成要素としてのCDPの役割が明らかになります。たとえば、AI駆動の顧客データ管理によって、データのクレンジングやエンリッチメントなどの定型的なタスクが自動化され、データ品質が向上し、データの準備が迅速化するとともに、データエンジニアリングチームの負担が減る可能性があります。
しかし、ビジネス部門がインパクトを示すには、データ自動化の価値を利益、収益性、マーケットシェアなどの指標に変換する必要があります。このことは、AIイネーブルメントという必須課題をさらに前進させることにもなります。バイヤーはベンダーに対し、エージェンティックAI機能を進化させ、最低限の監督下でシステムが自律的に行動し、コンテンツに適応して目標を実行しながら、これらのイノベーションが企業の価値創出に結び付くようにすることを、さらに要求する可能性があります。

すでに時代遅れのRFPを刷新

市場の力学が急速に進化する状況の中で、RFPの多くは、最新の機能や価格に関する検討事項を反映したものではなくなっています。ベンダーの大部分が、CDPに関して消費量ベースの価格モデルに移行しつつあります。消費量ベースの価格モデルとは、従量制、使用料金制、トランザクションベース、クレジットベースなど、柔軟性の度合いが異なる様々なモデルを意味します。この用語について業界標準はありません。これらのモデルは柔軟性を売り物としているにも関わらず、前払いの複数年コミットメントを必要とする場合が少なくありません。
消費量ベース価格モデルのCDPを購入するバイヤーは、社内のIT部門と協力し、こうした価格モデルに対する企業の欲求やニーズを評価するとともに、ビジネスステークホルダーの現在および今後の優先事項を事前に把握する必要があります。
CFOが予算の予測性を重視する場合が多いことを考慮して、バイヤーは消費量ベース価格によってもたらされる柔軟性を正当化する強力なビジネスケースを作成し、消費量とコストに関する一連の予測値を示す必要があります。提出に先立って、ソフトウェア資産管理(SAM)またはクラウド/SaaS財務管理ツールを利用してCDP使用量を測定または追跡するか、そうでなければCDPベンダー自身の測定ツールを要求します。 このようなツールを提供しているCDPベンダーは、今のところごく少数ですが、POCの段階における重要なコンポーネントです。
ベンダー候補から情報を入手する際は、
  • 季節などによる需要の変動がある企業は特に、消費量ベースの価格設定オプションを求めます。
  • スケールメリットを活用するため、大量に消費するほど有利な階層型の価格設定が契約に含まれていることを確認し、超過額については妥当な割引を交渉して過剰請求を回避します。
  • 複数年契約の全体的なクレジット量を集計し、年ごとに「使わなければ無駄になる」シナリオを回避します。
  • クレジット単位のコストとクレジット消費期間を明記した価格契約を確保し、CDPベンダー製品の変化から防御します。
  • 1年または3年の詳細な需要予測を作成し、コストモデリングおよびCDPプロバイダーとの交渉における指針とします。
  • 需要管理と使用量制御のための強力な対策を実施し、消費量ベースの価格設定を効果的に管理します。本リサーチでもmParticleなどのベンダーは、CDPを過剰購入するリスクを軽減するため、バイヤーがクレジットを期間ごとに、さらには更新時に繰り越すことのできる柔軟な消費量モデルを採用しています。
バイヤーは従来のRFPに捉われない思考により、ベンダー候補から重要な情報を入手する方法を変更する必要があります。RFPを利用したベンダー選定は、完了までに4~6ヵ月かかる場合があります。企業が競争力を保つために最新のテクノロジーや消費者トレンドに適応するスピードに、もはや従来のRFPでは追い付くことはできません。バイヤーはPOCプロセスを採用する必要があります。このプロセスを通じて、CDPベンダーのソリューションが企業のニーズや目標に最適であること、ユースケースの特定と優先度付け、消費量および関連コストの予測に役立つことを実証するようベンダーに要求します。
ベンダーの主張を検証するとともに、潜在的な問題を発見するため、POCプロセス用のユースケースを明確に定義することが重要です。POCを要求する時点で、目標、システム要件、サポートレベル、スケジュール、機密保持に関する合意、料金、解除条項、期待される成果を詳細に記した依頼書を提出します。これにより、急速に変化する市場の中で、CDPソリューションの候補を総合的に評価することができます。

根拠


1 2025 Gartner Business Buyer Survey. 本調査は、企業の部門別ビジネスユニット(顧客サービス、財務、人事、マーケティング、販売、サプライチェーン管理)が、それぞれのビジネス機能に対応する大規模なソフトウェア購買に対し、どのようにアプローチしているか理解することを目的とします。2024年10月から12月にかけて、年間収益5,000万ドル以上の北米(36%)、西欧(32%)、アジア太平洋(19%)、南欧(13%)の企業に所属する3,068人の回答者を対象に調査を実施しました。調査の対象となった業種は、教育機関、エネルギー、金融サービス、官公庁、医療、医療保険、テクノロジー、通信、保険、製造、天然資源、小売、運輸、公共事業です。対象となった回答者は、2023年または2024年に、それぞれの部門別ビジネスユニットにおいて最もインパクトの大きいソフトウェア機能の購買プロセスに積極的に関与したマネージャーレベル以上の役職者です。ソフトウェアの購買は、新規、買い替え、買い増しのいずれかです。免責条項:本調査の結果は、グローバルな知見や市場全体を表現したものではなく、回答者と調査対象企業のセンチメントを反映したものです。
2 2024 Gartner Technical Architect Survey. 本調査では、アーキテクチャに関する意思決定を行う企業の能力に対するテクニカルアーキテクトの懸念事項と、これらの意思決定に用いられるリソースについて調査しました。また、企業の内部に存在するアーキテクチャ関連の役職、一定のテクノロジーの実装に用いられるスキル、および情報収集に用いられるリソースについても調査しました。さらに、企業の内部における民主化およびガバナンスについても調査しました。本調査は、2024年6月5~30日、Gartnerクライアントである技術専門家1,118人を対象にオンラインで実施しました。回答者の国別内訳は、北米(n = 613)、EMEA(n = 396)、アジア太平洋地域(n = 78)、中南米(n = 31)です。回答者が所属する企業の業種および収益規模は様々です。回答者は企業のITスタッフまたはIT部門に所属する人で、一定の役職基準を満たしていることを条件としました。免責条項:本調査の結果は、グローバルな知見や市場全体を表現したものではなく、回答者と調査対象企業のセンチメントを反映したものです。

評価基準の定義


実行能力

製品/サービス:ベンダーが特定の市場に向けて提供する主要な製品およびサービス。ネイティブで提供されるか、OEM契約およびパートナーシップによって提供されるかにかかわらず、前述の市場定義で定義し、小項目で説明したように、現在の製品およびサービスの能力、品質、機能群、スキル等が含まれます。
企業としての全体的な存続性:存続性には、総合的な企業の財務状況、事業部門の財務上および実務上の成功、そして、個々の事業部門が製品に対して継続的に投資していく可能性、継続的に製品を提供していく可能性、ならびに、組織の製品ポートフォリオを最先端のものに改善していく可能性に対する評価が含まれます。
販売実行能力/価格設定:販売前の活動におけるベンダーの能力および活動をサポートする体制。これには、取引管理、価格設定および交渉、販売に関する事前サポート、ならびに販売チャネルの全体的な有効性が含まれます。
市場対応力/実績:ビジネス機会の出現、競合他社の動き、顧客のニーズ変化、および市場ダイナミクスの変化に対して反応し、方向性を変え、柔軟に対応し、優位な成果を獲得する能力。この基準では、ベンダーの過去の対応実績についても考慮します。
マーケティングの実行能力:企業のメッセージを伝えるために立案されたプログラムの明瞭さ、質の高さ、創造性および有効性。これらは、市場に影響を与え、ブランドや事業を推進し、製品の知名度を向上させるとともに、製品/ブランドおよび企業に対するポジティブな印象を購入者に植え付けることを目的としています。この「マインドシェア」は、知名度、販売促進活動、ソート・リーダーシップ、口コミ、および販売活動が一体となって促進されます。
カスタマーエクスペリエンス:評価対象の製品に対する満足をもたらすための顧客との信頼関係、製品、サービスおよびプログラム。具体的には、これには顧客が受ける技術サポートやアカウントサポートの体制が含まれます。また、補助的なツール、顧客サポート・プログラム(およびその品質)、ユーザー・グループの有無、サービス品質保証なども含まれます。
運用:目標やコミットメントの達成に向けた企業の能力。この要素としては、企業構造の特性が挙げられます。企業が効果的かつ効率的に事業運営を継続するために必要なスキル、経験、プログラム、システムおよびその他の手段が含まれます。

ビジョンの完全性

市場の理解:購入者の要望やニーズを理解し、その理解を製品やサービスに反映させるベンダーの能力。高水準のビジョンを示すベンダーは、購入者の要望やニーズに耳を傾けて理解し、その要望やニーズを形にし、また、新たなビジョンを加えて、さらに発展させることができます。
マーケティング戦略:明確かつ差別化された企業メッセージを組織全体で一貫して共有し、またWebサイト、広告、顧客プログラムおよびポジショニングステートメントを介して外部に向けて発信すること。
販売戦略:市場へのリーチの範囲と深さ、スキル、専門性、技術、サービスおよび顧客基盤をより幅広く、強固にするため、直接販売および間接販売、マーケティング、サービスおよびコミュニケーションアフィリエイトなどのネットワークを効果的に利用する製品販売戦略。
サービス(製品)戦略:現在と将来の課題を明確にすると同時に、他社との違い、機能性、方法論および機能群に重点を置いた、ベンダーによる製品開発および製品販売のアプローチ。
ビジネスモデル:ベンダーの基本的なビジネス提案における健全性および論理性。
業種/業界戦略:垂直市場など、個別の市場区分が抱える特定のニーズを満たすことを目的として、資源、スキルおよびサービスを割り当てるベンダーの戦略。
イノベーション:投資、統合、守備的もしくは先制的な行動を目的とした、リソース、専門性または技能もしくは資本の直接的、間接的、補完的、および相乗的な配置。
地理的戦略:「本拠地」である自国・地域以外の場所に特有のニーズを満たすことを目的として、直接的に、またはパートナー、チャネル、関連会社を通し、その地域および市場に合わせた方法で、資源、スキルおよびサービスを割り当てるベンダーの戦略。
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