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マルチチャネル・マーケティング・ハブのマジック・ クアドラント

2025年9月22日 - ID G00824668 - 通読時間55分
執筆者:Audrey Brosnan、Tia Smart、Suzanne Schwartz、Greg Carlucci、Julian Poulter、Matt Moorut、Julia Multedo
2025年、AIと統合データによって、マルチチャネル・マーケティング・ハブが大きく変化しています。CMOは、進行中の不確実性やリスクに対するインパクトの観点から、新たな可能性について検討する必要があります。本リサーチは、収益性と競争力のある戦略策定や、マーテック投資判断の指針として活用できます。

市場定義/説明


Gartnerが定義するマルチチャネル・マーケティング・ハブ(MMH)とは、複数のマーケティングチャネルにおいて、パーソナライズされたキャンペーンやイベントトリガー型の顧客ジャーニーをオーケストレーションする、主にSaaSとして提供されるソフトウェアアプリケーションを指します。これらのアプリケーションは、顧客データ、予測モデル、リアルタイムの知見を活用して、インタラクションのタイミング、チャネル、コンテンツを最適化します。MMHは、マーケティング部門や技術部門による顧客ジャーニーのエンドツーエンドでのライフサイクル管理を支援するため、高度な分析、AI、処方的インテリジェンスを適用します。MMHは顧客データプラットフォーム(CDP)やパーソナライゼーションエンジンと重複しますが、特に電子メールやアプリプッシュなどのオウンドメディアを通じて、マーケティングユーザーが大規模な消費者インタラクションを実現できるようにすることを主眼としています。
マルチチャネル・マーケティング・ハブは、マーケターによるパーソナライズされたメディアの配信および顧客ジャーニーのオーケストレーションを可能にすることで、収益、エンゲージメント、ロイヤルティを向上させます。これらのSaaSアプリケーションは、顧客データ、予測インサイト、リアルタイムな意思決定を統合し、複数のデジタルチャネルでインタラクションを最適化します。MMHを使用すると、多分野横断的なチームが高度な分析、人工知能/機械学習(AI/ML)、処方的インテリジェンスを通じて、キャンペーンやイベント駆動型ジャーニーを管理することができます。
AIおよび生成AI(GenAI)技術の進化とともに、顧客ジャーニーの数、種類、品質を大幅に拡大し、より高度なパーソナライゼーションを大規模に実現するうえで、MMHが大きく貢献しています。キャンペーンのアイデア出しなどの高度な機能により、マーケターがAIエージェントと協働して、以下の要素を含むほぼ完全なジャーニーを迅速に作成できます。
  • キャンペーンブリーフ
  • オーディエンスセグメンテーション
  • マルチステップのジャーニー設計
  • メディアチャネル
  • 個々のチャネル向けにコーディング済みのパーソナライズされたコンテンツ
MMHは、従来は人間が行っていたこれらのタスクを自動化し、処方的なジャーニー最適化と組み合わせることにより、マーケターが戦略、創造性、効率的な制作、革新的なプラクティスやエクスペリエンスに集中できるようにします。
購買担当者は、複数のチャネルにわたるエクスペリエンスのオーケストレーションや、市場投入の迅速化といった点で、MMHを評価しています。企業は、以下のようなメリットのあるMMHを求める傾向を強めています。
  • パフォーマンスの低いジャーニーを最適化し、ジャーニーのメンテナンスを容易にします。
  • オーディエンスセグメントの特定、またはメディアの設計とコーディングにより、ジャーニー開発を迅速化。
こうした新しい機能によって俊敏性やパフォーマンスが向上する結果、マーケターが競争力を維持すると同時に、企業にとってのツールの価値が増大します。

必須の機能

  • マルチチャネルでの実行と測定:電子メール、モバイルメッセージング、広告など複数のデジタルチャネルに広がる形で、パーソナライズされたメッセージの展開と測定が可能です。この機能には、エンゲージメントの最適化を目的とするパフォーマンス追跡やレポートなどの統合型ツールが含まれます。
  • データの統合と管理:顧客データまたはその他のデータオブジェクト(オーディエンス、商品カタログなど)の統合が可能です。具体的な機能としては、APIおよびパッケージ統合、プロファイル管理、データ変換、高度なクラウドデータウェアハウスへのデータ(別名、ゼロコピー)アクセス、およびシームレスなデータアクティベーションやパーソナライズされたオファーを実現するエンティティ(商品カタログなど)のサポートが含まれる場合があります。
  • キャンペーンとジャーニーの管理:キャンペーンとジャーニーの設計、テスト、バージョン管理、レポートのための使いやすいツールを提供します。この機能は、計画からアーカイブまで、マーケターによるキャンペーンおよびジャーニーのライフサイクル管理に役立つ各種ワークフローをオーケストレーションします。
  • 分析とレポート:セグメンテーション、予測型モデリング、顧客ジャーニー分析などの機能を提供します。これらのツールによって、ターゲティング、パーソナライゼーション、プログラムの全体的な最適化機能が強化されます。キャンペーン、チャネル、ジャーニーパフォーマンスの理解と伝達に役立つレポートやダッシュボードの機能がMMHにバンドルされています。
  • 同意と選好の管理:顧客の選好、オプトイン、パーミッション、コンプライアンス監査のためのネイティブツールまたは統合ツールを提供します。この機能により、グローバルな企業ポリシーまたは地域の規制を確実に遵守しながら、顧客の信頼を育むことができます。
  • アプリケーション管理:ユーザーおよびパーミッション管理、規制コンプライアンス(例:Service Organization Control [SOC] 2)、ガバナンス用のツールを提供します。この機能には、グローバルなフリークエンシーキャップやメッセージングポリシーの実施など、安全でスケーラブルな運用を確保する重要な機能が含まれます。

一般的な機能

  • 高度なマルチチャネル実行:実行能力をペイドチャネルやアーンドチャネルにまで拡大し、第一者および第三者タッチポイントにおけるジャーニーのパフォーマンスを高めます。この例としては、デマンドサイドプラットフォームとの統合、ペイドソーシャルメディアキャンペーン、小売メディア統合、アイデンティティ解決またはデータエンリッチメントオファーとの統合があります。
  • キャンペーン統合とコンテンツ生成:オーディエンスセグメンテーション、ジャーニー設計、メディアレコメンデーションを含むキャンペーンブリーフを作成するための、GenAIを活用したツールを搭載しています。この機能は、パーソナライズされたバリアント、リアルタイムアセット、インタラクティブ要素(アンケートやランディングページなど)に対応する、ツールによるコンテンツ作成をサポートします。
  • 予測型の先行的なAI意思決定と自動化:AI駆動の異常検知およびジャーニー優先度付けを、GenAIによる自動化と組み合わせます。この機能は、ジャーニーのメンテナンスおよび最適化などのライフサイクル作業を自動化すると同時に、実用的な推奨事項の提供またはアクションの実行により、キャンペーンパフォーマンスを高めます。
  • コラボレーションと作業管理:プロジェクト管理、予算編成、リソース配分、カレンダー最適化などのツールを提供します。この機能は、チームによるコラボレーションを強化してワークフローを効率化し、よりシームレスなマーケティング業務を実現します。パッケージ化された統合やサードパーティ製の作業管理アプリケーションの機能も、ツールとして提供される場合があります。
  • デジタルコマースとサービスの統合:ERPの統合によるリアルタイムな在庫および価格設定、CRMケース管理、双方向コミュニケーションなど、コマースおよびサービスのシナリオに対応する高度な統合を提供します。この機能は、オーディエンス抑止によるサービス例外や、予測型レコメンデーションによるクロスセル/アップセル機会をサポートします。
  • 双方向の会話型メッセージ:音声トリガー型ジャーニー、チャットボット、エージェントベースのインターフェースによる顧客エンゲージメントを実現します。この機能には、人間のエージェントへのシームレスな移行、プロアクティブな顧客エンゲージメント、オムニチャネルメッセージングのサポートによる首尾一貫したコミュニケーションが含まれます。
  • 利用率と効率性の指標:製品の利用促進とパフォーマンスや業務効率の向上に役立つレポート、および企業向けの提案を提供します。この機能には、製品の消費状況や支出効率に関するレポートを表示するダッシュボードが含まれます。プロバイダーによっては、バンドルされたGenAI機能を統制し、バイアスを最小限に抑える機能も含まれる場合があります。また、同業他社との比較によりパフォーマンスを評価するためのベンチマークツールが含まれる場合もあります。
  • ハイパーローカルな機能と外部イベントによってトリガーされる機能:局所的かつ動的な条件に基づいて、キャンペーンをリアルタイムで調整します。この機能には、天候やイベントに合わせて調整されるジオターゲットキャンペーンが含まれます。休日やニュース速報など、主要なトリガーに合わせて応答をスケーリングするためのツールも含まれます。

マジック・クアドラント


図1. マルチチャネル・マーケティング・ハブのマジック・クアドラント
Figure 1: Magic Quadrant for Multichannel Marketing Hubs
ベンダーの強みと注意点
Adobe

Adobeは、本マジック・クアドラントでは「リーダー」に位置付けられます。同社の主要なMMHであるAdobe Journey Optimizerは、Adobe Real-Time CDPおよびAdobe Customer Journey Analyticsによってサポートされています。Adobeの世界的なリーチとパートナーネットワークは、Healthcare Shield for HIPAA-Ready Servicesなどのアドオンによって補完されています。Journey Optimizerの統合データ管理および分析は、Adobe Experience Platformを活用し、AI Assistantや近日リリース予定のAgent Orchestratorなど、より広範なジャーニー構築イノベーションへのアクセスを提供します。同社のロードマップには、価値創出までの期間を短縮するため、過去のテストやトレンドに基づいてパフォーマンスの高い実験を推奨するExperimentation Acceleratorなど、リアルタイムパーソナライゼーションの強化が含まれています。
強み
  • 拡張性のあるオーケストレーションアーキテクチャ:Journey Optimizerは、統合型のリアルタイムなデータ管理、ジャーニーオーケストレーション、分析を提供します。アドオンのReal-Time CDPおよびCustomer Journey Analyticsは、高度なデータコラボレーションと縦断分析に対応します。グローバルな分散型アーキテクチャは、低遅延なオーディエンス解決とリアルタイムのバッチキャンペーンをサポートし、ハイブリッドジャーニーの設計、適応、拡大が可能です。
  • オーディエンスとパーソナライゼーション:マーケターが多様なデータソースからオーディエンスを編成・管理することができます。Journey Optimizer PrimeおよびUltimateのユーザーは、アドオンFederated Audience Compositionを使用することで、データウェアハウスからデータを直接アクティベートできます。生成AI(GenAI)は、プロンプトベースの作成によってセグメンテーションエンジンを拡張します。Journey Optimizer UltimateにおけるルールベースとAI駆動の意思決定の融合は、ネクストベストアクションおよびリアルタイムパーソナライゼーションに対応します。
  • グローバルなエコシステム/業界エンゲージメント:Adobeの広範なパートナーネットワークと業種別イニシアチブは、業界に特化したイベント、ウェビナー、協働型ワークショップを通じてエンゲージメントを推進しています。業界ストラテジストによるベンチマーキング、知識共有、顧客別のバリューアセスメントは、ベストプラクティスを採用し価値を最大化するのに役立っています。
注意点
  • コストと価格設定の複雑性:Adobe MMHを購入した企業は、複数の製品に広がる複雑な消費量ベースの価格指標(クレジット、アドレッサブルプロファイル、データ行など)によるコストについて懸念を表明しています。パッケージ、ティア、価格指標間の関係が不明瞭なため、Adobe Journey Optimizerの総コストや価値が把握しにくくなるリスクがあります。
  • プラットフォームの統合とコンポーザビリティに関する検討事項:複雑なバッチ型マルチチャネルの要件がある既存顧客の場合、Gartnerが定義するMMH機能の全範囲を達成するには、Adobe Campaignが必要になる可能性が高いでしょう。2025年3月以降、検討中の企業にはCampaignの購入を控えるという選択肢がありますが、Adobe製品間の相互依存関係を慎重に評価し、自社の優先事項とAdobeのソリューションが適合するかどうかを確認する必要があります。
  • 処方的な最適化:Adobeの最適化モデルは、自動化された処方的な推奨事項ではなく、分析を活用して機会を特定し、それに基づいて行動するスキルの備わったユーザーを中心に据えています。スケーラブルで処方的なガイダンスを希望する顧客は、この手作業的でエキスパート頼みのアプローチが、大規模に需要を満たすには非効率的に感じられる可能性があります。
Airship

Airshipは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられます。同社のAirship Experience Platform(AXP)によるクロスチャネルのカスタマーエクスペリエンスは、アプリおよびウェブファーストのエンゲージメントに特化しています。同社は主に北米とEMEAで事業を展開し、拡大を続けるパートナーエコシステムを擁し、近年はアジア太平洋地域(APAC)にも進出しています。AXPは多様な業種の中堅および大規模B2C企業をターゲットに、高度なモバイルメッセージングと、アプリ/ウェブチーム向けの使いやすいツールを提供しています。最近のイノベーションとしては、AI支援によるジャーニー作成があります。同社のロードマップでは、より深いAI支援によるコンテンツ作成、リアルタイムのパフォーマンス監視、データウェアハウスとの相互運用性が優先事項となっています。
強み
  • モバイルファーストのマルチチャネル実行:AXPはモバイルファーストの顧客エンゲージメント専用です。統合アーキテクチャを通じてネイティブアプリとウェブエクスペリエンスを提供し、Apple Live Activitiesやデジタルウォレットパスなど、広い範囲に及ぶ高度なチャネルをサポートしています。この専門性がクロスチャネルのフレームワークに組み込まれ、モバイル、ウェブ、アプリ環境に広がるシームレスなエクスペリエンスのオーケストレーションが可能です。
  • ユーザーエクスペリエンスとジャーニーの構築:Airshipは、ジャーニー設計とキャンペーン管理のための直感的なツールの使いやすさを強調しています。AI支援によるジャーニー生成、埋め込みのコンテンツによる動的なアプリ内パーソナライゼーション、Web Scenesによる統合型のコンテンツ作成は、キャンペーン実行を簡易化し、価値創出までの期間を短縮します。
  • エコシステムとリーチ:Airshipの市場進出戦略は、顧客との直接的なエンゲージメントに、代理店およびシステムインテグレーションパートナーのネットワークを組み合わせ、世界規模でリーチを拡大しています。このモデルでは、顧客はサービスの提供と専門知識の利用における柔軟性が得られますが、購入検討中の顧客は、統合能力やサービスの一貫性およびアカウンタビリティに関して、Airshipの社内チームと外部プロバイダーとの潜在的な差を評価する必要があります。
注意点
  • アプリおよびウェブ中心の顧客基盤:Airshipのプラットフォームでは、非モバイルチャネルがサポートされています。複雑なセグメンテーションやターゲティングを目的とするオフラインデータの統合について高度なキャンペーン管理要件のある顧客は、これらの機能が不十分に思えるかもしれません。概念実証(POC)を実施してAXPのパフォーマンスを検証する必要があります。
  • 地域的な依存関係:Airshipは一部のチャネルで外部のフルフィルメントパートナーを利用しているため、複雑で高スループットのデリバリーを必要とする多国籍企業は、各地域におけるAirshipの実行能力を検証する必要があります。Airshipの顧客基盤とサポートリソースは北米とEMEAに集中しており、AXPのユーザーインターフェースは英語版のみです。
  • 進化途上のAIおよび分析機能:Airshipの高度なAI駆動型ジャーニーオーケストレーションおよび処方的なインテリジェンス機能の多くは、リリースされて日が浅いか、今後リリース予定の機能です。成熟したエンドツーエンドのAI機能、高度な分析、または堅牢なセルフサービス式ビジネスインテリジェンスを希望する企業は、AXPを他のツールで補強する必要が生じる可能性があります。
Bloomreach

Bloomreachは、本マジック・クアドラントでは「概念先行型」に位置付けられます。同社のBloomreach Engagement MMHは、ウェブサイト、電子メール、およびその他のチャネル経由でのパーソナライズされたエクスペリエンスのサポートに特化しています。同社は北米とEMEAを中心に事業を展開しており、顧客の大部分は、小売、ゲーム、製造、旅行、ホスピタリティ業界の中堅企業と大企業です。Loomi AIは、AIを活用した自然言語によるオーディエンス、キャンペーン、レポート作成機能を提供します。最近の機能拡張としては、エージェントによるパフォーマンス分析、マルチチャネル実行のサポート、リアルタイムでパーソナライズされるコンテンツの作成があります。同社のロードマップでは、自律的なキャンペーンのアイデア出しと最適化を実行するマーケティングエージェントの能力拡大などが焦点となっています。
強み
  • エージェント型のショッピングエクスペリエンス:BloomreachのショッピングアシスタントであるClarity AIは、顧客が希望する情報やサービス(配送先住所の変更など)に対応できる、コマースに特化したエージェントを提供します。Clarity AIは、キャンペーンとジャーニーオーケストレーションに組み込まれた詳細かつパーソナライズされた会話が可能であり、購買客による商品の発見と購入完遂を支援します。
  • リアルタイムのアクティベーション:リアルタイムの顧客データエンジンにより、ページの閲覧、電子メールの開封、購買などが発生するたびに、プロファイルが更新されます。そのため、複雑なデータエコシステムを使用するマーケターは、Bloomreachの製品スイートに頼って、最新の顧客データに基づくリアルタイムオーケストレーションを実行できます。
  • Use Case Center:Bloomreach EngagementのUse Case Centerは、「カート放棄」キャンペーンから購買後トリガーまで、広範な推奨ジャーニーのライブラリを提供します。マーケターはこれらを利用して、より複雑なジャーニーを設定・作成し、より多くのテストを大規模に実施できます。
注意点
  • 焦点となる業種/業界:強力なパーソナライゼーションと最適化を提供するBloomreach Engagementは、商品の推奨機能を利用するビジネスモデルまたは戦略を持った企業に適しています。高度なパーソナライゼーションに競争優位性を見出せないマーケターは、Bloomreachのアプローチを慎重に評価する必要があります。このプラットフォームの最も高度な機能が、自社のニーズを超えている可能性があるからです。
  • AI製品戦略:Bloomreachは、AI対応プラットフォームという説得力のあるビジョンを提示しています。しかし、高度な機能の多くはアドオンとして販売されています。高度な最適化機能を希望する企業は、自社固有のユースケースを慎重に評価し、適切なアドオンを購入する必要があります。最終的な契約に、オーディエンス最適化やコンテキストによるパーソナライゼーションなどの機能を追加せざるを得なくなるでしょう。
  • 地域別のサードパーティサポート:成長を続けるBloomreachのパートナーエコシステムによって、多国籍企業での採用が複雑化する可能性があります。Bloomreachの最も発達した地域である欧州以外の大企業のマーケティング部門は、現地における代理店やサービスパートナーの有無を確認する必要があります。
Braze

Brazeは、このマジック・クアドラントでは「リーダー」に位置付けられます。同社のCustomer Engagement Platformは、電子メール、SMS、モバイルアプリ通知などのチャネルで、顧客コミュニケーションをオーケストレーションおよび送信します。同社は主に北米、EMEA、APACで事業を展開しており、顧客の大部分が小売、ホスピタリティ、金融サービスのB2C企業です。最近拡張されたプラットフォーム機能としては、データウェアハウス統合の増加、BrazeのData Platformによるゼロコピーデータアクセスと自動アイデンティティ解決、Rich Communication Services(RCS)およびLINEのサポートの追加があります。同社のロードマップには、OfferFitの買収によるAI意思決定機能が含まれており、高度なパーソナライゼーションに対する同社のコミットメントが読み取れます。
強み
  • 成長に支えられた開発:Brazeは近年の成長を利用して新しい機能に投資しています。たとえば、AI意思決定のOfferFitの買収により、この分野におけるBraze独自の機能が改善される見通しです。EMEA、北米、APACでの成長を目指し、同社は各地域における能力に投資しており、オーストラリアとインドネシアにデータセンターを新設しています。
  • 高いサービスレベル:Brazeは強力なカスタマーサポート/サクセス部門を設けており、エグゼクティブとの定期的なビジネスレビュー、顧客向けイベント、ワークショップ、トレーニングを実施しています。同社は2024年に97%のCSATスコアを達成しましたが、社内でのカスタマーサクセスの取り組みがその理由の一つです。
  • 直感的なUI:Brazeはマーケティングリーダーが複雑なタスクを簡単に行えるよう、プラットフォームのユーザーインターフェースを設計しています。Peer Insightsレビューではこの点が頻繁に賞賛されています。たとえば、Brazeは同社の分析スイートをネイティブのジャーニービルダーCanvasに統合し、予測されるパフォーマンスに基づいてほんの数クリックでジャーニーをパーソナライズすることができるようにしています。
注意点
  • AI成熟度に遅れ:BrazeはGenAIに顕著な投資をしており、AI支援によるコンテンツ生成機能を提供しています。しかし、統合型の分析やAIによるキャンペーン最適化については、今のところ一部の競合他社の後塵を拝しています。Brazeがこの不足を認識して解消しようとしていることは、OfferFitの買収によって裏付けられていますが、完全な統合とエンタープライズスケールの成熟度を達成するには、まだ時間がかかるでしょう。AI駆動の最適化と分析を採用する予定の企業は、これらの機能の有無およびロードマップを綿密に評価する必要があります。
  • 予測の難しさ:Brazeはパフォーマンスダッシュボードを提供していますが、これらは概して消費レポートから切り離されています。そのため、ROIに関する総合的なレポートを入手するには、追加の作業が必要です。
  • 総所有コスト(TCO)の高さ:Brazeの平均実装期間は近年短縮されていますが、他社と比べるとまだ遅いと言えます。これは大量の統合作業が必要であることを示唆しており、そのためにTCOが高騰します。聞き取り調査では、TCOの話題が頻繁に出ています。その原因の一つが、高度なオーケストレーションのユースケースにおける技術的な統合コストとパートナー費用です。
Cordial

Cordialは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられます。同社は、統合プロファイル管理、予測分析、マルチチャネル実行によってマルチチャネル顧客ジャーニーをパーソナライズするため、AIを提供しています。同社は主に北米で事業を展開し、小売、メディア、消費者サービスの中堅企業および大企業を顧客としています。最近のイノベーションとしては、AI機能によるコンテンツのパーソナライズ、データ駆動のメッセージ最適化、チャネル間でのリアルタイムな意思決定があります。同社のロードマップには、パーソナライズされたコンテンツバリエーションの生成による自律的なマーケティングオーケストレーションへの転換が見られます。これによって手作業を減らし、キャンペーンの俊敏性を高めて、よりパーソナライズされた測定可能なビジネス成果を大規模に達成します。
強み
  • バーティカル/業界戦略:CordialのプラットフォームはD2Cおよび企業小売に適しており、大量のマルチチャネルキャンペーンと動的セグメンテーション用の調整された機能を提供します。業界に関する同社の専門知識とコンサルタント的なアプローチは、動きの速いセクター固有の需要を満たすことのできる、俊敏でパーソナライズされた戦略を求めているブランドに訴求します。
  • 基礎的なAIの強み:CordialのネイティブなAIソリューションであるCordial Edgeは、統合プロファイル管理と予測分析によってリアルタイムパーソナライゼーションを駆動します。価格感受性や購買傾向を評価するためのモデルの追加によって最近、これはさらに強化されました。これらの機能は、より正確なオーディエンスターゲティング、関連性の高い顧客とのエンゲージメント、少ない労力によるキャンペーンパフォーマンスの向上を実現します。
  • 価値創出までの期間:Cordialは、実用的なAI駆動のインサイトの提供により、導入後1ヵ月以内で価値を創出します。マーケターはオンボーディング期間中にキャンペーンを開始できます。専任のカスタマーサクセスマネージャーと、実装、配信可能性、キャンペーン戦略をサポートするコンサルティングサービスが、顧客にとってメリットになります。
注意点
  • 市場での存在感:Cordialのプラットフォームは、意図的に多用途となっており、特定の業種や地域に特化していません。そのため、厳しい規制のある市場を専門とする機能やデータモデルを求める企業にとっては、適合性が限られる可能性があります。Cordialには世界規模のサポートエコシステムがありますが、北米以外の地域ではパートナーサポートが不足している場合があり、そのためにカスタマイゼーションの難度が上がって価値創出までの期間が長引くとともに、総コストが高騰する可能性があります。
  • 処方的なインテリジェンス:Cordialは、最近のMessage Insights製品など、マーケティングユーザー向けの注目すべきAI対応の機能を提供しています。しかし今のところ、特定の処方的インテリジェンス機能が欠けています。たとえば異常なジャーニーパフォーマンスを自動的に特定する機能や、マーケティングユーザーに特定のジャーニーメンテナンス措置を推奨する機能などです。2025年後半には、AIベースのジャーニー優先度付けが拡張される予定です。
  • ワークフローの応答性:Cordialの顧客フィードバックによると、一部のユーザーは中断や生産性の問題を経験しています。これらの問題はCordialのCXサービスで解決される場合があります。購入検討中の顧客は、POCテストによってCordialの製品・サービスを検証し、自社の業務要件への適合性を確認する必要があります。
Insider

Insiderは、本マジック・クアドラントでは「概念先行型」に位置付けられます。同社のGrowth Management Platformは、小売、金融サービス、旅行、ホスピタリティなど多様な業種に属する中~大規模なグローバルB2C企業の顧客向けに、マルチチャネルメッセージング、統合顧客プロファイル、AI駆動パーソナライゼーションを提供します。Insiderは急成長する過程でMindBehindを買収し、マーケティングおよびカスタマーサービス用の顧客対応AIエージェントを追加しています。最近のイノベーションとしては、Agent Oneによるエージェント型の顧客エンゲージメント、パーソナライゼーションの拡大、処方的インテリジェンスがあります。Insiderのロードマップには、より自律的なAIエージェント(メッセージのローカライズ用など)に加え、大規模なグローバルコングロマリットによる多様な市場の管理を支援する新機能が挙げられています。
強み
  • 迅速な価値創出と使いやすさ:Insiderの実装とオンボーディングは迅速に行うことができ、導入期間は平均30日です。行き届いたトレーニング、直感的なインターフェース、AI駆動のジャーニー構築は、概念実証とエンタープライズスケールの展開をサポートし、マーケターが短期間で測定可能な成果を達成するのに役立ちます。
  • ビジョンとイノベーション:InsiderのGenAIを活用したセグメンテーション、ジャーニーレコメンデーション、自律的なキャンペーン最適化により、マーケターはパーソナライゼーションおよびネクストベストアクションを全チャネルに拡大できます。Agent Oneは、Insiderの積極的なAI投資を物語っており、マーケティング、サービス、製品エクスペリエンスにおける自律的なエージェント駆動の顧客エンゲージメントを実現します。
  • 製品パッケージング/業種別の機能:Insiderのバンドル形式のプラットフォームは、透明性の高い3つの指標による価格モデルで提供され、ライセンスの複雑性を低減しています。世界規模の直販およびサポート体制と最近の買収によって、さまざまな業種や地域の多様な顧客ベースへの対応が可能です。小売、金融サービス、メディアなどの業種向けに調整された拡張機能もあります。
注意点
  • 大企業への導入が複雑:Insiderの導入実績は依然として中堅企業に集中しており、短期の契約で行われているのが一般的です。複数の地域に広がる、高度に複雑な要件のある大企業(特に、エコシステムが未熟な南北米大陸)の場合、複数のフェーズがある大規模な実装や、現地における長期のパートナーシップの必要性に対応する能力を評価する必要があります。
  • エージェンティックAIの機能:Agent Oneや近日リリース予定の業種別ソリューションも含めて、Insiderの高度なエージェンティックおよびGenAI機能の多くは、リリースされて日が浅いか、そうでなければ依然としてロードマップ上の機能です。Insiderは、MMHとは別売りでAgent Oneを提供しています。そのため、企業は照会先を探すとともにPOCを実施して、重要なユースケースへの対応能力を評価する必要があります。
  • プラットフォームの重複と統合:すでに大きいマーテック投資を行っている企業では、Insiderの広範なプラットフォームによって、ビジネスケースに課題が生じる可能性があります。CDPやパーソナライゼーションエンジンなどのツールで、機能が重複する場合があるからです。購入検討中の企業はInsiderのユースケースを評価し、デューデリジェンスを実施して、このプラットフォームによる増分価値を確認するとともに、マーテック予算への不要な影響を回避する必要があります。
Iterable

Iterableは、本マジック・クアドラントでは「チャレンジャー」に位置付けられます。Iterable AI-Powered Communications Platformは、新しいクイックアクションメニュー、動的なコンテンツ構築、Journey Assist AI機能によるMMHジャーニーオーケストレーションを利用した迅速な実行サポートに重点を置いています。Iterableは、主として北米とEMEAで事業を行っています。同社の顧客は、小売、メディア、旅行、消費財の中堅企業から大企業が中心です。最近改良された機能としては、プロンプトベースのキャンペーン作成用AIアシスタントを提供するIterable Novaの導入があります。2026年のロードマップには、予測型のリソース最適化、ローカライゼーションの拡大、メッセージングの統合が挙げられています。
強み
  • データ駆動パーソナライゼーション:Iterableのスキーマレスなデータモデルと統合データパイプラインは、顧客情報を一元化します。これをユーザーが処理して、オーディエンス、レコメンデーション、イベントトリガー型ジャーニーに組み込むことができます。直感的なワークフロー機能によってキャンペーン管理が合理化され、マーケターによるジャーニーの構築、最適化、管理に役立ちます。動的コンテンツツールと堅牢なセグメンテーションにより、複数のチャネルにわたってエクスペリエンスが調整されます。
  • 柔軟なエコシステム接続:IterableがHightouchと共同開発したSmart Ingestは、企業顧客データを統合してマーケターが使用できるようにします。直感的なワークフローツールにより、APIベースの顧客データと、ジャーニーオーケストレーション用のイベントストリームへのアクセスが提供されます。事前に構築済みの広範囲に及ぶコネクタを利用して、マーケターがクラウドデータウェアハウスに接続し、動的なクロスチャネルのエンゲージメントを実現できます。
  • コンテンツの作成と実験:Iterableの柔軟なアーキテクチャとAI支援型ユーザーインターフェースは、マーケターが創造的なバリアントを生成して大規模にテストを行い、パーソナライゼーションを拡大するのに役立ちます。GenAI機能は、マーケターによるコンテンツやコードベースの要素(アンケートやランディングページなど)の作成を支援し、マルチチャネル最適化をサポートします。
注意点
  • 分析とAIの成熟度:Iterableはネイティブで充実したレポート機能および基礎的なAIインサイトを提供しますが、総合的なマルチチャネルパフォーマンスを実現するには、Iterableに追加のデータをルーティングする必要があります。Iterableは異常検知や自動的な根本原因分析などの機能を提供していますが、自己最適化アルゴリズムを利用した顧客生涯価値の増加などの、ネクストベストアクション機能は依然として限定的です。
  • モバイルチャネルの可用性:Iterableは、従来のデジタルチャネルにおけるキャンペーン管理用に最適化されていますが、モバイルに重点を置いたプラットフォームではありません。Iterableの主要なチャネルは電子メールとSMSであり、新興のモバイルメッセージングチャネルに対するサポートは幅広くありません。RCSのサポートや、Apple Messages for Businessなどの消費者向けメッセージングプラットフォームのサポートを希望する場合、サードパーティのサービスを追加で設定する必要があります。
  • 地理的範囲とサポート:Iterableの顧客基盤とサポートリソースは北米に集中しており、それ以外の地域ではプレゼンスが限定的です。多国籍企業の場合、北米以外でも適切なサービスレベルを確保するには、現地サポートおよびリソースの有無を評価する必要があります。
MoEngage

MoEngageは、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に分類されます。同社の顧客エンゲージメントプラットフォームは、MoEngage Core、MoEngage Inform、およびMoEngage Personalizeで構成されています。このプラットフォームは、電子メール、SMS、ウェブ、アプリを含む複数のチャネルにおけるマーケティングキャンペーンの実行と最適化に重点を置いています。MoEngageの事業はAPACからスタートし、北米とEMEAでもプレゼンスを拡大しつつあります。ほとんどの顧客が、金融サービス、メディア、小売業界のB2C中堅企業および大企業です。拡張された機能としては、AIアシスタント機能によるクリエイティブ生成と、プロンプトベースのオーディエンスターゲティングがあります。同社のロードマップでは、エージェントとインサイトAIにより、マーケターのオンボーディング、キャンペーンの定義と計画、異常性の特定、レコメンデーションの実行を支援し、最適化を促進することに重点が置かれています。
強み
  • 直感的なUI:MoEngageは、顧客エンゲージメントとマルチチャネルのキャンペーン実行のための直感的なプラットフォームを提供しています。このプラットフォームでは、ユーザーが視覚的なジャーニーキャンバス(フロー)、ドラッグ&ドロップ機能、API、SDKを使用して、複数のチャネルにおける複雑なキャンペーンや標準的なキャンペーンを実行・最適化することが可能です。
  • 顧客セグメンテーション:MoEnageではノーコードのセグメンテーション作成を採用しており、予測型の属性、自然言語プロンプトベースの作成、リアルタイムカウントが含まれます。キャンペーンを簡単にセットアップできる標準装備のセグメンテーションオプションや、顧客プロファイルの統合アイデンティティ解決機能も提供しています。
  • 顧客サポート:MoEngageは、24時間365日のグローバルな顧客サポートおよびプロフェッショナルサービスを提供しています。この中には、ライセンス項目としての標準実装サービスも含まれます。顧客がチャットボットヘルプをサービス要求に変換できるチャットボットを含むサポートは、オンボーディングと継続的なキャンペーン構築を能率化するうえで有益です。
注意点
  • 地域的フォーカス:MoEngageは北米とEMEAでの成長を優先していますが、同社の販売およびサービスプレゼンスの半分近くがAPACです。マーケティング購買担当者は、自社の地域目標やニーズ、現地市場の理解や現地化されたサポートといった要件を、このソリューションが満たしているかどうかを検討する必要があります。
  • 会話型のメッセージング機能:MoEngageは、会話機能やチャットメッセージング機能が限定的です。ただし、同社のロードマップでは、AI駆動の会話要約や意図分析が計画されています。これらの機能を早急に向上させたい顧客は、実装における課題とサポートの不足に直面することになると予測されます。
  • AIエージェント:MoEngageは、セグメンテーション、コピーライティング、動的コンテンツ用のAIおよびAI駆動機能を提供するSherpa AIおよびMerlin AIを導入していますが、ロードマップに挙げられている、キャンペーンオーケストレーションおよび意思決定をサポートする追加のAIエージェントは、まだ構築中です。これらの機能を希望する企業は、タイムラインおよびMVP機能の詳細について問い合わせるとともに、機能の提供に向けたMoEngageの進捗状況を注視する必要があります。
Optimove

Optimoveは、本マジック・クアドラントでは「概念先行型」に位置付けられます。同社のMMHはOptimove Positionless Marketing Platformであり、これは同社のDXP Opti-Xによって補足されます。このプラットフォームのAI駆動のネクストベストアクション・オーケストレーションは、自己最適化機能のあるキャンペーンとジャーニーを大規模に提供します。複数のチャネルで、何千ものパーソナライズされたリアルタイムキャンペーンを開始、優先度付け、最適化することが可能です。同社は主にEMEAと北米で事業を展開し、大量のSKUを保有する中~大規模の小売企業に加え、オンラインゲーム企業および金融サービス企業を顧客としています。改良点としては、Adactの買収によるロイヤルティおよびゲーミフィケーション機能のほか、拡張されたエージェンティックワークフロー、AI意思決定、コンテンツ生成があります。同社のロードマップには、オンボーディングやコンテンツ最適化などのタスク用のAIエージェント、エージェント分析、データ統合が挙げられています。
強み
  • 基礎的なAIと自動化:Optimoveは、最新のMMHにスケーラブルなAI自動化を導入することで差別化に成功しており、フィンテックやゲームなどの成長市場で、マーケターがネクストベストアクション技法を活用できるようにしています。同社のAIアシスタントであるOptiGenieは、自動的な優先度付けと最適化判断を提供することで、マーケターによる大量のインタラクションを加速し、一貫性のあるインクリメンタリティ計測によってインパクトを潜在的に改善します。
  • 処方的ガイダンスとインサイト:AI対応のアシスタントを使用して、離反分析や強傾向セグメントの発見など、キャンペーンとオーディエンスに関する知見をクエリーすることができます。AI支援型の機能は、インサイトへのアクセスを改善し、より頻繫なキャンペーンのアイデア出しを可能にすることで、オーディエンスターゲティングに貢献します。一方、OptibotなどのAI自動化は、自律的に異常性を検知し、キャンペーン最適化に関する処方的レコメンデーションを提供します。
  • 顧客エクスペリエンス/価値創出までの期間:Optimoveは、総合的なオンボーディング、専任のデータエンジニア、カスタマーサクセスの取り組みにより、ほとんどの競合他社よりも短期間でキャンペーンの導入が可能です。同社には学習管理プラットフォームがあり、継続的な普及とシームレスな使用のための製品内ガイダンス機能を提供しています。
注意点
  • 市場フォーカスが限定的:Optimoveの顧客企業は、オンラインゲーム、フィンテック、小売など、高頻度かつトランザクション型の顧客エンゲージメントモデルという共通点があります。十分な検討を必要とする商品や、ブランド中心型のエンゲージメントモデルを扱うマーケターは、Optimoveのアプローチを慎重に評価する必要があります。同社のAIと処方的インテリジェンスにおける強みは、増分的な生涯価値に依存していますが、この指標を利用できるビジネスモデルはそれほど多くありません。
  • 自律型AIエージェントの可用性:Optimoveのエージェンティック機能は、ロードマップ上の機能です。今のところ、AIアシスタントと自動化によって、インサイト、コンテンツの提案、ジャーニー意思決定が提供されています。購入検討中の顧客は、これらの機能の深度を、エージェンティックAI駆動型オーケストレーションに関する自社のニーズと照らし合わせて評価する必要があります。
  • 販売およびパートナー戦略:Optimoveは実装パートナーが少ないため、エコシステムは相対的に未成熟なままで、オンボーディングやサポートに関しては引き続き社内オペレーションに頼らざれるを得ないと推測されます。代理店またはシステムインテグレーター主導の実装に依存している企業は、同社のパートナー能力やロードマップを評価する必要があります。
Salesforce

Salesforceは、本マジック・クアドラントでは「リーダー」に位置付けられます。同社のSalesforce Marketing Cloud Engagementは、Data Cloud、Marketing Cloud Personalization、Marketing Cloud Intelligence、Loyalty Managementによって補足されています。このプラットフォームはマルチステップの顧客ジャーニーに対応し、全社規模のプラットフォーム戦略を提供します。同社は北米を本拠地としてグローバルに事業を展開しており、顧客の業種は銀行、保険、医療、メディア、小売など多岐にわたっています。同社は最近、AIを活用した自動化による双方向の対話型SMSと、マルチチャネルマーケティングを最新化してData Cloudと結合するMarketing Cloud Nextをリリースしました。同社のロードマップでは、Agentforceによるエージェント型ツール(顧客ジャーニーに関するエージェンティックな意思決定を含む)、AI駆動のコンテンツ作成、拡張されたコンテンツパーソナライゼーションおよびデータアクションが挙げられています。
強み
  • エージェントビルダー:Salesforceの拡張UIによるAIエージェントの構築と管理は、エージェントの会話とアクションに情報や指針を与えるトピックを、マーケターが簡単に管理、変更、作成できるよう支援します。マーケターはその後、新しいエージェントをゼロの状態から構築することもできますし、オーディエンスの作成、マーケティングブリーフの開発、またはレコメンデーションのパーソナライズに関するニーズに応じて、エージェントをさらにカスタマイズすることもできます。
  • 広告アクティベーション:Data Cloudにより、マーケターはサードパーティの広告主からアフィニティオーディエンスを接続し、プラットフォームで直接オーディエンスに関するインサイトをレビューすることができます。GoogleやLiveRamp、または任意のSalesforce AppExchangeパートナーなどのパートナーによってセグメントがアクティベートされ、特定ターゲット向けキャンペーン実行のためのサードパーティデータのシームレスな統合がサポートされます。
  • 全社規模のエコシステム:Salesforceは、販売、サービス、マーケティングを1つのテクノロジーの傘下で接続することの価値を顧客が認識するよう支援しています。複数のSalesforce Cloud製品を活用する顧客は、さまざまなビジネス機能に広がる形で統一されたカスタマーエクスペリエンスに移行することができ、統合アプローチによるメリットが得られます。
注意点
  • Data Cloudの価格設定による影響:リアルタイムのジャーニー最適化や処方的インテリジェンスなど、高度な機能を求めるほとんどの企業顧客にとって、Data Cloudは、補足品から必需品に近いものに変わっています。Data Cloudの階層化された消費量ベースの価格設定により、営業利益とコストの予測が難しくなる場合があるため、大規模な導入環境では動的なコストモデリングが不可欠になります。
  • マーケティングエージェントの可用性が限定的:今回の評価が行われた時点で、Agentforceの進化と機能拡張は主にサービスと販売のユースケースを焦点としており、マーケティング固有のアプリケーションは、オーディエンスセグメンテーションとペイドメディアの最適化に限定されていました。エージェンティックMMHのユースケースがあるマーケターは、限定的なパイロットを実施して、AgentforceのROIを検証する必要があります。マーケティングのユースケースを慎重に評価し、Data CloudにおけるエージェントのData Servicesクレジット消費量を予測する必要があります。
  • Flow Orchestratorへの移行:SalesforceのFlow Orchestratorは、合理化されたData Cloudネイティブな統合として、Journey Builderの後継となります。既存のMarketing Cloud Engagement顧客は選択が可能ですが、既存のJourney Builderジャーニーはエミュレーションモードで動作することになるため、従来のジャーニーと新しいジャーニーの両方について、採用と管理に必要となる長期のコストを評価する必要があります。
SAP

SAPは、本マジック・クアドラントでは「チャレンジャー」に位置付けられます。同社のSAP Emarsysは、AI駆動のパーソナライズされたエンゲージメントと、SAP Business Suiteとの統合を希望する企業をターゲットとしています。同社はEMEA、北米、APACで主に事業を展開しており、小売、Eコマース、消費財、スポーツ/エンターテインメント、公益事業、旅行、ホスピタリティ業界の大企業および上位中堅企業を顧客としています。プロンプトベースのキャンペーン生成のためのJoule会話型AIアシスタントは、チャネルのサポート(TikTok、LinkedInなど)およびGenAIを活用したSMSとWhatsApp用のコンテンツおよびメッセージングを拡張します。同社のロードマップでは、AIエージェントを使用したアクションの提案と、エンゲージメントおよびLINEなどの会話型チャネル用のワークフローの最適化、およびキャンペーン生成に重点が置かれています。
強み
  • 業種別アクセラレータ:SAPはIndustry Acceleratorsを通じて、事前に構築済みのカスタマイズ可能な業種別マーケティングジャーニーを提供しています。これらは業種のニーズに合わせて調整された標準装備のデータモデルを活用しています。AIモデルは関連性のあるデータセットに照準を合わせており、公益事業やCPGの顧客向けの加入者の離反可能性や、小売および旅行業の顧客向けのネクストベストオファーの提案などのユースケースに対応しています。
  • マーケティングパフォーマンスの最適化:マーケターはSAP Emarsysを使用して、デジタル広告のパフォーマンスや広告支出に対するリターンを、プラットフォーム内で直接モニターすることができます。各キャンペーンのKPIパフォーマンスを確認し、処置群と対照群の比較による予測インサイトにアクセスし、最も高パフォーマンスのキャンペーンを他のビジネスユニットと共有して幅広い採用を図ることができます。
  • 双方向コミュニケーション:SAP Jouleは、SMSおよびWhatsAppにおける双方向コミュニケーションをサポートしています。また、商品の推奨機能や製品サポートなどのユースケース用のウェブチャネルもサポートしています。すべての顧客インタラクションを捕捉してSAP Emarsysに送信し、顧客プロファイルのリアルタイム更新を可能にするとともに、よりパーソナライズされたエンゲージメントを実現します。
注意点
  • スイート中心の戦略:SAP Emarsysは、主として既存のSAP顧客向けの位置付けであることに変わりはありませんが、より広範なSAPポートフォリオによって、このソリューションは影が薄くなりつつあります。SAPの複数のカスタマーエクスペリエンスブランドの統合は進み方が遅く、そのため統一されたSAP CX製品の実現までの期間が長引く可能性があります。
  • データ統合戦略:この市場の大手企業の多くは、幅広い製品ポートフォリオにおける高度なデータ統合のニーズに対応するため、独自のCDPを実装しています。SAP Emarsysは適切なプロファイル管理と分析を提供していますが、SAPのスイートファーストの製品戦略では、エンタープライズレベルのデータ集約とサードパーティデータの統一を可能にするため、SAP Customer Data Platform(CDP)とBusiness Data Cloudを購入するよう顧客に働きかけることが焦点となっています。
  • AI生成のマーケティングキャンペーン:SAP Jouleにより、マーケターが自然言語クエリーを使用して顧客セグメントを作成・導入することができます。しかし、現時点におけるAI生成マーケティングキャンペーン機能は、キャンペーンのドラフト作成とキャンペーン分析レポートの作成に限られています。より高度なAI駆動のキャンペーン実行とオーケストレーションを希望するユーザーは、SAPのロードマップで機能拡張を注視する必要があります。

追加および削除されたベンダー

マジック・クアドラントの採用基準については、市場の変化に応じて見直しと調整を行っています。これらの調整によって、マジック・クアドラントで評価されるベンダーは、時間の経過とともに変化する場合があります。ある年のマジック・クアドラントに含まれていたベンダーが翌年には含まれていなかったとしても、それは必ずしもGartnerがそのベンダーに対する意見を変更したということを意味しません。市場の変化やそれに伴う評価基準の変化を反映した可能性もあれば、そのベンダーが重視する対象を変えたことを反映した可能性もあります。

追加されたベンダー

今回、以下の2社がマジック・クアドラントに追加されました。
  • Airship
  • MoEngage

除外されたベンダー

  • Acousticは、ビジネス/財務パフォーマンスが採用基準を満たさなかったため除外されました。
  • Acquiaは、消費財をサポートするMMHという採用基準を満たさなかったため除外されました。
  • MessageGearsは、ビジネス/財務パフォーマンスが採用基準を満たさなかったため除外されました。
  • Pegaは、ビジネス/財務パフォーマンスが採用基準を満たさなかったため除外されました。
  • Zeta Globalは、ソフトウェアライセンス収益の貢献率およびモバイルメッセージングの採用という採用基準を満たさなかったため除外されました。

採用および除外基準


2025年における採用基準の変更には、ライセンスに関する詳細項目の追加、最低限のビジネス/財務パフォーマンス要件の引き上げ、プロバイダーの顧客基盤による最低限のチャネル採用に関する新しい要件が含まれます。選出対象となるには以下の基準をすべて充足する必要があります。
ライセンス供与:
  • ベンダーはその主要なMMH製品を、他の独立した製品SKU(消費財SKUを除く。下記参照)の購入を必要としない、スタンドアロンまたは基本構成(最低のエディションティア)のライセンスとして提供している必要があります。
ビジネス/財務パフォーマンス:
  • MMHソフトウェア収益および顧客:ベンダーは以下のいずれかを満たしている必要があります(固定通貨で報告)。
    • 2024年のMMHソフトウェア収益が5億ドル以上、なおかつMMH顧客(ロゴ)が1,500社以上、または
    • 2024年のMMHソフトウェア収益が1億5,000万ドル以上、なおかつ
      • 2024年のMMH顧客(ロゴ)が350社以上、なおかつ
      • ベンダーが2023年と比べて有料の純新規のMMH顧客を25社以上追加、または
    • 2024年のMMHソフトウェア収益が5,000万ドル以上、なおかつ
      • 2024年のMMH顧客(ロゴ)が150社以上、なおかつ
      • ベンダーが2023年と比べて有料の純新規のMMH顧客を40社以上追加。
  • MMHによる消費財のサポート:ベンダーは以下の条件を両方とも満たしている必要があります。
    • ベンダーのMMH顧客の50%以上が、主要なMMH製品とともに一定量の電子メールメッセージも購入していること。
    • ベンダーのMMH顧客の15%以上が、主要なMMH製品とともに一定量のSMS、MMS、RCS、モバイルプッシュ、またはアプリ内メッセージも購入していること。
  • MMH顧客の契約金額:ベンダーは、すべてのMMH顧客の平均年間契約金額(ACV)が90,000ドル以上でなければなりません。
  • 総売上高:2024年における企業総収益の70%が、SaaS/サブスクリプション収益または新規の永続的ライセンス売上のどちらでも、ソフトウェアライセンス売上高(MMHなど)によるものでなければなりません。
市場での存在感
  • 本マジック・クアドラントのためにGartnerが定義した顧客関心指標(CII)において、上位25社にランクインしていること。CIIのために掲載されていないベンダーを否定的にとらえるべきでないこと。Gartnerの手法では、マジック・クアドラントに掲載できるベンダーの数を20社に制限しています。CIIで使用されるデータインプットには、特に以下の指標が含まれます。
    • Gartner顧客の問い合わせ・検索件数および傾向データ
    • Google検索件数およびウェブサイトトラフィック分析
    • 2024年12月までの年度におけるGartner Peer Insightsフォーラムのレビューで、他のクラウドMMHベンダーに対する競争相手として言及される頻度。
  • 以下に示す4つ地域のうち、2つ以上の地域で、販売と顧客サポートについて存在感を示していること。北米、ラテンアメリカ、EMEA、アジア太平洋。「存在感」は、該当する地域で以下の7つの業界のうち3つ以上の業界に現行顧客が20社以上存在することと定義されます。
  1. 銀行、金融サービス、保険
  2. 医療(医療機関、医薬品、ライフサイエンスを含む)
  3. 製造
  4. メディア
  5. 小売
  6. サービス
  7. 輸送
  • 上記の地域で、技術拡張やシステム統合サービス、サードパーティアプリケーション、デジタルエージェンシーサービス、またはコンサルティング・導入サービスなどのサービスを提供可能なパートナーのエコシステム。

MMH製品の機能性
  • ベンダーの主要なMMH製品(エディションベースのライセンス、基本構成)は、必要なすべてのMMH機能を主要なMMH製品のネイティブ機能として提供している必要があります(上記の市場定義を参照)。
  • ベンダーは以下のカテゴリーの5つ以上で、市販されている他のマーテックシステムおよびエンタープライズシステムとのパッケージ化された統合を提供している必要があります。
    • アドテックプラットフォーム(DSP、DMPなど)
    • クラウドデータプラットフォーム
    • CRM/セールスフォースオートメーション
    • CRM/カスタマーエクスペリエンス管理
    • デジタルコマースプラットフォーム
    • パーソナライゼーションエンジン
    • マーケティング分析、レポート、BIダッシュボード製品
    • コンテンツ管理、デジタルアセット管理、製品情報管理またはコンテンツマーケティングプラットフォーム
    • アイデンティティ解決サービス(決定論的または確率的)
  • ベンダーは以下のチャネルSKUを提供している必要があります。
    • 電子メール
    • キャリアベースチャネル(SMS、MMS、またはRCS)
    • ウォールドガーデンの広告先(GoogleおよびMeta)
  • ベンダーは以下のような高度なチャネルSKUを5つ提供している必要があります。
    • プッシュ通知、アプリ内メッセージング、Rich Communication Services、またはその他のアプリベースのエクスペリエンス(例:Instagram/TikTokなどのストーリー)を含む高度なモバイル
    • ウェブランディングページ、ウェブサイトのパーソナライゼーション、ウェブプッシュまたはパーソナライズ検索
    • ダイレクトメール(ダイレクトメールキャンペーンの組み込みと管理。ネイティブなフルフィルメントは必須ではありません)
    • オープンなプログラマティック広告(例:DSP/DMP統合)、リターゲティング、ペイドソーシャル(Facebook、YouTube、Instagram、TikTokなど)、小売メディアネットワーク(Amazon Ads、Walmart Connect、Target Roundel)を含むペイドメディア
    • 消費者向けメッセージングプラットフォーム:Facebook Messenger、WhatsApp、Apple Messages for Business、WeChatなど
    • その他のサービス:チャットボット、ウェブフック/API、デジタルサイネージ、キオスクまたはPOS端末

評価基準


実行能力

Gartnerは、プロセス、システム、方法または手順の質および有効性という要素でベンダーを評価します。評価の際には、それらの要素が、マーケティングチームのパフォーマンスを競争力のある効率的かつ効果的なものにしているか、さらに、収益、顧客維持および評判に好影響を及ぼしているかどうかを、Gartnerの市場に対する視点で考慮します。機能、サポート、サービスに関する幅広い要件がありますが、これらはベンダーの実行能力の重要な側面です。
  • 製品またはサービス — Gartnerは、前述の「採用および除外基準」で示した必須の機能および高度な機能に加えて、ベンダーのMMHソリューションの全体的な健全性を示す製品リリース/更新が一定の間隔で実施されている証拠に基づいて、ベンダーの実行能力を評価します。
  • 全体的な生存可能性 — Gartnerは、マルチチャネルマーケティングソリューションを提供するベンダーの事業部門の健全性を評価します。また、ベンダーの過去の成功と世界的なMMH開発の実績、および企業の製品ポートフォリオ内の最先端技術を継続的に進化させることに対する取り組みも評価します。
  • 販売実行力/価格設定 — Gartnerは、顧客または見込み客からの情報、RFI/RFP活動、販売前の技術サポートに関する要望に対するベンダーの対応力を評価します。また、契約交渉、RFPまたは見積もり対応、価格設定および交渉活動中のベンダーの実行能力、ならびに直接販売、間接販売および販売管理組織の全体的な有効性を評価します。Gartnerは、同等の能力を有する競合他社と比較して、ベンダーのコストおよび価格設定の競争力を評価します。これには、ベンダー製品、および上記に定義される製品の最低要件を満たすために必要なオプションのモジュールの公表されている定価(ライセンスまたはSaaS)が含まれます。また、年間保守料金(ある場合)、および必要となるサービス、研修、実装料金や、カスタマイズまたは関連サービス料金も含まれます。
  • 市場対応力/記録 — Gartnerは、自社の製品に対する需要の創出および充足におけるベンダーの過去の実績を、顧客の継続的な成功およびインストールベースでの使用で測定して評価します。Gartnerは、ベンダーが自身の「ホーム」地域以外の地域におけるニーズを満たすことを目的として、直接的あるいはパートナー、チャネルおよび関連会社を介して、その地域および市場に合った方法で、資源、スキルおよびサービスを配分するベンダーの戦略についても評価しています。さらに、市場の需要またはニーズに対応し、マルチチャネルマーケティングに直接関連または隣接する新規分野におけるベンダーの製品開発に対する資源の投資実績、および進化の激しいビジネス環境に継続的に対応する機敏性に着目しています。
  • マーケティングの実行力— Gartnerは、拡大する顧客基盤を支える戦術的かつ戦略的なマーケティングキャンペーンを実行するベンダーの能力、およびこの分野で明確なビジョンを持ったMMHベンダーとして自社のブランドを創出し拡張する能力を評価します。また、ベンダーには、全体的な推進力、認識されているマルチチャネルマーケティングの取り組み、市場での存在感を示す証拠のほか、進化が激しいビジネス環境に継続的に対応する機敏性にも着目しています。
  • カスタマーエクスペリエンス — Gartnerは、サポートリソース、体制、ポリシー、世界的視野など、ベンダー内部の顧客サービスおよびサポート能力の有無と存続性を評価します。また、ベンダーの外部リソースの利用可能性も評価します。これには、グローバルシステムインテグレーターやコンサルティング企業とのパートナーシップ、技術提携のほか、サードパーティツールまたはコンサルティング手法など、社内外の関連リソースが含まれます。さらに、顧客主導のソーシャルネットワークの取り組み、ユーザーグループの有無、およびSLAも含まれます。最後に、ベンダーのMMHソリューションがどれほど使いやすいと見られているかを評価します。
  • 運用 — 運用に関するGartnerの計測は、契約上の目標や顧客向けのサービスレベルコミットメントを達成するプロバイダーの能力を焦点としています。ベンダーの組織構造の品質、従業員の平均離職率、内部リソースの幅広さと深さ、過去18ヵ月間における人員削減または一時解雇が評価の対象となります。計画された戦略的イニシアティブの拡張に対するベンダーの準備態勢についても評価します。

表1:実行能力の評価基準

評価基準 重要度
製品/サービス
企業としての全体的な存続性
販売実行能力/価格設定
市場対応力/実績
マーケティングの実行能力
カスタマーエクスペリエンス
運用
出典:Gartner(2025年9月)

ビジョンの完全性

Gartnerは、明確かつ論理的に説得力をもって説明するベンダーの能力を評価します。その能力には、現在および将来の市場の方向性、イノベーション、顧客ニーズ、競争力、およびそれらがガートナーの市場に対する見方にどの程度合致しているかが含まれます。以下のように行動するベンダーの場合、ビジョンの完全性は良好です。
  • マーケティング部門のニーズを明確に理解していることを実証。
  • マーケターの現在および今後の要件に適合した製品開発。
  • 絶えず進化するこれらの要件に対し、差別化された機能を一貫して提供できる更新頻度を設定。
  • 広範囲のユースケースをサポート。
  • 製品に技術的イノベーションを導入。
具体的には、Gartnerは以下の基準を使用して、MMH市場におけるベンダーのビジョンの完全性を評価しています。
  • 市場の理解 — Gartnerは、ベンダーが市場に提案する価値、およびベンダーのソリューションがマルチチャネルマーケティングソリューションを購入する企業のマーケティング購買センターにいかに効果的に届いているかを評価します。また、外部の市場要因(消費者の携行、変化する規制環境など)に対するベンダーの総合的なビジョンも評価します。
  • マーケティング戦略 — Gartnerは、独自の機能や価値提案を効果的に強調するベンダーの能力、およびウェビナー、ソートリーダーシップ・プログラムなどの市場イベントへの参加を通じて差別化要素とビジョンを効果的に伝える能力、および総合的な認知度を評価します。また、新型コロナウイルス感染症などの要因により事業の中断が継続するという状況下で、ベンダーがマルチチャネルマーケティングにおける継続的なリーダーシップをいかに明確に伝えているかも評価します。
  • 販売戦略 — Gartnerは、直接および間接販売チャネルを使用した自社のMMHソリューションの販売に関するベンダーの総合的な戦略を評価します。また、事業展開の範囲と深さ、スキル、専門知識、技術、サービス、顧客基盤をより強固で幅広いものとする、ベンダーのマーケティング、顧客サポートおよびサービス、またはコミュニケーション関連会社にも注目します。さらに、システム統合の実証、技術、アプリケーション、戦略コンサルティング、流通パートナーシップの幅広さも評価します。
  • サービス(製品)戦略 — Gartnerは、前述の「採用および除外基準」で示した必須の機能および高度な機能、およびベンダーのMMHソリューションの全体的な健全性を示す製品リリース/更新頻度の一貫性に関して、ベンダーのアプローチを評価します。
  • ビジネスモデル — 特定の業界、地域、販売モデルに関して、市場化戦略と販売戦略が合致しているかを検証します。また、ビジネスモデルを支えるベンダーの製品戦略、および対象市場を効果的にサポートするライセンスモデル(SaaS、ワンタイムライセンス料金など)にも注目します。
  • 業種/業界戦略 — Gartnerは、現在の市場へのターゲティングにおけるベンダーの有効性に加えて、新規市場セグメント、ユーザー、または垂直産業グループ固有のニーズに応じてリソース、スキル、投資を配分するベンダーの能力を評価します。また、ベンダーのグローバル戦略が、世界各地の顧客基盤のニーズを満たす企業の能力にどれほど影響を与えるかについても評価します。
  • イノベーション — Gartnerは、ベンダーが自社および自社の顧客向け製品の範囲、機能、またはグローバルプレゼンスの拡大を意図して、以下の分野において財政的投資、または管理技術リソース、専門知識もしくは資本の投資を行っているかどうかに注目します。
    • マルチチャネルマーケティングに直接関連する分野または隣接する新分野における製品開発
    • 販売およびサポートインフラストラクチャ
    • サードパーティおよびパートナーとの関係
    • 合併および買収
  • 地域戦略 — Gartnerは、地域市場におけるマルチチャネルマーケティング顧客向けのプロバイダーの販売能力およびサービス能力を評価します。地域におけるプロバイダーの成長率に加え、直接販売ならびに現地のサービスプロバイダー経由での間接販売の戦略を評価します。地域における消費者プライバシーおよびデータ管理規制の重要性を踏まえて、プライバシー関連のイノベーションに対するプロバイダーの戦略および機能についても評価します。

表2:ビジョンの完全性の評価基準

評価基準 重要度
市場の理解
マーケティング戦略
販売戦略
サービス(製品)戦略
ビジネスモデル
業種/業界戦略
イノベーション
地理的戦略
出典:Gartner(2025年9月)

クアドラントの説明

リーダー

リーダーは、MMHのすべての重要機能を包括的にサポートしており、実装、ジャーニー構築、マルチチャネル最適化、顧客ジャーニー分析など、すべての中核的なユースケースにおける顧客ニーズを一貫して満たしています。これらのベンダーは、市場での高い認知度、堅調な浸透率、持続的な勢力、MMHの将来的な成長に関する明確な戦略的ビジョンを示しています。リーダーは、さまざまな業種と地域に広がる多様性に富んだ顧客基盤の獲得と維持にも成功しています。

チャレンジャー

チャレンジャーは、ジャーニーおよびキャンペーンのオーケストレーションや、ワークフローのイノベーションなど、1つ以上の重要なMMHユースケースに強みがあり、主として固定顧客のニーズへの対応に重点を置いています。特定の機能において優れた実行力を有していますが、戦略的な方向性として、新たな市場トレンドを設定するよりも、市場トレンドに追従する傾向があります。チャレンジャーは、提供するサポートやパートナーシップの品質が認められていますが、「リーダー」や「概念先行型」に見られるビジョンの幅広さや革新性に欠けている場合があります。

概念先行型

概念先行型のベンダーは、マーケターによる最先端のマルチチャネルプログラムの実行を可能にする、AIエージェント、処方的インテリジェンス、または双方向の会話型エンゲージメントなど、新興のMMH機能の提供において優れた能力を示しています。これらのベンダーは、多くの場合、今後のマーケットスタンダードを形作る戦略的な方向性やイノベーションを導入していますが、実行力やサービス/エコシステムの成熟度が不足しているため、規模を拡大して市場にインパクトを与える能力は限定的です。概念先行型のベンダーは、強い潜在力を示してはいるものの、MMHのあらゆる要件を満たす包括的なソリューションは未提供の場合があります。

特定市場指向型

特定市場指向型のベンダーは、MMH市場における特定のニーズに対応しており、多くの場合、特定の機能、業種、または地域に焦点を合わせています。これらのベンダーは、フルスイートのマルチチャネル機能や高度な分析は提供していない場合があり、一般にメールマーケティングやキャンペーンオーケストレーションなど、一部のユースケース向けにソリューションが採用されています。特定市場指向型のベンダーは、リソースや市場戦略も限定的であるため、他のクアドラントと比べて認知度が低く存在感に乏しい場合があります。

コンテキスト


MMHは、キャンペーン管理やジャーニーオーケストレーションなど、デジタルマーケティングの不可欠な機能を実現することから、マーケターの関心を広く集めています。マーケターは、収益、顧客エンゲージメント、ロイヤルティ、生涯価値などの成果を上げるためにMMHに投資しています。MMHは、電子メールプラットフォーム、モバイルマーケティングプラットフォーム、B2Bマーケティング自動化プラットフォームと機能的に類似していますが、複数のチャネルやタッチポイントにおけるインタラクションの調整が可能であるという点で、他とは区別されます。CDP、アセットまたはコンテンツ管理ツール、パーソナライゼーションエンジンと併用される場合が多く、アドテックソリューションや販売、サービス、コマース用CRMソリューションなど、他のソフトウェア製品を補足する役割を果たします。MMHでは最低でも、マーケターがデータを活用して、アドレッサブルチャネルを通じて既知の個人にパーソナライズされたコンテンツやエクスペリエンスを配信することが可能でなければなりません。
MMHは基礎的で多用されるテクノロジーですが、マルチチャネルマーケティングやジャーニーオーケストレーション用の最も高度な機能を、ユーザーは頻繫には利用していません。十分に活用されないだけなら問題はありませんが、MMHの場合がそうであるように、ステークホルダーが高い投資回収率も期待しているのであれば話は別です。採用不足はMMHの戦略的価値を低下させます。MMHの高度な(高価でもある)機能を、マーケターが実際に使用していない(または使用できていない)ことを示唆するからです。予算が厳しく精査される傾向が強まっていることから、CMOはMMHのビジネスケースを再検証し、組織内でMMHの効率的かつ効果的な運用を妨げている要因を確認する必要があります。明確かつ変革的な生産性向上を伴わない場合、MMHはコストが高いわりに成果が上がらないと認識されるリスクがあり、オーケストレーションによって得られる利益は、予算を捻出するに値しないと見られます。
昨年、MMHプロバイダー各社は、変革への最も有望な手段としてエージェンティックAIを導入しました。これにより、初期段階のブリーフから構築、最適化、保守、廃止に至るまで、ジャーニーのライフサイクルがエンドツーエンドで完全に自動化される可能性があります。理論的には、エージェンティック機能はマルチチャマーケティングを、エピソード的な手作りのキャンペーンから、自律的に設計、構築、最適化される、常時オンの適応型のエクスペリエンスに変えるのに役立ちます。しかし、2025年の時点では、AIエージェントは概して野心の域を出ていません。ほとんどの製品が自動化に結び付いているか(送信時間の最適化など)、ワークフローを迅速化するプッシュボタン式アシスタントを使用するものであり、マーケターの役割に取って代わるものではありません。2025年中盤現在、エージェンティックオーケストレーションは製品戦略であり、プルーフポイントでもなければ検証済みのビジネスケースでもなく、MMHの費用対価値という難問を解決すると主張するほどのレベルに達していません。
MMHの急速な変化を反映して、Gartnerによる2025年の評価手法では、AIイノベーション(真のエージェンティック機能の形式を取っている場合もあるが、一般的にはアシスタントおよび自動化)の現実的な価値と成熟度をより綿密に精査しています。Gartnerはさらに、ショッピングアシスタントやインタラクティブチャネル(SMS、チャットなど)の台頭を受け、双方向の対話型エンゲージメントの重要度を高めています。Gartnerは今年、利用率とコスト予測について評価する新しい基準を導入しました。これらは、ユーザーがデータクレジットやメディアボリュームなどの消耗品を理解、計画、統制するのに役立つ機能です。消費量ベースの価格モデルが急増し、エージェンティックAIが出現したことで、マーケティングリーダーは推測上のリターンよりも先を見据え、エージェンティックAIによる予算インパクトを透明化するツールを探し出す必要に迫られています。
読者はMMHソリューションの現在と今後の価値に対するGartnerの視点を慎重に取り入れ、プロバイダーのビジョンや実行能力について、独自の評価基準を策定する必要があります。ビジネスケースの作成に際しては、自社のマルチチャネルキャンペーン管理における生産性向上のニーズを見積もることから始める必要があります。AIを通じて測定可能かつコスト効率に優れた生産性向上を促進するプロバイダーの能力を、厳密に評価します(理想的には、POCを用いてテストします)。継続的な教育とイネーブルメントも含めて、MMH機能の導入と持続的な採用の両方に対応する、包括的で俊敏な変更管理計画を策定します。ソリューションについて、コア機能だけでなく、マーケティングの速度、価値創出までの期間、運用(テクノロジー、労力、AI)の総コストに対するインパクトの観点からも評価します。最後に、各プロバイダーの製品開発、カスタマーサクセス、パートナーエコシステムによって、成果の実現とMMHへの投資リターンの最大化がいかに早く実現されるかを検討します。

市場概要


テクノロジー市場は長きにわたり、成長、統合、破壊の循環的なパターンを特色としてきました。近年、MMH市場は後者に向かいつつあるようです。マーテックのスタックにおける役割が、少しばかり退屈とはいえ、ますます落ち着いてきたように見えるからです。2023年のGartner Marketing Technology調査では、MMHソリューションを検討するつもりはないと回答したマーケターはわずか6%で、このソリューションがしっかりと定着していることが分かります。1 しかし、広く導入されているにもかかわらず、一向に上がらない採用率や、十分に活用されていない機能についてのMMHバイヤーの不満が募って、このテクノロジーのROIに対する懐疑的な見方が強まっています。そのため、具体的な価値を提供し、継続的な投資を正当化するよう、プロバイダーに差し迫った圧力が生じています。
2025年のMMH市場は、キャンペーンを中心とするレガシーと、ジャーニーオーケストレーションによって定義される未来との交差点に立っています。カスタマーデータプラットフォーム(CDP)との曖昧な重複が数年間にわたって続いた後、2025年にはMMHの役割に新たな明瞭さが加わりました。AIの進歩とウェアハウスネイティブな統合の採用により、ついにMMHは、大規模なパーソナライズされたエンゲージメントの達成という位置付けを獲得しました。しかし、測定可能なROIと運用の簡素性に対するバイヤーの需要から、ほとんどのプロバイダーが、コストを正確に予測・統制することが不可能という、重大な脆弱性を露呈させています。消費量ベースの価格モデルによって、変動性や予測不可能性が増している現状ではなおさらです。
MMHは、デジタルマーケティングにおいて基礎的なものであることに変わりはありませんが、十分に活用されない状態が続き、複雑性も増大しつつあることから、プラットフォームの能力と、実現されるビジネス価値との間でギャップが広がっています。マーテック予算が厳しく精査される傾向が強まる中で、プロバイダーとバイヤーの双方が、MMH市場における有意義なイノベーションとは何か、持続可能な差別化とは何かを再検証しつつあります。

エンタープライズプロバイダーによるエージェンティックオーケストレーションの採用

Adobe、Salesforce、SAPなどのエンタープライズアプリケーションプロバイダー(EAP)は、大規模なパーソナライゼーションとジャーニーオーケストレーションを求める大企業のための主要なイネーブラーとして自社を位置付けています。EAPは、ユニファイドプラットフォームにMMH、CDP、高度なAI(新興のエージェンティック機能を含む)を統合することにより、企業をエンパワーして前例のない規模でエンゲージメントを自動化、パーソナライズ、最適化すると約束しています。これらのプロバイダーは、AI駆動による顧客との会話型エンゲージメントを通じて、MMHの利用と価値の間にあるギャップを埋める手段として、エージェンティックAIを支持しています。
しかし、2025年の現実はもっと微妙です。ほとんどの大企業は、プロバイダーの断片化したレガシースイートから、最新のCDP対応プラットフォームへの数年に及ぶ移行の最中です。この移行には大量のリソースが必要であり、新しいアーキテクチャやワークフローにチームが適応するまでは、業務に混乱が生じる時期と見なされる場合が少なくありません。EAP各社は、AIおよびエージェンティック機能の導入を加速させていますが、これらのイノベーションは、まだ実働環境で全面的に現実化されていません。依然としてほとんどの導入事例が、真の自律的オーケストレーションというより、自動化とアシスタント駆動の機能拡張に限定されています。
こうした課題とあいまって、消費量ベースの価格モデルの採用が、コスト面で新たな複雑性を生じさせています。プロバイダーの新しいプラットフォームによってアーキテクチャが統合されても、マルチチャネルマーケティングでよく使われる機能は、しばしば別の製品モジュールに固定されており、そのためマーケターは、クラス最高の競合他社のMMHでは普通に見られる機能をアドオンするか、そうでなければ諦めざるを得ません。マーケティングリーダーからは、支出額の予測と管理の難しさが報告されています。消費量ベースの価格設定が台頭している現状ではなおさら、予期せぬ超過額や予算リスクの懸念が拡大しています。その結果、EAPがスケーラブルなAI駆動のオーケストレーションの有望性を説いても、バイヤーの立場では、オーケストレーションに対する全社規模の巨額の投資から測定可能な価値を実現しなければならないというプレッシャーが高まっています。

買収と基礎投資によって強化を図る独立系ベンダー

独立系MMHは、概してプラットフォームアーキテクチャを採用し、自らをカスタマーエンゲージメントプラットフォーム(CEP)と位置付けてEAPに対抗しています。これらのツールは、リアルタイムのオーケストレーション、クロスチャネルのエンゲージメント、パーソナライズされたエクスペリエンスの提供を目的とするCDP的な機能を組み込んでいます。Gartnerによる2025年の評価では、Airship、Bloomreach、Braze、Cordial、Insider、Iterable、MoEngageがCEPです。InsiderとBloomreachは、処方的インテリジェンスとAIエージェントにおけるイノベーションで頭角を現しており、特にInsiderによるMindBehindの買収が注目に値します。これらのプロバイダーは両方とも、より自律的で消費者対応、エージェント駆動のエクスペリエンス(ショッピングアシスタントやサービスエージェントなど)を提供することを目標に、従来の自動化よりさらに上を行くエージェンティック機能に投資してきました。
基礎的なデータインフラとAI/分析への幅広い投資は、すべてのCEPベンダーに共通しています。特にBrazeは、OfferFitの買収によって能力を強化し、AI駆動の実験と最適化の機能を拡張しています。Iterableも分析に多大な投資を行い、データ駆動のエンゲージメント戦略をサポートする能力を強化しています。すべてのプロバイダーが、ワークフローを加速し、パーソナライズされたコンテンツ、オファー、メッセージバリアントの作成を強化するため、AIアシスタントを追加しています。しかし、真のAI成熟性(特に、自律型エージェントや高度な処方的インテリジェンスの形式)は依然として限定的です。多くのベンダーが実働環境に耐えうるエージェンティックAIを提供するに至っていません。処方的インテリジェンスでは、引き続きOptimoveが目立っていますが、BloomreachとInsiderも進歩しています。
CEPでは消費量ベースの価格設定はそれほど一般化してはいませんが、より優れた予測ツールやシナリオプランニングツールをマーケターに提供しなければならないという必須課題に直面しています。ジャーニー作成がより迅速で手近なものになるにつれ、潜在的なコスト、リソース消費量(予算やチャネルボリュームなど)、新しいキャンペーンまたはジャーニーごとに予測される成果や機会コストについて、明確かつ具体的なフィードバックがマーケターにとって必要になります。

GenAI機能:アシスタントのエージェント化への野望

2025年、すべてのMMHプロバイダーがGenAI機能を拡張しましたが、依然として大部分のイノベーションがコンテンツ生成とワークフローアクセラレーションに集中しています。メッセージの作成とパーソナライズ、キャンペーンアセットの作成、バリエーションの大規模な実験に役立つ、GenAIを活用したアシスタントを、今ではほとんどのベンダーが提供するようになりました。ベンダーの多くは、セグメントを作成したり、マルチステップジャーニー全体を生成したりするチャットボットなど、その他の生産性強化機能もリリースしています。こうした動きは、何千ものジャーニーを通じて顧客エンゲージメントを収益に変える、はるかに動的かつ適応型のプロセスへの変化を示しています。
しかし、この市場の最も野心的なビジョンは、完全なエージェンティックオーケストレーションという、さらに大きいものです。エージェンティックオーケストレーションプラットフォームでは、まるで暗い工場のように、常時オンのマイクロターゲティングによるエクスペリエンスの巨大なポートフォリオが、絶え間なく特定、構築、最適化されることになるでしょう。このビジョンは今のところ野心の域を出ておらず、実環境への導入というより、製品ロードマップに留まっています。すべてのマーケティングリーダーは、MMHによる画期的な生産性向上という未来に備える必要があります。より速く、低コストな、調整済みのエクスペリエンスによって、長続きするブランドが成立し、競合関係に破壊的な変化が起こり、少人数のチームが大規模なマーケティング組織を上回るスピードとパフォーマンスを発揮して、コンシェルジュ的なカスタマーエクスペリエンスを割安のコストで提供するようになる可能性があります。
GenAIによる実際のインパクトを評価するには、慎重な精査が必要です。POCテストでは、キャンペーンのサイクル時間、リソース効率、マーケティングパフォーマンスへの影響など、測定可能な成果に焦点を当てる必要があります。GenAIおよびAIエージェントが成熟するにつれ、競争優位性を高める能力は、プッシュボタン式アシスタントだけでなく、自動化の深度、全面的なエージェントオーケストレーション、ガバナンス機能に加え、戦略的価値の創出に必要な総コストにおけるMMHの比率の持続的な上昇に依存することになるでしょう。

処方的インテリジェンス:漸進的な利益、高まる期待

2025年、MMHの差別化において焦点となったのは処方的インテリジェンスであり、プロバイダー各社は、マーケターが常時オンのクロスチャネルジャーニーの複雑性に対処できるよう支援することでしのぎを削っています。すべてのプラットフォームで、キャンペーンパフォーマンスの詳細なレポートと分析を綿密にチェックするための機能が提供されています。多くのプラットフォームが、キャンペーンのパフォーマンス不振を分析・診断できるGenAIアシスタントを提供するようになりました。ユーザーによる探索的な分析から、オーディエンスターゲットまたはジャーニー全体を構築できる、プッシュボタン式アシスタントを提供しているプラットフォームもあります。こうした進歩によって効率性が高められ、高度なターゲティングを駆使して最適化されたマーケティングを展開するために必要な時間やスキルが減少するとはいえ、拡大する市場のリスクには追い付きません。それは雪だるま式に増え続ける、常時オンのジャーニーのポートフォリオを維持するためのリソースです。AIの助けを借りて迅速にジャーニーが生成されるようになれば、なおさらです。
少数のプロバイダー(目立つところではOptimove、Insider、Bloomreach)が、トリガーベースの何万ものジャーニーの管理に役立つ、処方的インテリジェンスの開発で具体的な成果を上げています。これらのプラットフォームでは、実用的なインサイトの表面化、機会検出の自動化、さらにはリアルタイムインサイトに基づく新しいジャーニーまたはコンテンツの生成が始まりつつあります。しかし大部分のMMHソリューションでは、最高のリターンにつながるジャーニーおよびキャンペーンの最適な組み合わせについて、信頼性の高い助言をマーケターに与えることのできる、深く統合された実働環境に対応する処方的機能が依然として欠けています。
マーケターがAIの助けを借りてジャーニーの作成と実験を加速させるにつれ、堅牢な予測型の処方的インテリジェンスの必要性が高まっています。レコメンデーションを提供するだけでなく、そうしたインサイトがどのように生み出され、どのようなインパクトを与え得るかについても透明性を提供し、自動的なアクションを統制・洗練化する能力を備えたプラットフォームを優先的に選ぶ必要があります。最終的に、処方的インテリジェンスの真価は、どれほど効果的にアジャイルマーケティングの規模を拡大し、ネクストベストアクションの指針によって全社的な成果を向上させるかによって測られるようになると予測されます。

MMHにおけるコンポーザビリティとコスト透明性の課題

コンポーザビリティがMMH市場で重要な差別化要因として浮上しています。EAPとCEPのどちらも、ゼロコピー方式の統合によってクラウドデータウェアハウスを統合するモジュラー型アーキテクチャを宣伝しています。コンポーザブルなソリューションは破壊的な価格設定、マーケティング業務の俊敏化といった可能性をもたらしますが、ほとんどのバイヤーにとって、実際のメリットはまだ明確ではありません。現段階では、コンポーザビリティがマーケティングバイヤーにとって、データウェアハウスアクセスの重要性を知らせるための手段よりも、はるかに大きい意味があるかどうかは不明瞭です。多くのプロバイダーの主張は、真に相互運用可能なプラグ&プレイのアーキテクチャというより、APIの増分的な拡張および統合ということになります。その結果、期待される俊敏性とコスト効率の向上は、まだ完全かつ大規模には実現されていません。なぜなら、コンポーザブルな統合は複雑なワークフローにつながる可能性があり、そこではエンドユーザーであるマーケターが、生産性のために技術的な進歩という代価を支払うことになるからです。それと同時に、消費量ベースの価格モデルの急増(特にEAP)は、マーケティング組織に財務上のさらなる複雑性とリスクをもたらしています。コンポーザブルな統合がさらに一般化するにつれ、運用コストの相当な割合がダウンストリームのデータウェアハウスに転嫁され、ITチームに新たな要求が課されるようになり、マーケティングイニシアティブの真の総所有コストが曖昧になる可能性があります。このようなコストの再配分により、マーケティングとITの間における部門横断的なガバナンスと、共有型のシナリオプランニングの必要性が高まります。
市場全体で見ると、どのプロバイダーも、リアルタイムの予測、きめ細かいコスト管理、キャンペーンの財務的影響に関する実用的なインサイトでマーケターに力を与えるには、ほど遠い状態にあると言えます。目立ったところでは、SalesforceがDigital Walletなどのツールに投資し、マーケターがより適切に支出を管理・可視化できるようにしていますが、そうした取り組みさえも、真の財務的透明性に向けた最初のステップに過ぎません。業界がエージェンティックオーケストレーション(AI駆動のシステムによるパーソナライズされたエクスペリエンスの自律的な生成、最適化、拡大)に向かって進むにつれ、透明性はさらに重要になります。マーケターとITリーダーは、自分たちにとってのカーソンの速度(航空機が目的地までの時間を最小化し、燃料効率を最大化する速度)に相当するものを見つけ出す必要があります。エージェンティックなジャーニーオーケストレーションの場合、このようなスピードと効率のバランスは、頻度と強度(すなわち、どれほどの頻度でデータウェアハウスからデータをキャッシングするか、エージェントがどれほどの頻度で新しいジャーニーを生成するか、またはカスタマーエクスペリエンスをどの程度まで調整するか)を制御することによって達成されます。
自信を持って新興のエージェンティックAIを採用するには、マーケターが予測可能な予算の範囲内で収益性の高いインタラクションを確保できる、透明性の高いレポートとシナリオプランニングが必要です。プロバイダーは、エージェンティックオーケストレーションおよびデータ操作の量と速度を管理する、システム全体の優れた制御機能を導入することで、差別化の機会を得ることができます。セーフガードやガバナンス対策がなければ、予期せぬ超過料金やリターンの減少により、テクノロジーと当初のビジネスケースへの信頼が瞬く間に失われる結果になりかねません。マーケティングリーダーは、ほとんどのMMHに見られる基本的な過去指向の消費量レポートやクレジット使用量レポートよりも先を見据える必要があります。明確なコスト予測機能と、クレジット消費を加速・減速するためのガバナンス機能を備えたツールを探す必要があります。運用の俊敏性と効率性をもたらすマーテック運用モデルで、MMHを補完する必要があります。適正なメッセージ、適正なチャネル、適正なタイミング、適正なコストという新たな必須課題をマーケターに提示する必要があります。

根拠


マルチチャネル・マーケティング・ハブに関するGartner Peer Insightsのレビュー:2023年1月1日から2024年8月14日までの期間中に投稿されたレビューを考慮の対象としました。
1 2023 Gartner Marketing Technology Survey:本調査は、テクノロジーの取得、採用、使用の現状について、テクノロジースタックの管理に関するべストプラクティス、使用されている具体的なテクノロジー、その普及度を含めて調査することを目的とします。本調査は、2023年の5月末から6月にかけてオンラインで実施されました。計405人の回答者がそれぞれの母国語で調査に回答しました。内訳は北米(n = 200)、西欧(n = 173)、北欧(n = 32)です。調査への参加資格は、2022事業年度における全社の年間収益が1億ドル以上の企業であり、回答者の80%が年間収益10億ドル以上の企業に在籍しています。回答者の業種は多岐にわたっています。金融サービス(n = 39)、保険(n = 39)、製造(n = 41)、消費財(n = 38)、小売(n = 39)、旅行/ホスピタリティ(n = 34)、医療(n = 38)、医薬(n = 31)、メディア(n = 34)、テクノロジー製品(n = 34)、IT/ビジネスサービス(n = 38)。回答者はいずれも上級の意思決定者であり、その日常的な責務の大部分が、ビジネスまたはITのどちらかに重点を置いたマーケティング関連の業務であることが条件となっています。回答者の62%がマーケティング部門、18%がブランド管理、11%がプロダクトマーケティングおよび管理、9%がカスタマーサービス、2%がITまたはその他のビジネスユニットに所属しています。免責条項:本調査の結果は、グローバルな知見や市場全体について表したものではなく、回答者と調査対象企業のセンチメントを反映したものです。

評価基準の定義


実行能力

製品/サービス:ベンダーが特定の市場に向けて提供する主要な製品およびサービス。これには、自社から直接提供するか、OEM契約およびパートナーシップによって提供するかにかかわらず、前述の市場定義で定義し、小項目で説明したように、現在の製品およびサービスの能力、品質、機能群、スキルなどが含まれます。
企業としての全体的な存続性:存続性には、総合的な企業の財務健全性、事業単位の財務上および実務上の成功、そして個々の事業単位が製品に対して継続的に投資していく見込み、継続的に製品を提供していく見込み、ならびに企業の製品ラインを最先端のものに改善していく見込みに対する評価が含まれます。
販売実行能力/価格設定:プリセールスの全活動におけるベンダーの能力およびそれらの活動をサポートする体制。これには、取引管理、価格設定および交渉、プリセールスのサポート、ならびに販売チャネルの全体的な有効性が含まれます。
市場対応力/実績:ビジネスの機会が広がり、競合他社が行動し、顧客のニーズが進化し、市場ダイナミクスが変化するなかで、対応し、方針を変更し、柔軟性を持ち、競争に勝つ能力です。この基準では、ベンダーの過去の対応実績についても考慮します。
マーケティングの実行能力:企業メッセージを伝えるために立案されたプログラムの明瞭さ、質の高さ、創造性および有効性。これらは、市場に影響を与え、ブランドや事業を推進し、製品の知名度を向上させるとともに、製品/ブランドおよび企業に対するポジティブな印象を購入者の意識に植え付けることを目的としています。この「マインドシェア」は、宣伝、販売促進活動、ソートリーダーシップ、口コミ、および販売活動が一体となって促進されます。
カスタマーエクスペリエンス:評価対象の製品に対する満足をもたらすための顧客との信頼関係、製品、サービスおよびプログラム。これには特に、顧客が受ける技術サポートやアカウントサポートの体制が含まれます。また、補助的なツール、カスタマーサポートプログラム(およびその品質)、ユーザーグループの有無、サービス品質保証なども含まれます。
運用:目標やコミットメントの達成に向けた企業の能力。この要素としては、組織構造の質が挙げられます。これには組織が効果的かつ効率的に事業を継続するために必要なスキル、経験、プログラム、システムおよびその他の手段が含まれます。

ビジョンの完全性

市場の理解:購入者の要望やニーズを理解し、その理解を製品やサービスに反映させるベンダーの能力。最高水準のビジョンを示すベンダーは、購入者の要望やニーズに耳を傾けて理解し、自分たちの新たなビジョンを加えて、その要望やニーズを形にしたり強化したりできます。
マーケティング戦略:明確かつ差別化された企業メッセージを組織全体で一貫して共有し、またWebサイト、広告、顧客プログラムおよびポジショニングステートメントを介して外部に向けて発信すること。
販売戦略:直接および間接販売、マーケティング、サービスおよびコミュニケーション関連会社などのネットワークを効果的に活用する製品販売戦略。マーケットリーチ、スキル、専門性、テクノロジー、サービスおよび顧客基盤の範囲と深さを拡げます。
サービス(製品)戦略:現在と将来の課題を明確にすると同時に、他社との違い、機能性、方法論および機能群に重点を置いた、ベンダーによる製品開発および製品販売のアプローチ。
ビジネスモデル:ベンダーの基本的なビジネス提案における健全性および論理性。
業種/業界戦略:垂直市場など、個別の市場区分が抱える特定のニーズを満たすことを目的として、リソース、スキルおよびサービスを割り当てるベンダー戦略。
イノベーション:投資、統合、守備的もしくは先制的な行動を目的とした、リソース、専門性または技能もしくは資本の直接的、間接的、補完的、および相乗的な配置。
地理的戦略:「本拠地」である自社の国や地域外の場所でその特有のニーズを満たすことを目的として、直接、またはパートナー、チャネル、子会社を通じて、その地域および市場に合わせた方法で、リソース、スキルおよびサービスを割り当てるベンダー戦略。
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