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顧客ジャーニー分析およびオーケストレーションのマジック・クアドラント

2026年3月23日 - ID G00843109 - 通読時間44分
執筆者:Christopher Sladdin、Daniel O'Sullivan、Leah Leachman
顧客ジャーニーの複雑化は、CXとロイヤルティを損なうリスクがあり、成長とコスト管理にも影響を及ぼします。リアルタイム分析、優先順位付け、オーケストレーション用に最適な顧客ジャーニー分析およびオーケストレーションソリューションをリーダーが特定するために、本マジック・クアドラントをご活用ください。

市場定義/説明


Gartnerが定義する顧客ジャーニー分析およびオーケストレーション(CJA/O)とは、顧客や見込み客が複数のチャネルを通じて企業とどのようにやり取りしているかを、時間の経過とともに追跡・分析するソリューションを指します。企業はこれらのソリューションにより、エンドツーエンドの顧客ライフサイクル全体を通して、マルチチャネルの顧客エクスペリエンスをリアルタイムで改善するための優先順位付けと実行の最適化を行うことが可能になります。
CJA/Oソリューションが提供するジャーニーレンズは、クロスチャネルのインタラクションデータを、トランザクションデータ、顧客の声(VoC)、顧客プロファイルデータと時間軸上で組み合わせることで、インサイトを提供します。別のタイプの分析を単独で使用しても、これを達成することはできません。これにより、大規模なデータ駆動型の予測や、顧客満足度や維持率、LTV向上への効果を実証可能な、マルチチャネル施策の実験 を行うことができます。
CJA/Oソリューションは、以下に示す3つの主要なユースケースに対応しています。
分析
  • 複雑なマルチチャネルの顧客ジャーニーを理解する
  • 顧客が立ち往生したり、ジャーニーを完全に離脱したりする部分を分析することで、機会を特定する
  • サンキーダイアグラムとジャーニーマップを使用して、一般的なジャーニーを視覚化する
優先順位付け
  • 得られたインサイトを活用して、設計/プロセス変更や意思決定の優先順位付けを行う
  • VoCやその他のデータを統合し、サービス優先順位や指標とアクションを相関付ける
  • 意思決定やプロセス変更の影響に関する即時のフィードバックを得る
オーケストレーション
  • 顧客ジャーニーをリアルタイムで調整するための次に取るべき最適なアクション を設計する
  • コンテキストやセグメント等の要因に基づいて、顧客にアラートや通知を送信する
  • 顧客と企業にとって最良の結果がもたらされるよう、個々の顧客ジャーニーを最適化する
ワークショップ等を通じて企業が意図する(理想的な)ジャーニーを設計するための、限定的な顧客ジャーニーマッピング機能を提供しているソリューションもありますが、これらの機能はCJA/Oツールの主眼ではありません。顧客ジャーニーマッピング技術については、Gartnerは別途で取り扱っています(Innovation Insight: Customer Journey Mapping Technologyを参照)。

必須の機能

  • ソースシステム/チャネルからのデータ収集。さまざまな社内システムや複数のエンゲージメント用チャネル(Webサイト、チャットボット、小売店、ライブチャット、電話など)から、データを取り込む能力です。データの取り込み機能は、ソースシステム非依存でなければなりません(例えば、データがデジタルチャネルのみに限定されていてはなりません)。ただし、特定のソリューション専用のコネクタを追加で提供しているベンダーもあります。
  • ジャーニーの可視化。これにより、企業はすべてのチャネルとタッチポイントで展開される顧客ジャーニーを、マクロレベル(すなわち顧客グループ単位)および個々の顧客レベルの両方で把握することができます。これは一般にサンキーダイアグラムの形式を採ります。これらの可視化は、ユーザーによる入力が必要な場合もあれば、動的に生成される場合もあります。
  • 決定論的な顧客IDマッチング。特定の既知の識別子(ユーザーID、電話番号など)に基づいて顧客レコードを紐付けます。この機能は、マルチチャネルのジャーニー全体で個々のユーザーを追跡するために必要です。ベンダーによっては、社内の他のサービスに接続して、顧客識別データにアクセスする場合もあります。
  • ジャーニーの優先順位付けと成果管理機能。これにより、ジャーニーが企業と顧客に与える影響や潜在的な改善点を理解することができ、データ駆動のジャーニー管理と価値の可視化が可能になります。
  • ジャーニーオーケストレーション機能。これにより、企業がほぼリアルタイムで顧客のジャーニーに介入することができます。この機能は、ルール、予測分析、機械学習を使用して、顧客や企業にとって成果を最適化するにはジャーニー内のどのポイントで介入すればよいかを特定します。これには、顧客向けアクション(コミュニケーションの生成、プロフィールデータに基づくWebサイトメッセージの最適化など)の自動化や、内部アクション(アラートの生成など)の自動化が含まれます。.

オプション機能

  • 確率論的な顧客IDマッチング。信頼できる識別子(例:ユーザーID)が利用できない場合に、統計的手法を用いて個々のユーザーをマッチングする機能です。位置情報、デバイス、ユーザー行動、その他の要素のデータに基づいて、可能性の高いマッチを割り当てるアルゴリズムが使用されます。
  • ジャーニーマッピング機能。これにより、ユーザーが現状のジャーニー視覚化機能を拡張したり、今後のジャーニー設計を提案したりすることができます。その際、顧客の期待、疑問、不満、機会、関連するプロセスやテクノロジーに関する詳細な情報を組み込むことができます。ベンダーのソリューション内部でこれらの設計を行う場合もあれば、サードパーティ製のジャーニーマッピングソリューションとの統合によって行う場合もあります。
  • 顧客セグメンテーション機能。これにより、顧客ジャーニーの分析、優先順位付け、顧客ジャーニーの調整を行うことができます。顧客のグループ分けは、ジャーニーに関するインサイトや、より広範な企業データに基づいて行うことができます。
  • VoC統合。これにより、アンケート等で収集した顧客フィードバックを、可視化されたジャーニーに重ねて表示することが可能になります。このデータは、顧客ジャーニーの主要な段階における顧客の期待と体験を把握する目的で使用されます。
  • リアルタイムのエージェント支援機能。顧客ジャーニーに関するデータをリアルタイムでサービスエージェントに提示し、顧客を望ましい成果へ導くためのアクションや推奨事項を提供します。

マジック・クアドラント


図1:顧客ジャーニー分析およびオーケストレーションのマジック・クアドラント
The Magic Quadrant for Customer Journey Analytics & Orchestration shows 9 providers positioned in a scatterplot with the x-axis rating their Completeness of Vision and the y-axis rating Ability to Execute. This chart is split into quadrants with the top right labeled as Leaders, top left as Challengers, bottom left as Niche Players, and bottom right as Visionaries. As of March 2026, the Leaders are Adobe and CSG; there are no Challengers; the Visionary is Alterian; and the Niche Players are CallMiner, Engage Hub, inQuba, Joulica, Medallia and Woopra.
ベンダーの強みと注意点
Adobe

Adobeは、その強力な製品機能と製品の役割および業界の専門知識により、このマジック・クアドラントでは「リーダー」に位置付けられています。同社のAdobe Customer Journey AnalyticsおよびAdobe Journey Optimizer製品は、B2Bのアカウント管理とセールス、およびB2Cに特化したマーケティングキャンペーン管理に最適です。同社はグローバル展開していますが、北米およびEMEAに重点を置いています。顧客企業は主に、金融サービス、小売、ヘルスケア、ハイテク、製造、旅行/ホスピタリティ、メディア/エンターテインメント業界の中堅企業から大企業です。
同社のロードマップにおける重点分野は、非技術系ユーザーを支援しオーケストレーションワークフローを拡張するエージェント型および予測型AIソリューションの拡充、ロイヤリティプログラムオーケストレーションの強化、チャネルサポートの拡大、会話型チャネルにおけるジャーニー分析となっています。
強み
  • 包括的な製品ポートフォリオ:Adobeのソリューションは、強力な分析機能と、デザインに強く注力した自社チャネル、有料メディア、社内オーケストレーション機能を組み合わせています。このプラットフォームは、優先順位付け、成果、ROI管理にも重点を置いています。
  • B2Bジャーニーの管理:Adobeは最近、マルチステークホルダーの顧客ジャーニー分析およびオーケストレーション(CJA/O)に対応する、同社製品のB2Bエディションの提供を開始しました。この製品は、リセラーやパートナーを介したステップを含む、多段階の購買者ジャーニーを包括的に管理します。これにより、企業は広範なアカウントレベルだけでなく、特定の役職や購買グループについても、的を絞ったエンゲージメントの分析とオーケストレーションを行うことができます。
  • 広範なプラットフォーム統合:Adobeの製品は単体のソリューションとしても高い能力を備えていますが、Adobe Experience Cloudの他のアプリケーションとの相互運用性により、特に顧客データ管理およびオーケストレーションで能力がさらに強化されます。
注意点
  • 高度な技術スキルが求められる:Adobeの製品は設定の自由度が高く複雑なため、使いこなすには高度な技術スキルが必要です。そのため、Adobeまたはパートナーが提供する専門サービスの必要性が大きくなります。
  • 価格設定の複雑さ:Adobeの価格戦略における透明性の不足が、Gartnerクライアントから指摘されています。同社の製品バンドルとその価格設定は複雑だという認識があり、AI機能の導入に伴う今後の価格変更の可能性が、購買者の懸念をさらに強めています。
  • セールスサイクルの長さ:Adobeの複雑な価格体系と、顧客が製品を評価する際のサポート体制が比較的限られていることから、今回の調査対象ベンダーの中で、平均のセールスサイクルが最長の部類となっています。Adobeは無料トライアルや成果連動型の契約条件を提供しておらず、プラットフォームを適切に評価するための概念実証(PoC)については、営業担当者が個別に判断して提供しており、有償サービスが必要となる場合があります。
Alterian

Alterianは、イノベーションと製品の差別化に注力しているため、本マジック・クアドラントでは「概念先行型」に位置付けられています。同社のReal-Time CX Platformは、企業データ主導のCJA/Oを提供します。一方、同社のJourney Insight機能を使用すると、大規模なサードパーティデータセットを通じて、ユーザーが自社のジャーニーと競合他社のジャーニーを比較することができます。同社は主に北米で事業を展開し、EMEAおよびアジア太平洋地域にもパートナーが存在します。顧客企業は主に、小売、金融サービス、通信、公益事業、ヘルスケア、旅行、サービスプロバイダー業界の中堅企業から大企業です。
同社のロードマップにおける重点分野は、サードパーティ製AIプラットフォームが関与する顧客ジャーニーについての深いインサイトの提供、自社プラットフォームにおけるAI支援の強化に加え、いくつかの機能やUIの細かい改善となっています。
強み
  • ソリューション重視の市場インサイト:Alterianは、マーケティング担当者や顧客エクスペリエンス(CX)戦略担当者といった役職に焦点を合わせ、顧客の課題やニーズを理解しています。同社はメッセージを最適化し、見込み客や顧客が抱える懸案事項に直結したソリューションの提示を行っています。
  • 導入障壁への対応:Alterianの比較的低コストなJourney Insight機能は、大規模なサードパーティデータセットを活用し、ブランドと競合他社のジャーニー分析を提供します。企業はこのデータを利用して、自社のジャーニーを設計・最適化できます。自社所有データへのアクセスや統合が短期的に難しい企業は、これによって代替の出発点を得ることができます。
  • イノベーションへの注力:Alterianは、売上に対する研究開発(R&D)支出額の比率が他のどのベンダーよりも著しく大きく、その結果、製品とサービスで数々の価値ある改善を実現するとともに、短期的なロードマップの実現可能性にも自信を持っています。
注意点
  • エンゲージメントの到達力:Alterianはターゲット市場を深く理解しているにもかかわらず、ターゲットとなる顧客や見込み客の間では、認知度は限定的 です。イベント、調査、キャンペーン、ケーススタディなどを通じたマーケティング活動や広報活動への投資は控えめです。
  • 地域におけるサポート:Alterianの顧客基盤および最近の成長実績は、北米に集中しています。同社は欧州およびアジア太平洋地域で一定のリソース、パートナー、データ所在地オプションを確保していますが、北米以外の地域の見込み客は、同社が自国内または近隣国から十分な機能とサービスを提供できるかどうかを検証する必要があります。
  • 直販体制が限定的:Alterianは、市場への直販ルートに関しては投資が限定的であり、パートナー経由での市場開拓を優先しています。これらのパートナー(コンサルティング会社やその他の専門サービス企業を含む)は、顧客ジャーニーに関するインサイトを解釈・活用し、ROIを最大化できるようクライアントを支援しますが、そのための費用が別途発生します。
CallMiner

CallMinerは、CJA/O機能が限定的で焦点が絞られているため、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられています。同社の主力製品は、会話分析およびCX自動化ソリューションです。 CJA/Oはこのソリューションの一部分として、AnalyzeおよびOutreachという2つの製品コンポーネントで提供されます。この機能は、既存顧客、または会話によるやり取りが多いサービス部門に最適です。同社は主に北米と欧州で事業を展開していますが、アジア・太平洋地域でも成長中です。顧客企業は主に、銀行、金融サービス、保険、ヘルスケア、専門サービス業界の大企業です。
同社は、エージェント型AIを、ジャーニー探索から自動分析およびAIアシスタントによるガイド付きアクションへと拡大する計画です。それ以外については、同社のCJA/Oに関するロードマップは不明確です。
CallMinerに補足情報を求めたものの、提供は得られませんでした。したがって、Gartnerの分析は他の信頼できる情報源に基づいています。
強み
  • アクセスが容易:CallMinerは、カスタマーサービス、サポート、CXの各部門に、エンタープライズ対応のサポートを提供します。CallMinerの既存顧客または新規顧客、特に同社のAnalyze製品の顧客は、他のソリューションよりもCJA/O機能へのアクセスが容易であることに気づくかもしれません。より広範な会話分析ソリューションの内部で、これらの機能を利用できるためです。
  • 規制への対応:CallMinerは、地域および業界固有の要件に対応するため、さまざまなデータ所在地オプションを提供しています。さらに、さまざまな国際規制について認証を取得済み(または準拠済み)です。
  • マーケティングの実行能力:CallMinerは、サービスおよびサポート業務の文脈でCJA/Oを紹介する記事やFAQのライブラリを通じて、ジャーニー分析の必要性を効果的に提唱しています。ジャーニー分析によって顧客行動についての理解が深まり、サービスCXの成果が上がる、その有効性を示しています 。
注意点
  • 製品/サービス:同社によるCJA/O機能への投資は近年、最小限にとどまっています。その結果、ジャーニーの可視化と分析、決定論的および確率論的な顧客IDマッチング、オーケストレーションなど、購買者にとって重要ないくつかの分野で機能が限定的となっています。
  • 市場での位置付け:CallMinerは、CJA/Oではなく、エージェントコーチング、不正検知、コンプライアンスといった会話分析およびCX自動化機能を中心に市場開拓と販売戦略を展開しています。CJA/O機能に関連するリソース、ドキュメント、マーケティング資料は限られているため、見込み客が市場の他のベンダーと比較して、同社の製品機能を十分に評価することが困難になっています。
  • マーケットリーチ:CallMinerのCJA/O機能は、より広範な同社製プラットフォームの一部分としてのみ提供されています。このように焦点が狭いため、同社のリーチは、カスタマーサービス/サポート部門にほぼ限定されています。CallMinerの既存顧客の中には、少なからぬ潜在顧客が存在するにもかかわらず、CJA/Oソリューションを求めるほとんどの購買担当者にとって、現実的な選択肢にはなっていません。
CSG

CSGは、その強力な市場開拓能力と市場対応力により、本マジック・クアドラントでは「リーダー」に位置付けられています。同社のCSG Xponentプラットフォームは、高度なオーケストレーション機能を必要とし、複雑なルールベースまたはAI駆動型のロジックに依存するマーケティングチームに最適です。同社は北米を中心に事業を展開しており、EMEAでも小規模ながらプレゼンスがあります。顧客は主に金融サービス、保険、ヘルスケア、公益事業、通信業界の大企業です。
同社の製品ロードマップにおける重点分野は、決定論的ジャーニーの内部におけるハイブリッドAIエージェントオーケストレーションの導入、顧客のデジタルツインによる高度なジャーニーシミュレーションへの対応、AI支援によるジャーニーの構成となっています。
強み
  • 市場ビジョン:CSGは、インテント(意図)認識のあるリアルタイムな介入や、統制されたAI生産性に対する市場ニーズの高まりを理解しており、同社が「統合されたジャーニーオペレーティングシステム」と呼ぶものが必要であるとしています。そのため、同社のロードマップでは、エージェント型の自然言語によるジャーニー作成や、顧客の意図に適応するインテリジェントなオムニチャネルルーティングへの投資に重点が置かれています。
  • 購買前から購買後までのサポート:CSGは、顧客がジャーニーの課題や願望を明確にし(購買前)、その後、ROIを達成する(購買後)プロセスを効率化しています。同社の標準化されたセールスおよびサクセス手法には、潜在的価値を特定・計算するためのテンプレートと、調達後の5つのジャーニーで価値を証明し、さらに規模を拡大するためのガイド付き実装サポートが含まれています。
  • バランスの取れた価格設定:CSGの価格設定とバンドル構成は、簡素性と柔軟性のバランスが良好です。定額の年間SaaSプラットフォーム利用料に加え、発信オーケストレーション(SMSやメールの送信1件あたりなど)に対する従量課金制の通信料により、予測しやすい価格設定を実現しています。また、予測可能性を多少犠牲にしても、投資対効果(ROI)への取り組みを強化したい顧客向けに、成果連動型の価格設定も提供しています。
注意点
  • 買収が進行中:CSGは現在、日本の大手IT企業であるNECグループによる買収の最中にあり、その影響で、CSG Xponentプラットフォームの長期的な継続性について、既存顧客や見込み客がやや不安視しています。現時点では、このソリューションの将来に関して公表されている計画はありません。しかし、Gartnerが承知しているように、CSGのプラットフォームと既存のNEC子会社であるNetcrackerとの間で一部の機能が重複しており、これは今後の統合を示唆している可能性があります。
  • 製品/サービス:このプラットフォームは、顧客セグメンテーション、優先順位付け、成果管理、顧客の声(VoC)の統合、B2Bおよびアカウントベースのジャーニー管理をサポートする機能が不足しているか、あるいは複雑なワークフロー構成に過度に依存しています。そのため、多くの一般的なCJA/Oユースケースへの適合性が限られています。
  • 地域的なプレゼンス:CSGの顧客基盤は北米に偏っており、欧州でのプレゼンスは極めて小規模で、その他の地域では皆無です。北米以外の見込み客は、自社のニーズに対し同社が十分なサポートを提供可能かどうかを慎重に検討する必要があります。
Engage Hub

Engage Hubは、事業規模が比較的小さく、マーケティングおよび販売パイプラインを拡大するためのリソースも限られているため、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられています。同社のプラットフォームは、カスタマーサービス/サポートまたはエンドツーエンドCXに最適です。同社は主に欧州で事業を展開しており、北米と中南米でも小規模ながらプレゼンスがあります。顧客企業の多くは、金融サービス、公益事業、通信、公共部門、小売業界の中堅企業から大企業で、トランザクション量の多い規制業種の企業です。
Engage Hubの製品ロードマップでは、顧客ジャーニー可視化機能の強化、AI主導のインサイトによるロジックベースのオーケストレーションへの対応、AIによるジャーニーと成果の監視および調整に重点が置かれています。
強み
  • AI機能:Engage Hubは、顧客向けの対話型AIチャネルを展開するためのネイティブな機能など、AI支援の強力なソリューション能力で注目されています。同社はエージェント型AIに多額の投資を行っており、オーケストレーション層を通じてエンドツーエンドの自動化を実行する、複雑なマルチエージェントワークフローの構築を可能にしています。
  • 規制業種への対応:Engage Hubは、政府機関など、さまざまな規制セクターでその適合性を実証しています。このプラットフォームには、コンプライアンス追跡用のRegSolvツール、PCI DSS準拠の決済オーケストレーション、高度なセキュリティ認証といった専門的な機能が備わっています。
  • ロードマップへのアプローチ:Engage Hubは、製品ロードマップの立案に2つの部分からなるアプローチを採用しています。50%は直接的な顧客フィードバック(顧客との対話、ジャーニー追跡、正式な市場調査により入手)に基づいて決定し、残りの50%は、より広範な市場トレンドを見据えた機能のために確保しています。
注意点
  • 市場での認知度:Engage Hubは、マーケティングとセールスへの投資が不十分なため、市場での認知度が限られています。CJA/Oに関する同社のソートリーダーシップやブログは情報が古くなっていることが多く、イベントでの存在感も限定的です。そのため、製品の機能について、見込み客が自社のニーズに適しているかどうかを見極めるのが難しいかもしれません。この課題への自覚が高まっていることをGartnerは承知しており、Engage Hubは来年にかけて市場開拓のための投資を増やす意向です。
  • セールス/オンボーディング期間の長さ:Engage Hubの平均的なセールスサイクルは、本調査の対象ベンダーの中で最も長い部類に属します。同社によると、過去1年間における顧客のオンボーディング期間の長期化は、AI機能が厳密に精査されるようになったのが原因とのことです。社内のセールスリソースが限られていることも、購入時の摩擦増加につながっている可能性があります。
  • 顧客基盤の規模:Engage Hubの売上は、少数の大口顧客に大きく依存しています。これは今のところ、顧客とベンダー間の非常に行き届いた関係につながっていると考えられますが、顧客基盤が拡大するにつれ、顧客の相対的な重要性や、献身的なサポートの質は低下する可能性があります。
inQuba

inQubaは事業規模が小さく、製品の成熟度にギャップがあるため、このマジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられています。同社の顧客ジャーニー管理製品は、カスタマーサービス/サポートのユースケースに最適です。同社は主にEMEAで事業を展開し、アジア太平洋地域でも小規模ながら成長を続けています。主な顧客企業は中堅企業から大企業で、業種は銀行、金融・保険、投資サービス業界に集中しています。
inQubaの製品ロードマップには、エージェント型AI機能の拡張、ジャーニーの収益性と生涯価値の改善、WhatsAppを介したオーケストレーションのサポート拡大、誤りのあるデータを処理する機能の強化、弾力的なスケーリングに対応するためのアーキテクチャの更新が挙げられています。
強み
  • 幅広いサポート:顧客基盤は小規模ながらも、inQubaのソリューションは、さまざまな企業規模と多様な業務に対応可能であることが実証されています。同社は、規制の厳しい業種へのサポート実績で特に注目されています。
  • 価格戦略:inQubaは、分かりやすい価格設定アプローチを採用することにより、購買プロセスを簡素化し、新規顧客へのセールスサイクルを平均より短縮させています。このプラットフォームは、年間定額料金のスタンドアロンソリューションとして販売されています。成果連動型またはリスクリワード型の料金も、代替案として利用可能です。導入サービスおよびプレミアムサポートサービスは、別料金のオプションとして提供されます。
  • セールスにおけるイノベーション:inQubaは、小規模な顧客企業がCJA/Oを低コスト・短期間で導入できるよう、特定のユースケース向けに最適化された価格/機能パッケージを提供しています。また、ビジネスケースを迅速に進め、CJA/Oのメリットを明確にすることでセールスサイクルを短縮する、Journey Acceleratorワークショップも実施しています。
注意点
  • 価値実現までの期間:inQubaは専門サービスへの依存度が高く、これは本調査の対象となった他のベンダーと比べて、オンボーディング期間が長期化する一因となっています。このプラットフォームは初期的にかなりの専門サービスと長い導入期間を必要とするので、顧客は調達に際して、inQubaのリスクリワード型または成果連動型の価格モデルを検討する必要があります。
  • 製品の成熟度:inQubaのロードマップおよび優先事項は市場全体の方向性と一致していますが、同社は、顧客の声(VoC)のジャーニー分析ビューへの統合強化、企業所有チャネルのオーケストレーション、ジャーニーガバナンスなど、より広範な製品機能を改善するための、他の基本的な要件を見落としています。
  • ペルソナ/役職別のリソース:本マジック・クアドラントの「リーダー」と比較すると、inQubaの場合、特定の役職やペルソナ(例:マーケティング、CX、カスタマーサービス部門のリーダー)のニーズに合わせたリソースが手薄です。見込み客は、役職別のKPIやユースケースへの対応能力を実証した、具体的な事例の提示を求める必要があります。
Joulica

Joulicaは、顧客基盤が小さく、分析機能にかなり重点を置いているため、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられています。同社のCustomer Journey Analyticsプラットフォームは、既存のインフラストラクチャ(例:AWS、Google、Salesforce、Zoomなど)の上に顧客ジャーニー分析を追加したいと考えている企業に最適です。同社は主に北米で事業を展開しており、より小規模ながら欧州にもプレゼンスがあります。同社の顧客企業は主に、銀行・金融・保険、建設・不動産、専門サービス業界の中堅企業です。
同社の製品ロードマップにおける重点分野は、データ統合のさらなる拡充、エージェント型AI分析機能の追加、オーケストレーション機能の強化、顧客ジャーニーKPIをベンチマークする機能の提供となっています。
強み
  • メガベンダーとの提携:Joulicaは強力なパートナー戦略を維持しており、AWS、Google、Salesforce、Zoomといったベンダーと協力関係にあります。同社はスタンドアロン機能としてのジャーニー分析に重点を置いています。そのため、より広範なオーケストレーションを処理する既存のプラットフォームやアーキテクチャに統合する、専用の顧客ジャーニー分析ソリューションを求める企業にとっては、必然的な選択肢となります。
  • マーケティングへの投資:Joulicaは市場での地位を強化するため、ターゲットを絞った見込み客および顧客へのアウトリーチに投資しつつあります。特定の役職やセグメント向けのメッセージ発信に力を入れていること、新たにCMOを任命したことが、この変化を裏付けています。
  • セールスおよび顧客定着戦略:Joulicaは、市場における事業実績はまだ比較的小さいものの、過去3年間で顧客基盤を2倍以上に拡大し、95%以上の顧客維持率を保っています。今後1年間でセールスリソースへの投資を3倍にするとともに、カスタマーサクセスおよび専門サービスへの支出を増やし、継続的な成長を支える計画です。
注意点
  • イノベーション戦略:Joulicaは、収益のかなりの割合を研究開発に費やしているにもかかわらず、イノベーションに対しては、より緩やかで受動的なアプローチを採っています。例えば、同社が独自のネイティブなオーケストレーション機能への投資を開始したのは、つい最近のことであり、競合他社よりも数年遅れています。
  • 市場ビジョン:Joulicaの投資計画からは、CJA/O市場に対する差別化されたビジョンの欠如が読み取れます。サードパーティの対話型ジャーニー(例:ChatGPTを介して行われるものなど)への移行といった破壊的なトレンドや、パートナーがCJA/O機能を開発し、サービスとしての顧客エクスペリエンス(CXaaS)を独自に提供するようになるという重大なリスクに対し、緩和策が提示されていません。
  • 既成の業種別サポート: Joulicaには、特定業種向けのプラットフォーム機能がなく、販売前および販売後のリソースも不足しています。その代わりに、顧客がそれぞれの業種に合わせてカスタマイズする必要のある、汎用的な機能を提供しています。見込み客は、Joulicaによる無料の概念実証(PoC)を利用し、このプラットフォームが業種固有のニーズに適応できるかどうか確認する必要があります。
Medallia

Medalliaは、市場ポジショニングが不明確であり、製品への投資が限定的であるため、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられています。同社はVoCプラットフォーム、Medallia Experience Cloud(MEC)、Medallia Experience Orchestration(MXO)アドオンの組み合わせにより、CJA/Oを提供しています。包括的なMECプラットフォームをすでに使用中の顧客や、VoCに関する取り組みをMECへ移行することを検討中の企業には最適です。同社はグローバルに事業を展開しており、顧客業種はほとんどの業界に広がっていますが、特に金融サービス、旅行、ホスピタリティ、エンターテインメント、小売業界に集中しています。
同社の製品ロードマップには、AIインサイトアシスタント、B2Bアカウントプロファイル、エージェント型メッセージング、オムニチャネルジャーニーにおける摩擦の自動スコアリングが挙げられています。
Medalliaに補足情報を求めたものの、提供は得られませんでした。したがって、Gartnerの分析は他の信頼できる情報源に基づいています。
強み
  • VoC統合:MedalliaはMECに重点を置いているため、統合型VoC機能に関する深い専門知識があります。これは製品にも及んでおり、部門横断的なCXチームがCJA/OにVoCインサイトを組み合わせ、顧客成果や顧客センチメントの要因を特定することが可能です。
  • 導入のしやすさ:先進的なCX企業の多くは、すでにMedalliaの顧客です。MXOをアドオンとして導入可能なので、システム統合の労力やベンダー管理の必要性が少なくなり、導入プロセスを大幅に簡易化できる可能性があります。
  • 業界へのフォーカス:Medalliaは幅広い業界特化型戦略を展開しており、金融サービス、ヘルスケア、小売、自動車、公共部門を含む12以上の業種向けに、それぞれ専用のカスタマイズされたソリューションを提供しています。同社は業界特化型リソースに多大な投資を行っており、専門的な市場調査、特定ターゲット向けのプレイブック、および政府機関向けにカスタマイズされたクラウド環境などのコンプライアンス対応ツールを提供しています。
注意点
  • 市場での位置付け:Medalliaは、ターゲット市場向けに比較的優れたCJA/O製品を提供していますが、その対外的なポジショニングは一貫していません。同社はしばしば、他社製ソリューションを補完するものとして自社のテクノロジーを位置付けています(例:Adobeの戦略的パートナーとしての位置付け)。そのため、MedalliaをスタンドアロンのCJA/Oプロバイダーとして評価する購買者にとっては、不確実性が生じます。
  • 販売戦略:MXOは最近まで、スタンドアロン型ソリューションとして提供されていました。しかし、後に同社はこの製品を既存顧客向けのアドオンとしてのみ提供することを決定しました。その結果、製品の潜在的なリーチが制限され、価格設定やバンドル販売オプションの柔軟性が低下しました。
  • 製品への投資:過去1年間、MedalliaによるMXOソリューションの機能強化と販売促進への投資は、最小限に留まっています。そのため、Medalliaの既存顧客層以外における製品の認知度が低下し、長期的な将来性や存続可能性について疑問が生じています。
Woopra

Appier傘下のWoopraは、機能的・地理的な焦点が変化したことに加え、プラットフォームの方向性が不明確なため、本マジック・クアドラントでは「特定市場指向型」に位置付けられています。単体でも、Appierの広範なマーケティングスイートの一部分としても利用可能な同社のプラットフォームは、マーケティングキャンペーンのジャーニーを最適化したい企業や、別のAppierソリューションをすでに活用している企業には最適です。最近の戦略転換により、同社は北米の中小企業からアジア太平洋地域の大企業へと焦点を移しています。
同社の製品ロードマップでは、ジャーニーにおけるインサイトの発見とアクションを強化するように設計されたエージェント型AI機能に重点が置かれています。また、確率論的IDマッチング機能も提供が予定されています。
強み
  • 新興のタッチポイントへの対応:Woopraは、会話型AIの意図を捉えるためのイベントモデルの拡張、安全なボット間インタラクションを実現する機械操作可能なAPIの構築、分散化に対応するための「プライバシー・バイ・デザイン」ガバナンスの組み込みを通じて、複雑な新しいタッチポイントを処理できるよう、プラットフォームを適応させています。
  • 市場対応力:Woopraには、顧客からのフィードバックを収集して改善するための強力なサイクルがあり、顧客がCJA/Oとそのプラットフォームで直面する課題について深く理解しています。こうした懸念を緩和するための計画があり、一部はすでに実施されています。
  • CX:Woopraは、従来の有料の専門サービスではなく、包括的なオンボーディング、無制限の作業セッション、専任のカスタマーサクセスエンジニアを、ProおよびEnterpriseパッケージに追加料金なしで付属させています。このサポートモデルは、特にWoopraのコア市場である小売業やeコマース市場の顧客向けに、あらかじめ用意された業界特化型のプレイブックによって指針を示すことで、価値実現までの期間を短縮します。
注意点
  • 長期的なロードマップ:Appierによる買収を機に、Woopraはスタンドアロン製品から、Appierのより広範なマーケティングスイートに組み込まれた「インテリジェンス層」へ、製品戦略を転換しています。その結果、Woopra単独の長期的なロードマップに不確実性が生じています。Woopraは引き続きスタンドアロン型ソリューションとして利用可能ですが、見込み客がオーケストレーションのニーズに対応する高度な機能を利用するには、Appierの他の製品を追加購入する必要があるかどうかを確認する必要があります。
  • 戦略の変化:Woopraによるターゲット顧客の転換は、戦略上の大きな変化を意味します。北米の既存顧客は、同社のリソースがアジア太平洋地域に移転する影響で、サポートが手薄になる可能性があります。また、アジア太平洋地域の潜在顧客は、実績のない市場をサポートする能力を同社が備えているかどうかを検証する必要があります。
  • 機能的な焦点:過去1年間で、Woopraの発信するメッセージはCJA/Oから離れ、エージェント型AIに焦点を絞る方向へ変化しています。従来は幅広い分野横断的なプレイブックに重点が置かれていましたが、現在は主要なユースケースとしてマーケティングを優先する方向で焦点を絞っています。そのため、今後の製品の方向性や、マーケティングAI以外のユースケースの実現可能性について、曖昧さが生じています。

追加および削除されたベンダー

マジック・クアドラントの採用基準については、市場の変化に応じて見直しと調整を行っています。これらの調整によって、マジック・クアドラントで評価されるベンダーは、時間の経過とともに変化する場合があります。ある年のマジック・クアドラントに含まれていたベンダーが翌年には含まれていなかったとしても、それは必ずしもGartnerがそのベンダーに対する意見を変更したということを意味しません。市場の変化やそれに伴う評価基準の変化を反映した可能性もあれば、そのベンダーが重視する対象が変化した可能性もあります。

除外されたベンダー

  • Genesys - 同社は、2021年にCJA/OプラットフォームであるPointillistを買収した後、GartnerのMarket Guide for Customer Journey Analytics and Orchestrationに掲載されました。Genesysは最近、Pointillistの提供を(2026年7月で)終了し、今後はGenesys Cloud Journey Management機能にリソースとイノベーションを集約することを発表しました。2026年1月15日現在、Genesysのデータキャプチャ機能はソースシステム非依存ではなく、サードパーティのデータを取り込む機能も欠けているため、今年の選定基準を満たしていません。Genesysは、2026年3月よりこの機能をサポートする予定です。
  • Qualtrics - 同社は、2021年に顧客ジャーニー分析およびオーケストレーションプラットフォームであるUsermindを買収した後、GartnerのMarket Guide for Customer Journey Analytics and Orchestrationに掲載されました。同社がWebサイト上でCJA/Oを機能として一般向けに宣伝しなくなったことに加え、調査の結果、これらの機能が同社のExperience Management(XM)プラットフォームで利用不可能になっていることが判明したため、Gartnerの市場調査対象から除外しました。

採用および除外基準


CJA/O機能は、さまざまなユースケース向けの広範囲のテクノロジーで、多様な形式で提供されています。本マジック・クアドラントに掲載したベンダーは、この市場のすべてのベンダーを網羅しているわけではありません。顧客ジャーニー分析およびオーケストレーションのマジック・クアドラントに掲載されるために、各ベンダーが満たさなければならなかった基準は、以下の通りです。
  • ベンダーのWebサイトで、顧客ジャーニー分析およびオーケストレーションが、製品または機能として一般向けに宣伝されていること。
  • CJA/Oプラットフォームに関するGartnerの市場定義を満たす製品であること。具体的には、以下の5つの機能をすべて直接的に(すなわち、他のベンダー製品を介さずに)サポートするプラットフォームでなければなりません。
    • データキャプチャ — さまざまな社内システムや複数のエンゲージメントチャネル(Webサイト、チャットボット、小売店、ライブチャット、電話など)から、データの取り込みが可能であること。データの取り込み機能は、ソースシステム非依存でなければなりません(例えば、データがデジタルチャネルのみに限定されていてはなりません)。ただし、特定のソリューション専用のコネクタを追加で提供しているベンダーもあります。
    • ジャーニーの可視化 — 取り込まれるすべてのチャネルとタッチポイントで展開される顧客ジャーニーを、マクロレベル(すなわち顧客グループ単位)および個々の顧客レベルの両方で可視化することが可能でなければなりません。これらの可視化は、ユーザーによる入力が必要な場合もあれば、動的に生成される場合もあります。
    • 確定論的な顧客IDマッチング — 個々のユーザーのマルチチャネルジャーニーを追跡するために、特定の既知の識別子(ユーザーID、電話番号など)に基づいて顧客レコードを紐付けることが可能でなければなりません。ソリューションによっては、社内の他のサービスに接続して、IDデータにアクセスする場合もあります。
    • ジャーニーの優先順位付けと成果管理 — ジャーニーが企業と顧客に与える影響や潜在的な改善点について、企業が評価することが可能でなければなりません。
    • ジャーニーオーケストレーション — 企業がほぼリアルタイムで顧客のジャーニーに介入することが可能でなければなりません。ジャーニーオーケストレーションは、ルールベースで行う場合もあれば、予測分析や機械学習を活用し、顧客や企業にとって成果を最適化するにはジャーニー内のどのポイントで介入すればよいかを特定する場合もあります。この中には、顧客向けアクション(コミュニケーションの生成など)や内部アクション(アラートの生成など)の自動化が含まれます。
  • 評価対象のCJA/O製品バージョンは、2026年1月15日の時点で一般提供されている必要があります。
  • CJA/O製品は、B2BおよびB2C(またはB2B2C)の両方の企業ユースケースで、本番環境で使用されている必要があります。
  • プロバイダーは、以下の地域のうち2つ以上の地域でプレゼンスを有している必要があります。北米、中南米、EMEA、アジア太平洋。

評価基準


実行能力

製品/サービス:関連調査Critical Capabilitiesで定義されている各クリティカルケイパビリティについて、ベンダーのパフォーマンスを具体的に評価しました。さらに、次の4つの機能別ユースケースへの適合性について、ベンダー独自の見解も評価しました。B2Bセールスおよびアカウント管理、カスタマーサービス/サポート、エンドツーエンドのCX管理、マーケティングキャンペーン管理。また、製品の弱点に対処する計画についても検討しました。
企業としての全体的な存続性:ベンダーの顧客ポートフォリオの規模および注力分野、市場における顧客の増加および維持、リソースの拡大および活用状況を具体的に評価しました。また、ベンダーのCJA/Oソリューションと、自社/親会社(該当する場合)のより広範なポートフォリオとの戦略的な整合性についても評価しました。さらに、進行中の合併や買収が与える影響、および存続可能性を左右するその他の要因についても評価しました。
販売実行能力/価格設定:直接・間接販売による収益と顧客数の増加、価格設定の明確性・柔軟性・妥当性、費用対効果とイノベーション、一般的な契約条件について具体的に評価しました。また、複数の機能的ユースケースを対象とする、部門横断的なセールスの獲得におけるベンダーの実績も評価しました。
市場対応力/実績:顧客ニーズを把握してこれに対応するメカニズムと、顧客ニーズおよび市場動向に耳を傾け、適応し、それに沿って行動しているエビデンスについて、具体的に評価しました。さらに、最近の製品リリース/アップデートの品質に加え、CXに悪影響を及ぼした最近の問題と、それに対するベンダーの対応についても評価しました。また、製品ロードマップが顧客にどのように伝達されているか、アップデートが顧客にどのように採用されているかについても評価しました。
マーケティングの実行能力:ブランド認知度、ブランドイメージ、ブランド力を示すエビデンス、ならびにイベント、ブログ、ホワイトペーパー、ケーススタディ、ウェビナー、その他のメディアを通じたマーケティングにおけるベンダーの存在感やソートリーダーシップを示すエビデンスについて具体的に評価しました。 さらに、最近のマーケティングメッセージやキャンペーンについても評価しました。
顧客エクスペリエンス:プロバイダーの能力およびデリバリーに対する全体的な満足度、成熟したCXビジネス能力の有無、顧客オンボーディングのスピードと障壁、カスタマーサクセスおよび専門サービスの利用可能性、採用状況、成果について具体的に評価しました。
運営:全体的なリソース配分およびAIエージェントの活用状況、規制や認証フレームワークへの準拠および参加状況、地理的な展開とサポート、データ所在地の要件への対応について、具体的に評価しました。

表1:実行能力の評価基準

評価基準 重要度
製品/サービス
企業としての全体的な存続性
販売実行能力/価格設定
市場対応力/実績
マーケティングの実行能力
顧客エクスペリエンス
運用
出典:Gartner(2026年3月)

ビジョンの完全性

市場の理解:ベンダーが現在の顧客の要求にどのように耳を傾け、そうしたニーズが今後どのように進化するかを理解した上で、それに応じてロードマップを調整しているか、また、現在の競合他社や隣接するソフトウェア市場との重複をどのように認識しているかについて、具体的に評価しました。差別化(製品、ビジネス慣行、顧客エクスペリエンス)についても評価しました。
マーケティング戦略:CJA/O市場におけるブランド認知度に対するベンダーの認識、理想的な顧客プロフィール(ICP)の明確な定義、現在の理想的な顧客プロフィールと新規顧客のターゲットセグメントのニーズを満たすためのポジショニングについて、具体的に評価しました。
販売戦略:ベンダーが価値ベースの販売戦略を有しているか、ターゲット顧客のプロフィール/ペルソナ/所属部門ごとに販売戦略をどのように柔軟に調整しているか、部門横断的なCJA/Oの導入(例:マーケティング部門とカスタマーサービス部門の組み合わせ)を売り込む能力の有無について、具体的に評価しました。また、製品とサービスのバンドルおよび価格設定が、顧客のニーズを満たすよう明確に定義・設計されているか、さらに総所有コスト(TCO)が容易に予測可能であるかについても評価しました。POC、無料トライアル、成果連動型の価格設定、およびビジネスケース策定や価値定義の支援の提供状況に加え、来年に予測される販売戦略や価格・ライセンスモデルの変更についても検討しました。
サービス(製品)戦略:顧客の期待に応える役割ベースおよびユースケース主導の研究開発に対する投資、およびベンダーの顧客基盤の大半にとって価値の高い機能の提供に重点を置いた、明確かつ将来を見据えた来年のロードマップについて、具体的に評価しました。アーキテクチャ、プラットフォームの拡張性、UI/UXへの投資についても評価しました。
ビジネスモデル:この基準については、本マジック・クアドラントでは評価していません。すべてのベンダーがSaaSベースの製品を提供しています。
業種/業界戦略:特定の業種/業界に対応するプラットフォーム機能、業種/業界特有のトレンドに関するベンダーの理解とそれに応じて顧客を支援するための計画、業界の要件やユースケースに対応するセールスおよびマーケティング、特定の業界におけるベンダーの強みについて、具体的に評価しました。
イノベーション:R&D投資の実態、市場の長期的な将来像に対するベンダーの見通しと、予測されるトレンドの影響を緩和するための計画、製品のイノベーション(特に新しいテクノロジーの導入)について、具体的に評価しました。さらに、新形式のトレーニング、教育、イベント、ライセンス付与、組織変更における顧客エクスペリエンスや業務の革新についても評価しました。
地理的戦略:SaaSソリューションは国際的に活用される可能性が高いことを踏まえ、本マジック・クアドラントでは、この基準については評価していません。ベンダーの顧客基盤の地理的な分布と、これらの顧客へのサポートについては、他の基準で別途、評価しました。

表2:ビジョンの完全性の評価基準

評価基準 重要度
市場の理解
マーケティング戦略
販売戦略
サービス(製品)戦略
ビジネスモデル
評価なし
業種/業界戦略
イノベーション
地理的戦略
評価なし
出典:Gartner(2026年3月)

クアドラントの説明

リーダー

リーダーは、エンタープライズグレードのCJA/O機能を通じて、複数の機能的ユースケースで強力な実行力を発揮し、有意義なビジネス成果を実現しています。一貫したロードマップの進展を見せており、明確な市場ビジョンを有し、大規模な部門横断的展開を支えるための運営面での成熟性、CX、そして市場での存在感を備えています。 リーダーは、他のプロバイダーが自らを評価する際の基準として用いることが多いベンダーです。

チャレンジャー

チャレンジャーは、特定市場指向型よりも焦点を絞ったCJA/O戦略と、より包括的なプラットフォームを備えています。世界で戦えるだけの規模と製品力を備えているにもかかわらず、説得力のあるビジョンを提示できていない場合があります。チャレンジャーは、多様な機能別ユースケースと、さまざまな企業規模で優れた実行力を発揮しています。今年のマジック・クアドラントでは、チャレンジャーは存在しません。

概念先行型

概念先行型は、革新的で市場を変革する可能性のあるソリューションを提供していますが、地理的、企業規模、または製品固有の制約により、あらゆる企業のニーズを満たすのに苦戦しています。市場の方向性に影響を与える強い潜在能力がありますが、実行能力や過去の実績は限定的です。

特定市場指向型

特定市場指向型は、ソリューションの費用対効果を考慮すると、特定の規模または業種の企業のニーズに最適なソリューションを提供できる場合があります。しかし、特定の機能が欠けていたり、少数の機能・業種・地域にサポートが限定されていたり、あるいは顧客基盤を拡大するために必要な投資が不足していたりする場合があります。

コンテキスト


本マジック・クアドラントは、CJA/Oプラットフォームの導入に関する意思決定プロセスを支援することを目的としており、貴社のビジネス上の課題や技術的な懸念事項に沿った、市場およびベンダーの能力について詳しい情報を提供しています。候補リストは、求める要件の複雑さと規模によって決定する必要があります。本マジック・クアドラントは、CJA/Oベンダーの候補リストを作成するための唯一のツールとなるよう意図されたものではありません。デューデリジェンスの一環として、Gartnerのアナリストとの協議や、顧客ジャーニー管理に関するその他の調査(関連するCritical Capabilities for Customer Journey Analytics & Orchestrationなど)と併せて、本マジック・クアドラントをご活用ください。
Gartnerのクライアントは、CJA/Oの「リーダー」ベンダーが必ずしも自社にとって最適なベンダーであるとは限らないことを念頭に置く必要があります。ベンダーによって製品/サービス、イノベーション、市場開拓戦略が異なります。したがって、本マジック・クアドラントに掲載されているどのプロバイダーも、その位置付けにかかわらず、クライアントにとって最適な選択肢となる可能性があります。クライアントは、こうした多様性によって自社のビジネスニーズがどのように満たされるかを検討する必要があります。Gartnerのクライアントは、CJA/Oプラットフォームベンダーを選定する際、綿密なRFPプロセスに従う必要があります。RFPプロセスは、購入することで得られる価値について購買チームの認識を統一し、選定したベンダーに対する合意を形成し、導入に向けた支援を確保する上で役立ちます。
Gartnerは、CJA/Oプラットフォームを調達・導入する際、以下の要素に注目することを推奨します。
  • 機能面および部門横断的な適合性:CJA/Oソリューションから得られる価値を最大化するには、単一の機能への適合性のみに焦点を合わせるのではなく、部門横断的なさまざまなユースケースに対応できるソリューションを探す必要があります。各部門のニーズを収集し、期待される価値と成果を評価して、ビジネス目標および期待事項との整合性を確保する必要があります。機能面およびユースケースのニーズが確実に評価されるよう、各部門の代表者がベンダー評価および意思決定プロセスに関与する必要があります。GartnerのBuySmart™ツールを活用すると、チームとして要件をまとめ、ベンダーの適合性を評価するのに役立ちます(注1を参照)。
  • AIガバナンス:CJA/OツールにAI(エージェント型AIを含む)がますます組み込まれるようになっていることから、こうしたソリューションが自社のデータ、AIガバナンス、運用モデルに関するニーズにどのように適合するか、または、自社の要件を満たすようにAIを構成できるかどうかを評価する必要があります。
  • リファレンス顧客:候補となるベンダーの顧客基盤を詳しく調べ、実際にどのような製品やサービスが提供され、どのような成果が得られているのかを常に精査する必要があります。導入規模(ユーザー数)だけでなく、そこから得られるフィードバック、分析結果、それに基づいて実行されているアクションについても考慮に入れる必要があります。顧客維持率や契約期間のほか、顧客エクスペリエンスを向上させるための取り組みについて質問する必要があります。
  • 選定基準:機能面での検討事項だけでなく、ベンダーのデータアーキテクチャ、管理レイヤー、UX、関連する分析機能、専門サービス組織(技術面とビジネス面の両方)について綿密に精査する必要があります。データプライバシー規制の遵守がますます重視される状況から、データの保存方法や、どのチームメンバーがアクセス権を持ち、どのように使用されるのかについても理解しておく必要があります。
  • 専門サービス:ROIを最大化するために、CJA/Oソリューションのオンボーディング期間中および長期の利用中に、どの程度の専門サービスが必要になるかを検討し、その費用をTCO計算に組み込む必要があります。
  • ロードマップとイノベーション:ベンダーに対し、ロードマップの提示を求める必要があります。このロードマップには、広範な市場トレンド(下記参照)への対応策、今後の製品リリース、顧客エクスペリエンスの向上への投資(例:カスタマーサクセス、価格設定とバンドル、トレーニング資料など)が含まれるものとします。ベンダーの方向性が貴社のビジネスニーズと合致していることを確認します。単に当面のニーズを満たすだけでなく、貴社の3年計画を達成するための成長も可能にするものであることを確認する必要があります。
マジック・クアドラントは特定の期間を対象としたスナップショットです。Gartnerは、公平かつ完全な分析を行うため、すべてのベンダーについて、特定の時点でデータ収集を終了しています。本マジック・クアドラントの評価対象となるには、2026年1月中旬の時点で製品/サービスの機能が本番環境で稼働し、一般提供されている必要がありました。

市場概要


顧客ジャーニー分析およびオーケストレーションの市場は成熟しつつありますが、依然として流動的です。本マジック・クアドラントでは、「リーダー」と「概念先行型」および「特定市場指向型」との間に大きな隔たりがあるように見えるかもしれませんが、これは主に「リーダー」の運用成熟度が高く、市場におけるプレゼンスが大きいことに起因します。異なるクアドラントのベンダー間における製品機能の差は、はるかに小さい可能性があります。

進化するベンダー環境

より広範なスイート製品を提供するプロバイダーが、ソリューションスタックへのCJA/O機能の組み込みや強化を行っていても、活力あるスタンドアロン型のベンダーの一群が、引き続き競争力を維持しています。
しかし、以前は市場の統合が進み、より広範なスイート型ソリューションの一機能としてCJA/Oが組み込まれる可能性が高いと見られていましたが、現在、その見通しは以前ほど確実ではなくなっています。この1年でCJA/O市場から撤退したスイート型ベンダーもあれば、CJA/O機能の重要度を下げて再パッケージ化したベンダーもあります。また、より広範なCXaaSビジョンの一環として統合を加速させているベンダーも存在します。
今年起こりつつあるもう一つの変化は、ベンダー各社の製品・サービスにおける機能的な方向性の乖離が拡大していることです。今年のマジック・クアドラントで正式に採り上げられたベンダー各社はいずれも、Gartnerが提示した4つの機能的ユースケース(B2Bセールスおよびアカウント管理、カスタマーサービス、エンドツーエンドのCX管理、マーケティングキャンペーン管理)をすべてサポート可能であると主張しました。しかし実際には、各ベンダーの顧客基盤やロードマップからは、企業全体というよりも、むしろ1つか2つの部門における、より深い強みが見て取れます。
この相違は、CJA/Oの価値を最大限に引き出すために不可欠であるとGartnerが考える、部門横断的な展開への適合性に、大きな違いを生み出します。今年のクリティカルケイパビリティ調査で明らかなように、企業はこれらのツールが、エンドツーエンドでのジャーニーの共有という優先事項に対応することを、ますます期待するようになっています。こうした期待に応えるには、単なる部門特化型の深みだけではなく、信頼性の高い部門横断的な能力を実証できるベンダーの方が、有利な立場にあります。

隣接テクノロジーをめぐる購買者の混乱

ジャーニー管理および分析に関連する用語の使い方に、多くのベンダーで混同が見られます(Distinguishing Customer Journey Management, Mapping, Analytics and Orchestrationを参照)。この混乱は、RFPの対象範囲の誤り、ステークホルダー間での期待水準の食い違い、買い手のニーズとベンダーの強みのミスマッチ、導入を開始した後に十分な価値が実現されないといった、後々の課題につながります。Gartnerは、以下の資料を確認することをクライアントに強く推奨します。
  • The CJA/Oに関する本マジック・クアドラントの「市場定義」
  • Critical Capabilities for Customer Journey Analytics & Orchestration
  • Innovation Insight: Customer Journey Analytics & Orchestration
また、CJA/Oソリューションが本当に必要なのか、それとも隣接テクノロジーとこれらのツールを混同しているだけなのか、クライアントの間で混乱が生じている様子がしばしば見受けられます。具体的には、以下の分野で重複がよく見られます。
顧客ジャーニーマッピング技術
Cemantica、JourneyTrack、Smaply、TheyDoといったベンダーは、顧客ジャーニーを(ステークホルダーのインプットと、VoC調査/トランスクリプト/フォーカスグループインタビューに関するAI駆動の分析により)マッピングし、現在の状態を可視化し、さまざまなタッチポイントに広がる今後のジャーニーを設計するための専用のツールを提供しています。しかし、これらのツールは、CJA/Oツールのように、チャネルイベントデータを取り込み、共通の顧客IDに基づいてつなぎ合わせたり、リアルタイムのオーケストレーション機能を提供したりすることはありません(Innovation Insight: Customer Journey Mapping Technologyを参照)。
念のため補足すると、現時点でCJA/Oツールは、ジャーニーマッピング機能をサポートしていません。これらの機能の追加(または、これらの機能を提供するツールへの専用の統合)は、CJA/Oツールの価値を大幅に高め、導入の障壁を低くすると、Gartnerは考えています。
デジタル、Web、プロダクト分析ツール
Amplitude、Contentsquare、Pendo、Quantum Metricといったベンダーは、デジタルプロダクトの挙動を分析しますが、エンドツーエンドのジャーニーを定義するデジタル、物理的、アナログのあらゆる顧客インタラクションを取り込むようには設計されていません。この市場では、これが必須の機能です。この区別は極めて重要です。顧客ジャーニーはデジタルプロダクト内だけで完結するものではないため、エンドツーエンドのジャーニー分析をこれらのツールのみに頼ってしまうと、真のCJA/Oベンダーと比較すれば、部分的な視点しか得られません(Market Guide for Product Analyticsを参照)。
マルチチャネルマーケティングハブ(MMH)
Adobe、Braze、Insider、Salesforce、SAPといったベンダーは、アウトバウンドエンゲージメント、コンテンツ生成、キャンペーン自動化を通じて、企業所有チャネルと有料チャネルで展開されるパーソナライズされたマーケティングキャンペーンのオーケストレーションと配信をサポートしています。MMHは、ジャーニー対応の機能やリアルタイムの意思決定を多く取り入れるようになっていますが、その主な目的は、デジタルマーケティング主導のコミュニケーションを実行することであり、エンドツーエンドの顧客ジャーニーを分析または最適化することではありません。
MMHをCJA/Oの代替手段として扱う企業は、ジャーニーへの理解をマーケティング領域に限定してしまい、顧客エクスペリエンスやビジネス成果に重大な影響を与える、上流・下流のオペレーション要因を見落とすリスクがあります。(Magic Quadrant for Multichannel Marketing Hubsを参照)。

需要パターン

CJA/Oに対する需要は、業種や部門を問わず高まり続けていますが、その需要の性質は多様化しています。購買担当者は、自社と同じような規模の企業が、どのようにCJA/Oにアプローチしているかを検討する必要があります。
  • 大企業は、マーケティング、サービス、セールス、エンタープライズCXの垣根を超えてインサイトと顧客エンゲージメントを結び付け、部門横断的な価値を実証することを、CJA/Oに対してますます期待するようになっています。これは、上級マーケティングリーダー、カスタマーサービス/サポートのリーダー、そしてエンタープライズCXチームのすべてが、ジャーニー分析を活発に利用している(あるいは利用を拡大している)トレンドを反映しています。大企業は、ガバナンス、説明可能性、そしてAI対応の分析やオーケストレーションを、自社のデータ、ポリシー、運用モデルに合わせて調整できる能力も重視するようになっています。
  • 中堅企業では、まず1つの部門をサポートすることから始め、最も重要なチャネルとジャーニーに範囲を限定してCJA/Oを導入するのが一般的です。コストを削減し、価値実現までの期間を短縮するために、モジュール式のパッケージングと、(提供されている場合は)既存のスイートとの連携を活用しています。ただし、トレードオフがあります。特定の部門向けの機能に強みがあるベンダーは、こうした導入にうまく対応できるかもしれませんが、後の段階における部門横断型の拡張をサポートできる立場ではない可能性があります。
  • どちらのセグメントでも、引き続きROIが精査されています。多くの企業は、プログラムの規模を拡大する過程で、ジャーニーの改善とビジネス成果の明確な結び付き、商業モデルにおける高い柔軟性、そして専門サービスへの依存度の低下を求めます。こうした要因は、より選抜の厳しいベンダー評価につながります。

最近の変化

AIの拡大
AIは過去1年間、ジャーニー分析とオーケストレーションの両方で、ベンダー各社のロードマップを推進する原動力となっています。ジャーニー分析用の組み込み型アシスタントや、自動生成されるインサイトナラティブは、今や一般的となっており、オーケストレーションへのエージェント型AIの組み込みも、多くのベンダーの短期ロードマップに含まれています(CSGやEngage Hubは、すでに提供済みです)。その他に、企業所有チャネルのオーケストレーション機能が継続的に拡大している点、そして「リアルタイム」のジャーニー分析およびオーケストレーション機能に関するベンダーのメッセージ発信が一段と強化されている点にも、Gartnerは注目しています。
所有コストの転換と価値実現までの期間の重要性
CJA/Oを利用しやすくし、ROIに関する懸念に対処するため、一部のベンダーは価格モデルを従量課金制からモジュール型ライセンス制や価値ベース制に変更したり、より広範なソフトウェアスイートにCJA/Oを組み込んだりするよう調整を行っています。しかし、AIへの新たな投資が、この価格安定性を脅かすことになります。ベンダーがコストを回収し収益を拡大するために、消費量ベースの追加的なモデルを導入する可能性があるからです。
このような価格設定の上昇は、ベンダーに対し、価値実現までの期間を短縮するよう求める圧力を高めます。ベンダーは従来、専門サービスに依存して、プラットフォームの構成、ジャーニーの分析、オーケストレーションワークフローの構築でユーザーを支援しており、この種のサービスを付加価値として販売しています。しかし、こうしたサービスはTCOも大幅に増加させます。今後、このようなサポートへの需要は増える可能性が高いものの、上昇するTCOを相殺するために、サポートへの依存度を低くしたり、価値実現までの期間を短縮することに注力しているベンダーはほとんどありません。

今後の方向性

今後数年間、互いに関連性のある次の2つの変化によって、CJA/O市場は最も大きく変容することになるでしょう。
  • 会話ファーストのジャーニーの台頭 ― 顧客がチャット、メッセージング、ボイスボット、マルチモーダルアシスタント、生成AI(GenAI)インターフェースを通じてやり取りすることが増えるにつれ、単なるクリックストリームのシーケンスではなく、意図およびインタラクションレベルのシグナルを通じてジャーニーを解釈する分析およびオーケストレーション機能が必要になると予測されます。
  • サードパーティチャネルへのジャーニーの移行 ― エージェント型コマース、生成エンジン最適化(GEO)検索結果、サードパーティの生成AIツール、データ取得が困難なソーシャル環境やマルチメディア環境など、企業が自社のデジタル境界外で展開されるジャーニーを監視し、その一部を形作るための手段がますます必要になると予測されます。
複数のベンダーが、会話のコンテキストをジャーニーの可視化ロジックやオーケストレーションロジックに統合し、AIによって生成された要約を利用して会話フロー内の意図や感情を明らかにすることで、対応を始めています。しかし、ほとんどのベンダーは依然として企業所有チャネルに重点を置いており、サードパーティのジャーニーモーメントを分析したり、影響を与えたりする能力は限られています。
顧客ジャーニーにおける会話型チャネルや外部エコシステムの急速な普及という状況の中で、CJA/Oプロバイダー各社は、顧客ジャーニーを理解・改善するためのインテリジェンスシステムであり続けるために、迅速な適応を迫られています。もし十分な速さで適応できなければ、その役割は、より速いスピードで進化する隣接市場へ移っていくでしょう。
本資料は、顧客ジャーニーアナリティクスおよびオーケストレーションに関するマジック・クアドラントの初版です。これは、Market Guide for Customer Journey Analytics & Orchestrationに代わるものです。

略語と用語


AI
人工知能
CJA/O
顧客ジャーニーの分析およびオーケストレーション
CX
顧客エクスペリエンス
CXaaS
サービスとしての顧客エクスペリエンス
GenAI
生成AI
TCO
総所有コスト
VoC
顧客の声

注1:Gartner BuySmart™


Gartner BuySmart™ツールは、お客様のニーズに最適なプロバイダーの選定に役立つ各種要件・スコアカードが含まれたテンプレートを使用して、お客様が行うテクノロジー評価を効果的に導きます。BuySmartは接続型ワークフローの使用により、お客様が徹底した評価を実施し、自信を持って投資することを可能にします。Customer Journey Analytics & Orchestration用に設計されたBuySmartテンプレートをご覧ください。

評価基準の定義


実行能力

製品/サービス:ベンダーが特定の市場に向けて提供する主要な製品およびサービス。ネイティブで提供されるか、OEM契約およびパートナーシップによって提供されるかにかかわらず、前述の市場定義で定義し、小項目で説明したように、現在の製品およびサービスの能力、品質、機能群、スキル等が含まれます。
企業としての全体的な存続性:存続性には、総合的な企業の財務状況、事業部門の財務上および実務上の成功、そして、個々の事業部門が製品に対して継続的に投資していく可能性、継続的に製品を提供していく可能性、ならびに、組織の製品ポートフォリオを最先端のものに改善していく可能性に対する評価が含まれます。
販売実行能力/価格設定:プリセールスの全活動におけるベンダーの能力およびそれらの活動をサポートする体制。これには、取引管理、価格設定および交渉、プリセールスのサポート、ならびに販売チャネルの全体的な有効性が含まれます。
市場対応力/実績:ビジネス機会の出現、競合他社の動き、顧客のニーズ変化、および市場ダイナミクスの変化に対して反応し、方向性を変え、柔軟に対応し、優位な成果を獲得する能力。この基準では、ベンダーの過去の対応実績についても考慮します。
マーケティングの実行能力:企業メッセージを伝えるために立案されたプログラムの明瞭さ、質の高さ、創造性および有効性。これらは、市場に影響を与え、ブランドや事業を推進し、製品の認知度を向上させるとともに、製品/ブランドおよび企業に対するポジティブな印象を購入者に植え付けることを目的としています。この「マインドシェア」は、宣伝、販売促進活動、ソートリーダーシップ、口コミ、および販売活動が一体となって促進されます。
顧客エクスペリエンス:評価対象の製品に対する満足をもたらすための顧客との信頼関係、製品、サービスおよびプログラム。具体的には、これには顧客が受ける技術サポートやアカウントサポートの体制が含まれます。また、補助的なツール、カスタマーサポートプログラム(およびその品質)、ユーザーグループの有無、サービス品質保証なども含まれます。
運用:目標やコミットメントの達成に向けた企業の能力。この要素としては、組織構造の質が挙げられます。これには企業が効果的かつ効率的に事業運営を継続するために必要なスキル、経験、プログラム、システムおよびその他の手段が含まれます。

ビジョンの完全性

市場の理解:購入者の要望やニーズを理解し、その理解を製品やサービスに反映させるベンダーの能力。最高水準のビジョンを示すベンダーは、購入者の要望やニーズに耳を傾けて理解し、自分たちの新たなビジョンを加えて、その要望やニーズを形にしたり強化したりできます。
マーケティング戦略:明確かつ差別化された企業メッセージを組織全体で一貫して共有し、またWebサイト、広告、顧客プログラムおよびポジショニングステートメントを介して外部に向けて発信すること。
販売戦略:市場へのリーチの範囲と深さ、スキル、専門性、技術、サービスおよび顧客基盤をより幅広く、強固にするため、直接販売および間接販売、マーケティング、サービスおよびコミュニケーションアフィリエイトなどのネットワークを効果的に利用する製品販売戦略。
サービス(製品)戦略:現在と将来の課題を明確にすると同時に、他社との違い、機能性、方法論および機能群に重点を置いた、ベンダーによる製品開発および製品販売のアプローチ。
ビジネスモデル:ベンダーの基本的なビジネス提案における健全性および論理性。
業種/業界戦略:垂直市場など、個別の市場区分が抱える特定のニーズを満たすことを目的として、資源、スキルおよびサービスを割り当てるベンダーの戦略。
イノベーション:投資、統合、守備的もしくは先制的な行動を目的とした、リソース、専門性または技能もしくは資本の直接的、間接的、補完的、および相乗的な配置。
地理的戦略:「本拠地」である自国・地域以外の場所に特有のニーズを満たすことを目的として、直接的に、またはパートナー、チャネル、関連会社を通し、その地域および市場に合わせた方法で、資源、スキルおよびサービスを割り当てるベンダーの戦略。

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