市場定義/説明
本書は2023年8月25日に再版されました。現在ご覧になっている文書は、修正後のものです。詳細については、gartner.comの 修正 ページをご覧ください。
デジタル・コマース市場に関するGartnerの見解は、企業が顧客に優れた購買エクスペリエンスを提供することのできる、変革的なテクノロジーを焦点としています。
Gartnerが定義するデジタル・コマース・プラットフォームとは、一般にセルフサービス式のインタラクティブなエクスペリエンスを通じて、顧客が商品やサービスを購入することを可能にするコア・テクノロジーです。このプラットフォームは、顧客の購入判断に必要な情報を提供するとともに、ルールおよびデータを使用して完全に価格設定された注文を決済用に提示します。
本マジック・クアドラントで評価対象となるためには、各ベンダーのプラットフォームは、ストアフロント、製品カタログのナビゲーション、製品ページ、ショッピング・カート、チェックアウト、顧客アカウントを含む、セルフサービス式のインタラクティブなコマース・エクスペリエンスを提供するアウト・オブ・ザ・ボックス(OOTB)の機能、またはこれに対応するAPIを備えている必要があります。このプラットフォームには、製品の検索、カートへの製品の追加、製品/顧客/注文レベルでの値引きまたはプロモーションを反映した完全な価格設定を行う機能も、アウト・オブ・ザ・ボックスで備わっている必要があります。一部のB2Bシナリオには、販売スタッフからの支援も含まれる場合があります。さらに、このプラットフォームは、顧客、製品、コンテンツ、注文機能、およびAPI経由のデータとの相互運用性をサポートする必要があります。
本マジック・クアドラントに掲載されたベンダーのいくつかは、よりモジュラー式の、APIファーストなソリューションのプロバイダーに進化しています。モジュラー・コマースの説明と定義、コンポーザブル・コマースおよびAPIベースのデジタル・コマースについては、「デジタル・コマースのハイプ・サイクル(2023年)」を参照してください。
マジック・クアドラント
図1:デジタル・コマースのマジック・クアドラント
出典:Gartner(2023年8月)
ベンダーの追加と除外
マジック・クアドラントの採用基準については、市場の変化に応じて見直しと調整を行っています。これらの調整によって、マジック・クアドラントで評価されるベンダーは、時間の経過とともに変化する場合があります。ある年のマジック・クアドラントに含まれていたベンダーが翌年には含まれていなかったとしても、それは必ずしもGartnerがそのベンダーに対する意見を変更したということを意味しません。市場の変化やそれに伴う評価基準の変化を反映した可能性もあれば、そのベンダーが重視する対象を変えたことを反映した可能性もあります。
採用・除外基準
この採用基準は、本マジック・クアドラントの対象とすべきベンダーに要求される具体的な属性を、Gartnerのアナリストが挙げたものです。対象とされるためには、2023年3月31日の時点でGartnerにより定義済みの、以下の採用基準をベンダーが満たしている必要がありました。
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対象のベンダーは、Gartnerによるデジタル・コマース・プラットフォーム製品の説明、およびデジタル・コマース・プラットフォーム製品の機能要件(下記参照)に一致するデジタル・コマース・プラットフォームを1つ以上、販売している必要があります。
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対象のデシタル・コマース・プラットフォームは、60社以上の実働顧客をサポートしている必要があります。
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対象のデジタル・コマース・プラットフォームは、2種類以上の業種の顧客に使用されている必要があります。さらに、これらの業種の実働顧客のうち5%以上に使用されているプラットフォームでなければなりません。
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対象のデジタル・コマース・プラットフォームは、2つ以上の地域で有料顧客により使用されている必要があります。さらに、これらの地域におけるデジタル・コマース収益の5%以上を生み出しているプラットフォームでなければなりません。
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対象のデジタル・コマース・プラットフォームの顧客は、公認の年間デジタル・コマース・ソフトウェア収益の10%超を占める2社以上の顧客から構成されていてはなりません。
さらに、前年比での顧客増加率、収益増加率、およびデジタル・コマース・プラットフォーム総収益に関する以下の3つのシナリオのいずれか1つを、ベンダーが満たしている必要があります。
シナリオ1:
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2022年における純新規のデジタル・コマース・プラットフォーム顧客の数:5より大
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2022年における公認の年間デジタル・コマース・ソフトウェア収益:2,000万ドル以上
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2021年から2022年にかけての公認の年間デジタル・コマース・ソフトウェア収益の増加率:20%より大
シナリオ2:
シナリオ3:
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2022年における純新規顧客の数:5より大
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2022年における収益:7,000万ドル以上
Gartnerによる以下の定義は、先述の採用基準について情報を提供するものです。
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デジタル・コマース・プラットフォーム製品の説明:デジタル・コマース・プラットフォームとは、一般にセルフサービス式のインタラクティブなエクスペリエンスを通じて、顧客が商品やサービスを購入することを可能にするコア・テクノロジーです。このプラットフォームは、顧客の購入判断に必要な情報を提供するとともに、ルールおよびデータを使用して完全に価格設定された注文品を支払い用に提示します。
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デジタル・コマース・プラットフォーム製品の機能:このプラットフォームは、ストアフロント、製品カタログのナビゲーション、製品ページ、ショッピング・カート、チェックアウト、顧客アカウントを含む、セルフサービス式のインタラクティブなコマース・エクスペリエンスを提供するアウト・オブ・ザ・ボックス(OOTB)の機能、またはこれに対応するAPIを備えている必要があります。このプラットフォームには、製品の検索、カートへの製品の追加、製品/顧客/注文レベルでの値引きまたはプロモーションを反映した完全な価格設定を行う機能も、アウト・オブ・ザ・ボックスで備わっている必要があります。一部のB2Bシナリオには、販売スタッフからの支援も含まれる場合があります。このプラットフォームは、顧客、製品、コンテンツ、注文機能、およびAPI経由のデータとの相互運用性をサポートする必要があります。
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実働顧客:実働顧客とは、デジタル・コマース・プラットフォームを購入し、そのプラットフォームのベンダーとの間で購入企業名で契約を締結し、プラットフォームを実際に使用してトランザクションを実行し、プラットフォームの使用料を支払う企業です(つまり、1つの実働顧客が1つの実働契約に相当します)。
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新規のデジタル・コマース・プラットフォーム顧客の数:これは2021年に契約を締結した新規のデジタル・コマース・プラットフォーム顧客数です。前年比または純増加率の数字ではなく、新規顧客をカウントしたものです。
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公認の年間デジタル・コマース・ソフトウェア収益:一般に公正妥当と認められた会計基準(GAAP)に従い、特定の年に関して報告可能な、ライセンス付きソフトウェアの販売のみによる総収益を指します(オンプレミス、SaaS、またはその他のモデルなど、導入モデルは問いません)。本資料の目的上、公認の年間デジタル・コマース収益からは、Webコンテンツ管理(WCM)、デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム(DXP)、分散型受注管理(DOM)、製品情報管理(PIM)、仕様選定/価格算出/見積作成(CPQ)、マーチャント・オブ・レコード(MoR)サービス、決済サービスなど、補助的なエコシステム・アプリケーションおよびサービスの収益は除外しています。また、親企業または同じ親企業の他の事業体からの収益も除外しています。
特筆すべき選外のベンダー
Gartnerは、この市場の150超のベンダーを追跡しています。18社のベンダーが本マジック・クアドラントの採用基準を満たしましたが、除外されたベンダーまたはその製品が競争力を欠いているということではありません。
以下の4社のベンダーは、いくつかの採用基準を満たしながらも、すべての基準を満たしてはいませんでした(どのベンダーも、デジタル・コマース・プラットフォームの前年比の顧客増加率とライセンス総収益に関して、必要とされる組み合わせが達成されていませんでした)。
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Intershop:Intershop Commerce Platformは、シングルテナント・ホスティングまたはマルチテナントSaaSで利用可能です。このプラットフォームは、B2CとB2Bの両方の機能を備えていますが、近年はより大規模なB2B企業と、両方のモデルの運用を希望する企業に重点を置いています。多くのデジタル・コマース・エコシステム・アプリケーションとの事前構築済み統合が提供されている、柔軟性に富んだプラットフォームが必要なヨーロッパの大企業で主に使用されています。Intershopでは、より迅速なプロジェクト実装が可能な、最新のデカップリングされたストアフロントを必要とする企業向けに、AngularベースのPWAも提供しています。
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NuORDER:NuORDER by Lightspeedは、衣料品、靴、アクセサリー、化粧品、宝飾品、スポーツ用品、アウトドア用品、家庭用品、乳幼児向け製品を販売する企業のためのB2Bデジタル・コマース・プラットフォームです。NuORDERは、マーチャンダイザーによる季節ごとの品揃えを支援し、中規模~大企業のブランドとバイヤーの間における卸売トランザクションを円滑化する、マルチテナントSaaSプラットフォームです。NuORDERは、組み込みの決済エンジン、デジタル・カタログ、ネイティブのバーチャル・ショールーム機能をプラットフォーム内で提供し、小売企業とサプライヤー向けのユニファイド・コマース・プラットフォームを提供します。
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Optimizely:Optimizelyは、Configured CommerceおよびCustomized Commerceという2つのデジタル・コマース・プラットフォームを、DXPやCDPなど他のCX機能とともに販売しています。Customized Commerceは、Episerver Commerceを継承するハイブリッドPaaS/SaaSソリューションです。Configured Commerceは、Insiteの買収に伴って名称変更したシングルテナントSaaSです。名称から分かるように、一方のプラットフォームは、技術チームを保有しプラットフォームのカスタマイズを希望する顧客向けであるのに対し、もう一方は、よりパッケージ化された、独断的な構成済みのソリューションを必要とする顧客向けです。さらに、Configuredの主眼はB2Bであるのに対し、Customizedは、B2Cを焦点とするOOTB機能を備えた(フルスタックの開発チームを必要とする)コマース・フレームワークです。
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Sitecore:Sitecoreは、2021年4月にコマース・ベンダーFour51および同社のOrderCloudプラットフォームを買収しました。Sitecoreはその後、以前のデジタル・コマース・プラットフォームであるSitecore Experience Commerce(本リサーチで最後に採り上げられたのは2019年)を廃止しました。Sitecore OrderCloudは、ヘッドレスのマルチテナントSaaSアプリケーションです。バンドルされることが最も多いのは、2021年9月に買収したReflektionによるSitecore Discoverであり、検索と製品ディスカバリーに加え、パーソナライゼーション機能を提供します。これら2つの製品が、Sitecoreの全体的なDXP戦略を形成しています。
評価基準
実行能力
企業がデジタル・コマース・プラットフォームを評価する際、その企業の業種、製品の種類、ビジネスおよび収益モデル、販売戦略と重点地域、希望するCXの種類に応じて、非常に幅広い要件が求められます。この理由から、製品またはサービス機能の幅広さ、全体的な存続性、販売実行能力/価格設定、市場対応力/実績、および顧客エクスペリエンスは、引き続き重要度の高い基準となっています。
マーケティングの実行能力については、ベンダー間における明確な差別化が見られないため、評価していません。運営についても評価していません。これらは主として製品企業であり、運営面ではサービス企業ほど差別化されていないためです。
表1:実行能力の評価基準
| 評価基準 |
重要度 |
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製品/サービス
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高
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企業としての全体的な存続性
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高
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販売実行能力/価格設定
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高
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市場対応力/実績
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高
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マーケティングの実行能力
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評価なし
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顧客エクスペリエンス
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高
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運営
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評価なし
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出典:Gartner(2023年8月)
ビジョンの完全性
デジタル・コマース・プラットフォームのベンダーは、戦略およびビジネスモデルの進化に関する限り、市場の進化を理解するだけでなく、顧客固有のニーズについても理解する必要があります。イノベーションも必須の課題です。
製品戦略と新興のビジネスモデルを通じて、市場への理解力を実証する革新的なベンダーは、ビジョンの完全性を備えています。結果的に、市場の理解、オファリング(製品)戦略、そしてイノベーションが、引き続き重要度の高い基準となっています。
地理的戦略については、今年は重要度が中から低へ下がりました。在宅勤務プロセスを採用する企業が増えつつある中で、ローカルな従業員のニーズは、昨年ほど重要ではなくなっています。
マーケティング戦略については、ベンダー間における明確な差別化が見られないため、評価していません。ビジネスモデルについても評価していません。ビジネスモデルが非常に似通っており、ほとんど差別化につながらないためです。
表2:ビジョンの完全性の評価基準
| 評価基準 |
重要度 |
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市場の理解
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高
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マーケティング戦略
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評価なし
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販売戦略
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中
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サービス(製品)戦略
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高
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ビジネスモデル
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評価なし
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業種/業界戦略
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低
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イノベーション
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高
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地理的戦略
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低
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出典:Gartner(2023年8月)
クアドラントの説明
リーダー
リーダーは、詳細かつ広範なコマース機能を提供する能力を実証しています。複数の業種およびビジネスモデルに広がる形で、大量のトランザクションや高レベルのデジタル・コマースGMVに対応するスケーラビリティを備えたコマース機能を提供しています。セールスおよびサポート・サービスを直接提供するとともに、アプリケーション/サービス/統合パートナーの強力なエコシステムを通じてこれらを提供しています。さらに、コア・コマース・プラットフォームと統合可能なベンダーによる、追加のアプリケーション機能やパートナーシップも提供しています。一般にコマース・プラットフォームのテクノロジー更新、新製品および製品の新機能、コア・デジタル・コマース・プラットフォームの内外における投資、顧客の成功を支援するプログラムを通じて、イノベーションを行っています。リーダーは財務面、技術面、組織面でも存続性があり、デジタル・コマース・ベンダーに関するGartnerの顧客からの評価では常に名前が挙がっています。リーダーが設定した競合ベンチマークは、他のベンダーによる自己測定の基準になる場合が少なくありません。
チャレンジャー
獲得可能な最大の市場規模の中で、チャレンジャーによるコマース機能の提供範囲は、リーダーのそれと比べて狭い傾向があります。チャレンジャーは、少数の業種、地域、テクノロジー展開方法、またはビジネスモデルに特化している場合があります。これらのベンダーは、しばしば高い評価を受けています。ターゲット市場において重要とされる技術的イノベーションに投資しています。研究開発リソースを利用し、投資、利益、市場での評判を獲得した上で、急速な成長や新種顧客の誘致を図っています。チャレンジャーは、急成長中と目される市場セクターに焦点を合わせている場合が少なくありません。多くの場合、ターゲット顧客のニーズを満たすテクノロジーに大きく投資し、対象となる顧客向けの強力な機能群を提供しています。
概念先行型
概念先行型のベンダーは、確立されたコマース市場で、イノベーションにより破壊的な変化を起こす能力を実証しています。今までにないテクノロジーやアーキテクチャ的アプローチをプラットフォームに取り入れたり、独創的な価格戦略を採用したり、狭い市場セグメントに焦点を合わせていたりする場合があります。リーダーやチャレンジャーが注目していない、取り残されたニッチ分野を特定しているため、短期間で新規顧客を獲得するケースが少なくありません。概念先行型のベンダーは、まだ多くの顧客を獲得するには至っていない最新のオファリングを提供している場合が多く、大手ベンダーと比べると、リソースが不足している傾向があります。パートナー・ネットワークも小規模で、しばしば先行者としての役割を果たします。多くの場合、概念先行型のベンダーはベンチャー・キャピタルまたは非公開投資会社から資金を調達し、それを元手に前進を続けるためのテクノロジー、セールス、マーケティング・リソースに投資しています。
特定市場指向型
特定市場指向型のベンダーは、業種、デジタル・コマースGMV、企業規模、地域、テクノロジー能力、またはこれらの組み合わせによって定義される狭い市場で活動しています。多くの場合、これらのベンダーは費用対効果の高いソリューションを提供しています。小規模または新興の市場、あるいは小規模なエンドユーザー企業をターゲットにしています。多くの場合、特定市場指向型のベンダーは、地域的またはトランザクション量におけるスケーラビリティが乏しく、テクノロジー/実装/サービス・パートナーは非常に限られ、提供する製品の範囲が狭く、B2CまたはB2Bのどちらかを焦点とし、両方に均等に焦点を合わせてはいません。リーダーやチャレンジャーのような財務的な存続性に欠けていますが、それでも採用基準を満たしています。多くの場合、特定市場指向型のベンダーはベンチャー・キャピタルまたは非公開投資会社から資金を調達し、それを元手に前進を続けるためのテクノロジー、セールス、マーケティング・リソースに投資しています。
市場状況
本マジック・クアドラントのベンダー採用基準では、年間のデジタル・コマース収益および顧客増加率に重点が置かれています。ベンダーの財務実績は引き続き重要ですが、成長の土台となる顧客ベースの規模についても考慮しています。多くのコマース・プラットフォームおよびエコシステム・アプリケーション・ベンダーにとって、デジタル・コマースは依然として利益の上がる分野です。ただし、本リサーチでは数年ぶりに採用基準の調整を差し控えました。
評価基準に関しては、将来的な成功への要件、アーキテクチャ的なビジョン、イノベーションと機能の幅広さを重視しています。デジタル・コマース・プラットフォームのバイヤーは、これらのプラットフォームを通じて、多数のチャネルに広がる形で、ユニークかつ説得力のある一貫したCXを提供およびサポートする方法を模索しています。
この目標を追求する方法は様々ですが、市場化期間の短縮、総所有コスト(TCO)の削減、望ましいデジタル・ビジネス成果の実現を可能にする、より柔軟で俊敏な実装および実装後の拡張機能を、すべてのバイヤーが求めています。さらにバイヤーは、デジタル・コマース・プラットフォームに付加価値をもたらす、テクノロジーおよびサービス・プロバイダー・パートナーの誘致とエコシステムの開発におけるベンダー能力の重要性も認識しています。コマース・プラットフォームのモジュラー性が高まり、コンポーザブル・コマース(Quick Answer: What Are the Steps to Prepare for Composable Commerce?を参照)への道を開く、デカップリングされたフロントエンドまたはアーキテクチャ的アプローチに関心のある企業にプラットフォームが対応するようになりつつある現在、これは特に重要です。コンポーザブル・コマースへの継続的な転換は、アーキテクチャの複雑化や、しばしば契約関係の複雑化を招くとはいえ、結果として得られるプラットフォームの潜在的な俊敏性が根拠となっています。
ただし最終的には、企業ごとに求められる要件が異なります。顧客は、機能に関する要件、業界についての専門知識、テクノロジー、コストを勘案して適切なベンダーを選ぶ必要があります。これらについての詳細は、本マジック・クアドラントの随所で述べられており、ガートナーが追跡し、本リサーチには掲載されなかった140社以上の他のベンダーにも、当てはまる場合があります。「重要機能」を利用し、特定の機能的基準または機能以外の基準によってベンダーの製品をランク付けすることができます。
市場概要
デジタル・コマースの成長率が鈍化
2022年、デジタル・コマース市場のソフトウェア収益は、前年比11.2%増の99億8,000万ドルに達しました。この成長率は、2021年の半分であり、過去数年間の急激な成長がひと段落した形となっています。高いインフレ率、為替による強い逆風、経済の不安定性といった状況を受け、企業は支出増加に対して慎重になっています。実店舗の復権とともに、投資の優先事項は新しいテクノロジーの採用から、バイヤー・ジャーニーにおける複数のタッチポイントの収束、個々の顧客エクスペリエンスの拡張、レガシー・システムとの統合の強化へと移っています。デジタル・コマース市場の成長率は、企業によるデジタル戦略の成長継続に伴い、2023年には固定通貨ベースで16.7%まで回復するとGartnerは予測しています。
デジタル・コマースを含むCRMセクターは、2022年から2027年までの期間、固定通貨ベースで15.1%の年平均成長率(CAGR)を達成するとGartnerは予測しています(Forecast: Enterprise Application Software, Worldwide, 2021-2027, 2Q23 Updateを参照)。同じ期間中、デジタル・コマース・ソフトウェアの収益は、固定通貨ベースで16.2%のCAGRを示すとGartnerは予測しています。この数年、デジタル・コマースの戦略、アーキテクチャ、トレンド、プラットフォーム、エコシステム・アプリケーションについて、Gartnerの顧客から問い合わせが殺到する傾向が続いており、2022年も同様でした。
B2Bにおけるハイブリッドな有人対話
B2Bデジタル・コマースの成長率が、引き続きB2Cデジタル・コマースの成長率を上回っています。その理由は、単純なカート・ベースのトランザクションだけでなく、場合によっては他のシステム(CPQ、セールスフォース・オートメーションなど)や人間がループの中に介在する、複雑なB2Bセールスにも使用可能なソリューションが検討されるようになったためです。売り手による有人対話が出現しつつあります。多くの場合、デジタル・セールス・ルーム(DSR)を使用して、「セルフサービス」式のB2Bを販売スタッフが支援する、ハイブリッドな販売シナリオです。B2Bデジタル・コマースとセールス(収益)テクノロジーの収束がさらに進んでいくと予測されます。
サービスとしてのコマース
デジタル・コマース・プラットフォームに他の多くのアプリケーションを統合する必要があるにも関わらず、コマース・プラットフォーム・ベンダーが事前構築済みの統合を提供していない場合が多く、そのため企業は引き続きSIを頻繁に利用するか、そうでなければ自社でアプリケーション統合を試みる必要に迫られています。パンデミックの発生とともに、多くの企業が急速かつ少ない先行投資でデジタル・ビジネスの変革に乗り出すことになりました。コンポーザビリティを指向するトレンドは、デジタル成熟度の高い企業で続いていますが、よりパッケージ化された「エンドツーエンド」ソリューションの利用も活発化しつつあります。こうした動きは、プラットフォームおよび関連製品、ならびにデジタル・マーケティング活動に対する運用サポートにつながっています。この理由から、最近では本リサーチにSCAYLEやTHG Ingenuityが登場する結果となっています。
略語と用語
| API |
アプリケーション・プログラミング・インターフェイス
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| AWS |
Amazon Web Services
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| B2B |
企業間取引
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| B2C |
企業・消費者間取引
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| B2B2C |
企業と消費者の取引を仲介する事業
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| B2B2X |
ビジネスパートナーを介してサービスを提供する事業。Xは消費者、他の企業、フランチャイズ、パートナー、サプライヤーなど、任意の他の事業体
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| BOPIS |
オンライン購入・店舗受け取り
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| CDP |
顧客データ・プラットフォーム
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| CMS |
コンテンツ管理システム
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| CPQ |
仕様選定、価格算出、見積作成
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| CX |
顧客エクスペリエンス
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| D2C |
消費者直接取引
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| DAM |
デジタル資産管理
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| DOM |
分散受注管理
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| DSR |
デジタル・セールス・ルーム
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| DXC |
デジタル・エクスペリエンス・コンポジション
|
| DXP |
デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム
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| FEaaS |
サービスとしてのフロントエンド
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| GMV |
流通取引総額
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| MACH |
「マイクロサービス、APIファースト、クラウド・ネイティブ、ヘッドレス」 — このアプローチの推進に特化した業界団体MACH Allianceの標語。Gartnerではこの標語を言い換えて「モジュラー、APIファースト、クラウド・ネイティブ、ヘッドのデカップリング」としています
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| MXDP |
マルチエクスペリエンス開発プラットフォーム
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| NLP |
自然言語処理
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| OMS |
受注管理システム
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| PaaS |
サービスとしてのプラットフォーム
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| PBC |
コンポーザブル・ソリューション内のパッケージ化されたビジネス機能
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| PIM |
製品情報管理
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| POS |
販売時点情報管理
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| PWA |
プログレッシブWebアプリ
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| RFQ |
見積依頼
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| SaaS |
サービスとしてのソフトウェア
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| SI |
システム・インテグレーター
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| SPA |
シングルページ・アプリケーション
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根拠
本マジック・クアドラントは、Gartnerによる一次調査と二次調査に基づいています。本リサーチは以下の情報源に基づいています(ただし、これらに限定されません)。
評価基準の定義
実行能力
製品/サービス:ベンダーが特定の市場に向けて提供する主要な製品およびサービス。自社から直接提供するか、OEM契約およびパートナーシップによって提供するかにかかわらず、前述の市場定義で定義し、小項目で説明したように、現在の製品およびサービスの能力、品質、機能群、スキルなどが含まれます。
企業としての全体的な存続性:存続性には、総合的な企業の財務状況、事業単位の財務上および実務上の成功、そして、個々の事業単位が製品に対して継続的に投資していく可能性、継続的に製品を提供していく可能性、ならびに企業の製品ラインを最先端のものに改善していく可能性に対する評価が含まれます。
販売実行能力/価格設定:販売前の活動におけるベンダーの能力および活動をサポートする体制。これには、取引管理、価格設定および交渉、販売に関する事前サポート、ならびに販売チャネルの全体的な有効性が含まれます。
市場対応力/実績:ビジネス機会の出現、競合他社の動き、顧客のニーズの変化、および市場ダイナミクスの変化に対して反応し、方向性を変え、柔軟に対応し、優位な成果を獲得する能力。この基準では、ベンダーの過去の対応実績についても考慮します。
マーケティングの実行能力:企業メッセージを伝えるために立案されたプログラムの明瞭さ、質の高さ、創造性および有効性。これらは、市場に影響を与え、ブランドや事業を推進し、製品の知名度を向上させるとともに、製品/ブランドおよび企業に対するポジティブな印象を購入者の意識に植え付けることを目的としています。この「マインドシェア」は、知名度、販売促進活動、ソート・リーダーシップ、口コミ、および販売活動が一体となって促進されます。
顧客エクスペリエンス:評価対象の製品に対する満足をもたらすための顧客との信頼関係、製品、サービスおよびプログラム。これには特に、顧客が受ける技術サポートやアカウントサポートの体制が含まれます。また、補助的なツール、顧客サポート・プログラム(およびその品質)、ユーザー・グループの有無、サービス品質保証なども含まれます。
経営:目標やコミットメントの達成に向けた企業の能力。この要素としては、企業構造の特性が挙げられます。企業が効果的かつ効率的に事業運営を継続するために必要なスキル、経験、プログラム、システムおよびその他の手段が含まれます。
ビジョンの完全性
市場の理解:購入者の要望やニーズを理解し、その理解を製品やサービスに反映させるベンダーの能力。高水準のビジョンを示すベンダーは、購入者の要望やニーズに耳を傾けて理解し、その要望やニーズを形にし、また、新たなビジョンを加えて、さらに発展させることができます。
マーケティング戦略:明確かつ差別化された企業メッセージを、企業内で継続的に共有し、また、ウェブサイト、広告、顧客プログラムおよびポジショニング・ステートメントを通して外部に対して発信していること。
販売戦略:事業展開範囲、スキル、専門性、技術、サービスおよび顧客ベースをより幅広く、強固にするために、直接販売および間接販売、マーケティング、サービスおよびコミュニケーション関連会社などのネットワークを効果的に利用した製品販売戦略。
サービス(製品)戦略:現在と将来の課題を明確にすると同時に、他社との違い、機能性、方法論および機能群に重点を置いた、ベンダーによる製品開発および製品販売のアプローチ。
ビジネスモデル:ベンダーの基本的なビジネス提案における健全性および論理性。
業種/業界戦略:垂直市場など、個別の市場区分が抱える特定のニーズを満たすことを目的として、リソース、スキルおよびサービスを割り当てるベンダー戦略。
イノベーション:投資、統合、守備的もしくは先制的な行動を目的とした、リソース、専門知識・技能もしくは資本の直接的、間接的、補完的、および相乗的な配置。
地理的戦略:「本拠地」である自らの国・地域以外の場所に特有のニーズを満たすことを目的として、直接、またはパートナー、チャネル、子会社を通じて、その地域および市場に合わせた方法で、リソース、スキルおよびサービスを割り当てるベンダー戦略。